2005-06-29 映画『アウトブレイク』の世界が現実に?
日本における口蹄疫発生被害というと2012年の宮崎県における発生が有名
なのですが、じつはそれをさかのぼること12年前の2000年にも、宮崎と
北海道で発生しています。今回のブログはそんな2000年に発生した口蹄疫
を回顧しつつ、その年2005年にベトナム最大の都市であるホーチミン市で
発生した鳥インフルエンザのニュースを受けて書いた[ある意味2012年を
そしてさらに先の未来を危惧する]ものとなります。もちろん今回の豚コレラ
感染拡大のニュースを受けたものとして過去分ですがよろしかったご参考に↓。
『2005-06-29 映画『アウトブレイク』の世界が現実に?』
国道に仮設トイレ・携帯電話が配備された非常線が張られました。検問と消毒を
兼ねたポイントが出現したんです。警察の誘導協力のもと、白い防護服を着た係
員の手により道行く車がつぎつぎと消毒されていきます。まるで映画アウトブレ
イクの世界が突然出現したかのような光景が日本国内で発生しました。。
そう、ここ宮崎県と北海道で平成12年[2000年]に日本で92年ぶりに発生
した口蹄疫対策として実際に、現実におこった光景なんですよ。3戸22頭の
口蹄疫発生に対応して、宮崎県では当初、発生農場から二十キロの家畜の移動制
限・五十キロの搬出制限がとられることになりました。
口蹄疫とは、牛・豚・羊等の偶蹄類の動物が感染するウイルスによる急性の伝染
病です。伝染力が非常に強いとされており、畜産業に与える影響が強いために上
記のような処置がとられたわけです。ただ、救われたのは口蹄疫が人に感染する
ことがないとおもわれていたこと〔ただし台湾ではうつった例も確認されている
というニュースも報道されました〕、そして感染した動物の乳肉を摂取しても人
の健康に影響はないという点。
そのため平成12年の口蹄疫発生ケースでは、家畜の移動によって他地区の家畜
にウイルスがひろがることを防止することだけが課題だったわけです。
『人に感染することはなく、仮に感染した動物の乳肉を摂取しても人の健康に影
響はありません』という口蹄疫ですらこの大騒動。もしこれが、人に感染する
H5N1型ウイルスのひきおこす鳥インフルエンザが発生したと仮定した場合は、
口蹄疫発生時よりも厳しい防護対策がとられるのは当然です。今回の茨城の鳥イ
ンフルエンザは、毒性や感染力が弱いとされる国内初のH5N2型という点で、
不幸中の幸いかと。
ちなみに前回、京都・山口・大分で発生した鳥インフルエンザでは、家畜伝染病
予防法に基づいて以下のような対応策がとられました。今回の茨城でも、これに
準じた措置がとられているはずです。その措置は
■発生農場及び発生農場と同一飼養者が管理している農場の家禽はすべて
殺処分され、死体は焼却・埋却または消毒されます。
■また農場全体は閉鎖・消毒され、人の出入りも禁止されます。
■発生農場を中心とした半径5~30Kmの区域では、21日間以上、生きた家禽・
卵や肉などの生産物・死体・排泄物の移動が原則禁止されます〔ただし、
今回は「弱い」H5N2型のため、変更の可能性ありとのこと〕。
■区域内の全ての農場について、異常鶏がいないか家畜防疫員が調査。
■最終発生の防疫措置が終了してから、21日間に続発がなければ、基本的には
移動禁止は解除。しかしその後も3ヶ月間は区域の監視が継続されます。
■全ての農場で、清浄確認検査によりウイルス感染が否定された場合に、清浄
宣言が出されます。
というものとなります。 以上、ここまでが現実の世界。以下は、今後おこる
かもしれない「予想」の世界です。
↓
もっとも怖いのは、上記の対策がとられたとしても、ウイルスの蔓延に対する効果
がなく、「ウイルスが環境に定着」したときです。
それは、【昨年の 京都・山口・大分で発生した人に感染する可能性が高いH5N1
型ウイルスのひきおこす鳥インフルエンザが発生。そして、非常線を張ったとしても、
鶏への感染がおさまらなくなったとき】 です。
そんな最悪の事態がおこってしまったら・・とWHOなどの専門家が神経をとがら
せるのは、感染が鳥から人へ、さらには人から人へと、拡大する懸念がぬぐい切れ
ないため。鳥のインフルエンザウイルスは、人のウイルスと混じり合うことで、人
同士にうつる新型ウイルスに生まれ変わる可能性があるとされているからです。
