「食料を自給できない国なんて想像できない」
2009年の再掲載。TPPの話題の影で、“ 日欧EPOではTPPと
同水準までの自由化は容認する方向で交渉をすすめる”・・などといった
政府の姿勢に対する参考[それでもいいのか]としてよろしかったら。
↓
「食料を自給できない国なんて想像できない」
1968年から1972年にかけて、家畜や鶏から熱帯植物を扱っていた
ヒューストンの農業会社に勤務し、米国各地や中米諸国に出かけて、買収
対象となる苗木畑を探す仕事を経験していた米国大統領経験者がいます。
米国内の輸出型の大型企業農業に肩入れし、日本に米国産牛肉の再輸出を
迫った前米国大統領・・・ジョージ・ブッシュ氏です。
離任間際では、評判が良いとは言えない大統領でしたが、彼の農業に関す
る演説のなかで、実にみごとなものがあります。曰く、「食料を自給でき
ない国を想像できるか。そうなった国は、国際的な圧力と危険にさらされ
ている国だ。食料自給は国家安全保障の問題である。アメリカ国民の健康
を守るために輸入食品に頼らなくて良いのは、何とありがたいことか」と
いうものです。
この演説は、これから日本国民が考えねばならないであろう大切なことを
訴えています。その背景には、2008年の穀物暴騰時に、世界の農産物
輸出国で『農産物の輸出規制や禁輸といった措置がとられた』という大き
な事実があります。
主な農産物の輸出規制例は次のとおりです。
ウクライナ 国内供給確保のため小麦、コーン、大麦、ライ麦に輸出枠設定
セルビア 国際価格高騰に伴う過剰輸出回避のため小麦、大豆等の輸出規制
カザフスタン 輸出業者に小麦輸出量の20%の国内販売義務付け発表
インド インフレ抑制でコメ、小麦、乳製品の輸出禁止
ベトナム 台風による不作で国内コメ価格高騰、コメの新規輸出等禁止
アルゼンチン 過剰輸出回避のためトウモロコシや小麦の輸出規制
06年より牛肉の輸出枠設定
ロシア 国内の穀物需給緩和で小麦、大麦の輸出税導入
中国 小麦、トウモロコシ、コメ、大豆とその加工品に輸出関税の導入
穀物等の輸出促進のための輸出還付金の廃止
お金があっても、穀物が買えなくなる事態が、このとき現実に起こっていた
のです。次の穀物の高騰が起きたときに、農産物輸出国が輸出規制や禁輸を
しないという保証はありません。 ジョージ・ブッシュ前大統領の演説にあ
るように、日本国民が国際的な圧力と危険と食の安全の不安にさらされてい
るのは間違いの無いことであるようです。
余談ですが、米国国民の農業への関心は、日本国民よりも確実に高いと思わ
れます。たとえば米国のドラマで、「ザ・ホワイトハウス」という作品があ
ります。米国大統領とそのスタッフ達が国内外の現実に起こり得る様々な問
題に対処していくという内容でした。「政治ドラマは視聴率をとれない」と
いう米国内の常識を覆し、米国のエミー賞を4年連続作品賞受賞した人気番
組であったようです。以前NHKの衛星放送でも放映されていましたので、
ご存知の方も多いのではないでしょうか。
その「ザ・ホワイトハウス」のなかでは、農業問題もしばしば取り上げられ
おり、農業関係者として非常にうらやましく思ったものです。例えば次のよ
うなセリフを使った場面が繰り広げられるのです。
大統領夫人:「農業問題はあなたの専門外でしょう。そんなに気にすること
はないわ」
大統領:「いや、世界中の大豆の50パーセントの大豆、牛肉の25パーセ
ント、木綿の15パーセントの農産物をこの国で生産している。
国民の多くが農業とその関係している産業に従事している以上、
勉強しないわけにはいかない」
と、いうような場面です。
妻である大統領夫人に話しかけた後、農業資料を真剣に読む大統領とそれを
見つめる妻・・・実に印象深いドラマでした。米国という国が、いかに農業
と農業問題を重要視しているのかがよくわかる話ではありませんか。
このようなドラマを製作した米国のテレビ業界、そしてこのドラマを評価す
る米国国民には、いち農業関係者として、ある種尊敬の念を抱かずにはおら
れません。
いっぽう 日本の民放ドラマ『CHANGE』では。
SMAPの木村拓也さんが首相を演じたドラマ。米国農産物の
輸入量を20%増やせと、言ってきたアメリカ通商代表に、
はっきりと拒否の態度を示した朝倉啓太内閣総理大臣役は
好評を博しました。第5話「総理休日の大事件」での一シー
ンです。じっさいのところ農業が衰退すれば、地方はガタガタ
になっちゃいかねませんからね。
「夢で終らせない農業起業」「 本当は危ない有機野菜 」
