グリーンブレーカーズ by 高木肥料店

農業の現場の おはなしなどなど。

SDGsの6「安全な水」について、その3。

2021-05-13 16:00:12 | Weblog
SDGsの6「安全な水」について、その3。
政治家なら いまやみんなつけている・・・みたいな バッジ
で有名になった感のある SDGs(エス・ディー・ジーズ)。

これこれ このピンバッジ →   
そんな SDGs/Sustainable Development Goals(持続可能な開
発目標)」の 六番目、「安全な水とトイレを世界中に」の目標
関連として、これまで当ブログでご紹介してきたいわゆる現場目
線での水についてのあれこれをひとくくりのカテゴリーにしてご紹
介していくシリーズの3回目[2回目は​こちら​]。 今回は 
6.6 山地、森林、湿地、河川、帯水層、湖沼を含む水に関する
生態系の保護・回復を行う。
についての参考記事となります。日本でいちばん栽培されている
作物であろう イネと水田の栽培方法に関する記事となりますが 
わかりやすくするために関連記事2本ぶんとなりましたが、よろ
しかったらご参考に。

 ↓


2013年5月分/ イネつくりといえば みすみはんさくさん。』

田植えから約60日が経過するころ、この時期は身体づくりにお
われていたイネの生長が、 実をつくる生長に切り変わっていく
時期となるんですよ。→ 田植してひと月後の話しは こちら

4月1日前後に田植したイネでは〕そんな季節のはじまりです。

この時期に、“ためっぱなし”であることも多かった水田の水を、
いちど抜いてしっかり田を干します。これを田んぼづくりでは
「中干し」といいます。

このような水を落とす管理をするのには、もちろん次のような
理由があります。

 ■ 土中の有機物の分解に伴い発生する硫化水素やメタンガス を抜く
 ■ 遅れて発生しようとする、イネの生長〔分けつ〕をおさえる
 ■ 田の表面を硬くしていくことで、来るべきイネ刈りをやりやすくなる
 ■ 溝切りなどおこなえば除草効果も期待できる

といったところ。

そうそう田んぼが見られる環境にお住まいで田を見る機会があ
る・・・といわれる方は、就農希望者でなくとも、ぜひぜひ田
んぼの水のあるなしを観察されてください。面白いものですよ。

あ、そして タイトルの “みすみはんさく” さんです。

 三角半作さん? 水見範作さん?

じつはこの方、日本のイネつくりコンクールで長年にわたって
優勝してこられた方なんです・・・なんていったら信用してい
ただけるかもしれませんが〔無理か/笑〕、ほんとはイネつくり
に関する格言
です。

正確には 「水見半作」となります。これは

水の管理は稲つくりの半分を占めるほど大切な作業である

という意味なんですね。。頼りになるんですよね、みずみはん
さく/笑。

ということで今回はイネ作りにおいての土の栄養状態や病害虫
のことばかり、あるいは大型機械での大規模農業が注目されが
ちな日本のイネつくりですが、じつはイネつくりには 田んぼ
という生育環境をコントロールするための〔ある意味ローテク
ともいえる
水管理技術も必要不可欠です・・・ということの
おはなしでした。


2013年5月分/ 生き物にもやさしい“溝切り”。 』

タズリさまにて草をとられ、土中のメタンガスや硫化ガスをだ
された田
は大きく育ってきます。そして充分に育ったところで
「中干し 」で、イネに気合を入れたその後の管理です。

そんな田んぼに関する作業で、最後の仕上げの作業があります。
それが 「溝切り」 です。

これは 田の中に

 5~10m間隔に深さ約10~15センチ・幅約20センチの

溝を掘ること 、なんですよ。


ののののの 溝切り溝.jpg 


タズリさまと同じで、いまはエンジン付きがありとても楽と
なりましたが・・・そうですね、今年もやってみたのですが、
田の中の周囲と、田の中に3本の溝を掘って、10アール当
たりでだいたい小一時間というところ。思案するよりもやっ
てみれば早いものだなといったところ。

機械は こんなかんじ  ですが、最近はトンネルを掘るよう
な仕事をするものもあるんですねぇ。

さてそれで「そんな溝を田の中に掘ることで、いったいどん
なメリットがあるというのだろう・・なんておもいますでし
ょう?けれど、これがもうまったく・たいしたものなんです。

中干しで水を抜きたいときにはこの溝を使ってササッと排水、
逆に田が乾きすぎてそうそうに水を入れたいときは、この溝
を伝ってスムーズに水がはいる

という、排水と給水をスムーズにおこなえるという、それは
もう感激もの・・・というすばらしい技術なんです。

そしてこの技術には、もうひとつ、とても感心するところが
あるんです。 なんだとおもわれます?

それは、田の水が干されるときに威力を発揮しますよ。
水の出し入れのために掘ったはずの、その溝が、水田で暮ら
しているメダカやオタマジャクシなどなどの田に生きる水棲
生物のための〔用水路への〕避難路になる。。


ののの 溝切り・全体.jpg

というわけなんです。

ということで今回は「中干しというイネつくりの技術に付属
している溝切りという作業」は、田に棲む生き物に対するや
さしさを持っていますよ・・というおはなしでした。


晴れ 中干しの時期の。田のライムグリーン色のなかにたたずむ
  のは、凄く気持ちがいいんです。そう、これすなわちアマ
  ガエル気分/笑。

51P4M6yKWYL__SL500_SS75_.jpg 「夢で終らせない農業起業」「里地里山複合大汚染