実際に昨年京都府の農場で発生した際には、処理に当たった従業員の感染が確認
[抗体が形成]されてもいるんですから。
今後十万羽から数百万羽を飼育する養鶏場〔メガファーム〕において、H5N1型
ウイルスによる鳥インフルエンザが発生したと仮定した場合、たとえば発生養鶏場
の5キロ以内に住居される方の移動は、なんらかの規制がおこなわれるとみたほうが
よいのではないでしょうか。
そんな事態を想定した場、わたしたちの家や土地といった財産は、いったいどうな
るのでしょう・・・ウイルス病は、対岸の火事などではなく、とても身近な問題に
なってきたことだけはいまや確実なようですよ。
ちなみに 1000万人規模の都市部で発生した鳥インフルエンザの例としては、
2005年の2月、ベトナム最大の都市、ホーチミン市でおこった鳥インフルエ
ンザがありますが、そのときのニュースの概要はこちら。
『ホーチミン市でおこった鳥インフルエンザウイルスを根絶するため、行政府は
全ての家きん類の処分を命じた。1000万人が暮らす同市では、今回の命令に
先立って、全てのアヒルを処分するよう命令が出ていた。アヒルの場合は、鳥イ
ンフルエンザに感染していても兆候が現れない可能性がある。
さらに国営メディアによると、市当局は処分の対象を全ての家きん類に拡大し、
処分の開始時期も18日に定めた。今回の措置は、ベトナムの鳥インフルエンザ
対策としては、最新の厳しい措置となる。ベトナムではここ数週間に、鳥インフ
ルエンザにより13人が死亡している〔02月16日時点〕。』
以上、今回はもし人にも感染しうる人畜共通感染症が発生したら いったいどう
なってしまうのだろうという予想の回でした。。
映画『アウトブレイク』について
アフリカ・モタバ川流域。正体不明のウイルスに感染し皮膚が腫れ体中の穴
という穴から出血して死んでいく無数の住民たち…。現地調査に赴いたアメリ
カ軍医学研究所のリーダー、サム・ダニエルズは軍に警戒態勢を進言するが
却下されてしまう。しかしその後、同じ症状の患者がカリフォルニアに出現。
爆発的な速度で蔓廷する殺人ウイルスは一気に全米をパニックに陥れた!
この映画のウイルス病はエボラ出血熱がモデルといわれています。
「夢で終らせない農業起業」「本当は危ない有機野菜」
日本における口蹄疫発生被害というと2012年の宮崎県における発生が有名
なのですが、じつはそれをさかのぼること12年前の2000年にも、宮崎と
北海道で発生しています。今回のブログはそんな2000年に発生した口蹄疫
を回顧しつつ、その年2005年にベトナム最大の都市であるホーチミン市で
発生した鳥インフルエンザのニュースを受けて書いた[ある意味2012年を
そしてさらに先の未来を危惧する]ものとなります。もちろん今回の豚コレラ
感染拡大のニュースを受けたものとして過去分ですがよろしかったご参考に↓。
『2005-06-29 映画『アウトブレイク』の世界が現実に?』
国道に仮設トイレ・携帯電話が配備された非常線が張られました。検問と消毒を
兼ねたポイントが出現したんです。警察の誘導協力のもと、白い防護服を着た係
員の手により道行く車がつぎつぎと消毒されていきます。まるで映画アウトブレ
イクの世界が突然出現したかのような光景が日本国内で発生しました。。
そう、ここ宮崎県と北海道で平成12年[2000年]に日本で92年ぶりに発生
した口蹄疫対策として実際に、現実におこった光景なんですよ。3戸22頭の
口蹄疫発生に対応して、宮崎県では当初、発生農場から二十キロの家畜の移動制
限・五十キロの搬出制限がとられることになりました。
口蹄疫とは、牛・豚・羊等の偶蹄類の動物が感染するウイルスによる急性の伝染
病です。伝染力が非常に強いとされており、畜産業に与える影響が強いために上
記のような処置がとられたわけです。ただ、救われたのは口蹄疫が人に感染する
ことがないとおもわれていたこと〔ただし台湾ではうつった例も確認されている
というニュースも報道されました〕、そして感染した動物の乳肉を摂取しても人
の健康に影響はないという点。
そのため平成12年の口蹄疫発生ケースでは、家畜の移動によって他地区の家畜
にウイルスがひろがることを防止することだけが課題だったわけです。
『人に感染することはなく、仮に感染した動物の乳肉を摂取しても人の健康に影
響はありません』という口蹄疫ですらこの大騒動。もしこれが、人に感染する