2009年の再掲載。TPPの話題の影で、“ 日欧EPOではTPPと
同水準までの自由化は容認する方向で交渉をすすめる”・・などといった
政府の姿勢に対する参考[それでもいいのか]としてよろしかったら。
↓
「食料を自給できない国なんて想像できない」
1968年から1972年にかけて、家畜や鶏から熱帯植物を扱っていた
ヒューストンの農業会社に勤務し、米国各地や中米諸国に出かけて、買収
対象となる苗木畑を探す仕事を経験していた米国大統領経験者がいます。
米国内の輸出型の大型企業農業に肩入れし、日本に米国産牛肉の再輸出を
迫った前米国大統領・・・ジョージ・ブッシュ氏です。
離任間際では、評判が良いとは言えない大統領でしたが、彼の農業に関す
る演説のなかで、実にみごとなものがあります。曰く、「食料を自給でき
ない国を想像できるか。そうなった国は、国際的な圧力と危険にさらされ
ている国だ。食料自給は国家安全保障の問題である。アメリカ国民の健康
を守るために輸入食品に頼らなくて良いのは、何とありがたいことか」と
いうものです。
この演説は、これから日本国民が考えねばならないであろう大切なことを
訴えています。その背景には、2008年の穀物暴騰時に、世界の農産物
輸出国で『農産物の輸出規制や禁輸といった措置がとられた』という大き
な事実があります。
主な農産物の輸出規制例は次のとおりです。
ウクライナ 国内供給確保のため小麦、コーン、大麦、ライ麦に輸出枠設定
セルビア 国際価格高騰に伴う過剰輸出回避のため小麦、大豆等の輸出規制
カザフスタン 輸出業者に小麦輸出量の20%の国内販売義務付け発表
インド インフレ抑制でコメ、小麦、乳製品の輸出禁止
ベトナム 台風による不作で国内コメ価格高騰、コメの新規輸出等禁止
アルゼンチン 過剰輸出回避のためトウモロコシや小麦の輸出規制
06年より牛肉の輸出枠設定
ロシア 国内の穀物需給緩和で小麦、大麦の輸出税導入
中国 小麦、トウモロコシ、コメ、大豆とその加工品に輸出関税の導入
穀物等の輸出促進のための輸出還付金の廃止
お金があっても、穀物が買えなくなる事態が、このとき現実に起こっていた
のです。次の穀物の高騰が起きたときに、農産物輸出国が輸出規制や禁輸を
しないという保証はありません。 ジョージ・ブッシュ前大統領の演説にあ
るように、日本国民が国際的な圧力と危険と食の安全の不安にさらされてい
るのは間違いの無いことであるようです。
余談ですが、米国国民の農業への関心は、日本国民よりも確実に高いと思わ
れます。たとえば米国のドラマで、「ザ・ホワイトハウス」という作品があ
ります。米国大統領とそのスタッフ達が国内外の現実に起こり得る様々な問
題に対処していくという内容でした。「政治ドラマは視聴率をとれない」と
いう米国内の常識を覆し、米国のエミー賞を4年連続作品賞受賞した人気番
組であったようです。以前NHKの衛星放送でも放映されていましたので、
ご存知の方も多いのではないでしょうか。
その「ザ・ホワイトハウス」のなかでは、農業問題もしばしば取り上げられ
おり、農業関係者として非常にうらやましく思ったものです。例えば次のよ
うなセリフを使った場面が繰り広げられるのです。
大統領夫人:「農業問題はあなたの専門外でしょう。そんなに気にすること
はないわ」
大統領:「いや、世界中の大豆の50パーセントの大豆、牛肉の25パーセ
ント、木綿の15パーセントの農産物をこの国で生産している。
国民の多くが農業とその関係している産業に従事している以上、
勉強しないわけにはいかない」
と、いうような場面です。
妻である大統領夫人に話しかけた後、農業資料を真剣に読む大統領とそれを
見つめる妻・・・実に印象深いドラマでした。米国という国が、いかに農業
と農業問題を重要視しているのかがよくわかる話ではありませんか。
このようなドラマを製作した米国のテレビ業界、そしてこのドラマを評価す
る米国国民には、いち農業関係者として、ある種尊敬の念を抱かずにはおら
れません。
いっぽう 日本の民放ドラマ『CHANGE』では。
SMAPの木村拓也さんが首相を演じたドラマ。米国農産物の
輸入量を20%増やせと、言ってきたアメリカ通商代表に、
はっきりと拒否の態度を示した朝倉啓太内閣総理大臣役は
好評を博しました。第5話「総理休日の大事件」での一シー
ンです。じっさいのところ農業が衰退すれば、地方はガタガタ
になっちゃいかねませんからね。
「夢で終らせない農業起業」「 本当は危ない有機野菜 」