グリーンブレーカーズ by 高木肥料店

農業の現場の おはなしなどなど。

普段はおこりにくい場所のほうが恐い雪害。

2022-01-06 22:49:34 | Weblog
普段はおこりにくい場所のほうが恐い雪害。
東京でも積雪ということで、定番の回ですが、よろしかったら。
 ↓
武蔵の国のある村に、茂作と巳之吉という2人の樵が住んでいた。茂作は
 すでに老いていたが、巳之吉の方はまだ若く、見習いだった。
 ある冬の日のこと、吹雪の中帰れなくなった二人は、近くの小屋で寒さ
 をしのいで寝ることにする。その夜、顔に吹き付ける雪に巳之吉が目を
 覚ますと、恐ろしい目をした白ずくめの美しい女がいた。巳之吉の隣り
 に寝ていた茂作に女が白い息を吹きかけると、茂作は凍って死んでしま
 う。
 女は巳之吉にも息を吹きかけようと巳之吉に覆いかぶさるが、しばらく
 巳之吉を見つめた後、笑みを浮かべてこう囁く。「おまえもあの老人(
 =茂作)のように殺してやろうと思ったが、おまえは若くきれいだから、
 助けてやることにした。
 だが、おまえは今夜のことを誰にも言ってはいけない。誰かに言ったら
 命はないと思え」
 それから数年して、巳之吉は「お雪」という、ほっそりとした美しい女
 性と出会う。二人は恋に落ちて結婚し、10人の子供をもうける。お雪は
 とてもよくできた妻であったが、不思議なことに、何年経ってもお雪は
 全く老いることがなかった。
 ある夜、子供達を寝かしつけたお雪に、巳之吉がいう。「こうしておま
 えを見ていると、十八歳の頃にあった不思議な出来事を思い出す。あの
 日、おまえにそっくりな美しい女に出会ったんだ。恐ろしい出来事だっ
 たが、あれは夢だったのか、それとも雪女だったのか……」
 巳之吉がそういうと、お雪は突然立ち上り、言った。「そのときおまえ
 が見たのは私だ。私はあのときおまえに、もしこの出来事があったこと
 を人にしゃべったら殺す、と言った。だが、ここで寝ている子供達を見
 てると、どうしておまえのことを殺せようか。どうか子供達の面倒をよ
 く見ておくれ……」
 そういうと、お雪の体はみるみる溶けて白い霧になり、煙だしから消え
 ていった。それ以来、お雪の姿を見たものは無かった。


このお話しは、皆さまよくご存知の、小泉八雲(ラフカディオ・ハーン)
の『怪談(Kwaidan)』で紹介されている「雪女」
です。
美しいけれど、しかしほんとうは怖ろしいという雪の世界を象徴するお話
だなと思います。

そしてお気づきになりましたか、この物語は、じつは豪雪地帯が舞台で
はなく、しかも2人の木こりも雪に慣れていなかった
ことに。

そう、物語の情景から、ついつい豪雪地帯の山岳部における木こりの遭難
の話しだと勘違いしやすいのですが、じつはこの物語は 多摩川べりの船
頭小屋が舞台
となっており、しかも茂作と巳之吉という2人の木こりは、
雪というものに対してあまりに知識もなく無防備なんです。

船頭小屋って こんなかんじ ですもの。
持ち運びもできたというこんな簡単な小屋に、大雪のなか避難したら、
それはむしろ遭難しない方がおかしいですよ。

小泉八雲が東京都西多摩郡調布村出身の親子から採録したというこの物語は、
じつは あまり雪が降らない地方における“突然の大雪”に対する警告的な
教訓談 
であったのかもしれませんね。

そして いま です。

日本各地の、とくに豪雪地帯ではない地方で降雪に遭われている皆さま。
寒さ対策は、万全になされてくださいね


晴れ そうそう こんなお話も ありました。よろしかったら。
 
 51P4M6yKWYL__SL500_SS75_.jpg夢で終らせない農業起業」「里地里山複合大汚染