H5N1型ウイルスのひきおこす鳥インフルエンザが発生したと仮定した場合は、
口蹄疫発生時よりも厳しい防護対策がとられるのは当然です。今回の茨城の鳥イ
ンフルエンザは、毒性や感染力が弱いとされる国内初のH5N2型という点で、
不幸中の幸いかと。
ちなみに前回、京都・山口・大分で発生した鳥インフルエンザでは、家畜伝染病
予防法に基づいて以下のような対応策がとられました。今回の茨城でも、これに
準じた措置がとられているはずです。その措置は
■発生農場及び発生農場と同一飼養者が管理している農場の家禽はすべて
殺処分され、死体は焼却・埋却または消毒されます。
■また農場全体は閉鎖・消毒され、人の出入りも禁止されます。
■発生農場を中心とした半径5~30Kmの区域では、21日間以上、生きた家禽・
卵や肉などの生産物・死体・排泄物の移動が原則禁止されます〔ただし、
今回は「弱い」H5N2型のため、変更の可能性ありとのこと〕。
■区域内の全ての農場について、異常鶏がいないか家畜防疫員が調査。
■最終発生の防疫措置が終了してから、21日間に続発がなければ、基本的には
移動禁止は解除。しかしその後も3ヶ月間は区域の監視が継続されます。
■全ての農場で、清浄確認検査によりウイルス感染が否定された場合に、清浄
宣言が出されます。
というものとなります。 以上、ここまでが現実の世界。以下は、今後おこる
かもしれない「予想」の世界です。
↓
もっとも怖いのは、上記の対策がとられたとしても、ウイルスの蔓延に対する効果
がなく、「ウイルスが環境に定着」したときです。
それは、【昨年の 京都・山口・大分で発生した人に感染する可能性が高いH5N1
型ウイルスのひきおこす鳥インフルエンザが発生。そして、非常線を張ったとしても、
鶏への感染がおさまらなくなったとき】 です。
そんな最悪の事態がおこってしまったら・・とWHOなどの専門家が神経をとがら
せるのは、感染が鳥から人へ、さらには人から人へと、拡大する懸念がぬぐい切れ
ないため。鳥のインフルエンザウイルスは、人のウイルスと混じり合うことで、人
同士にうつる新型ウイルスに生まれ変わる可能性があるとされているからです。
実際に昨年京都府の農場で発生した際には、処理に当たった従業員の感染が確認
[抗体が形成]されてもいるんですから。
今後十万羽から数百万羽を飼育する養鶏場〔メガファーム〕において、H5N1型
ウイルスによる鳥インフルエンザが発生したと仮定した場合、たとえば発生養鶏場
の5キロ以内に住居される方の移動は、なんらかの規制がおこなわれるとみたほうが
よいのではないでしょうか。
そんな事態を想定した場、わたしたちの家や土地といった財産は、いったいどうな
るのでしょう・・・ウイルス病は、対岸の火事などではなく、とても身近な問題に
なってきたことだけはいまや確実なようですよ。
ちなみに 1000万人規模の都市部で発生した鳥インフルエンザの例としては、
2005年の2月、ベトナム最大の都市、ホーチミン市でおこった鳥インフルエ
ンザがありますが、そのときのニュースの概要はこちら。
『ホーチミン市でおこった鳥インフルエンザウイルスを根絶するため、行政府は
全ての家きん類の処分を命じた。1000万人が暮らす同市では、今回の命令に
先立って、全てのアヒルを処分するよう命令が出ていた。アヒルの場合は、鳥イ
ンフルエンザに感染していても兆候が現れない可能性がある。
さらに国営メディアによると、市当局は処分の対象を全ての家きん類に拡大し、
処分の開始時期も18日に定めた。今回の措置は、ベトナムの鳥インフルエンザ
対策としては、最新の厳しい措置となる。ベトナムではここ数週間に、鳥インフ
ルエンザにより13人が死亡している〔02月16日時点〕。』
以上、今回はもし人にも感染しうる人畜共通感染症が発生したら いったいどう
なってしまうのだろうという予想の回でした。。
映画『アウトブレイク』について
アフリカ・モタバ川流域。正体不明のウイルスに感染し皮膚が腫れ体中の穴
という穴から出血して死んでいく無数の住民たち…。現地調査に赴いたアメリ
カ軍医学研究所のリーダー、サム・ダニエルズは軍に警戒態勢を進言するが
却下されてしまう。しかしその後、同じ症状の患者がカリフォルニアに出現。
爆発的な速度で蔓廷する殺人ウイルスは一気に全米をパニックに陥れた!
この映画のウイルス病はエボラ出血熱がモデルといわれています。
「夢で終らせない農業起業」「本当は危ない有機野菜」