グリーンブレーカーズ by 高木肥料店

農業の現場の おはなしなどなど。

早期水稲は 中干しの時期にはいります。

2018-05-19 21:55:53 | Weblog
早期水稲は 中干しの時期にはいります。

早期水稲の中干し期ということで、定番の回の再掲載です。



『イネつくりといえば みすみはんさく。』

田植えから約60日が経過するころ、この時期は、身体づくりにおわ
れていたイネの生長が、実をつくる生長に切り替えられていく
時期
なんですよ。田植してひと月後の話しは こちら

4月1日前後に田植したイネでは〕そんな季節のはじまりです。

そしてイネの生育の転換期を助けるのが、田んぼの水管理です。この
時期に、“ためっぱなし”であった田の水も、抜いてしっかり干すんです。

これを 「中干し」といいます。

このような管理をするのには、もちろん理由があります。

 ■ 土中の有機物の分解に伴い発生する硫化水素やメタンガス を抜く
 ■ 遅れて発生しようとする、イネの生長〔分けつ〕をおさえる
 ■ イネミズゾウムシ・シャンボタニシなどの水棲害虫の駆除
 ■ 田の表面を硬くしていくことで、来るべきイネ刈りをやりやすくなる


といったところ。

そうそう、田んぼが見られる環境にお住まいで、田を見る機会がある
・・・といわれる方は、就農希望者でなくとも、ぜひぜひ田の水の有
無を観察されてください。面白いものですよ。

あ、そして タイトルの “みすみはんさく” さんです。

 三角半作さん? 水見範作さん?

じつはこの方、日本のイネつくりコンクールで、長年にわたって優勝
してこられた方なんです・・・なんていったら信用していただけるか
もしれませんが〔無理か/笑〕、ほんとはイネつくりに関する格言です。

正確には 「水見半作」となります。これは

 水の管理は、稲つくりの半分を占めるほど大切な作業である 
という意味なんですね。。頼りになるんですよね、みずみはんさく/笑。

土の栄養状態や病害虫のことばかり、あるいは大型機械での大規模
農業が注目されがちなイネつくりですが、じつは イネつくりには、田
んぼという生育環境をコントロールするための〔ある意味ローテクと
もいえる
水管理技術も必要不可欠です・・・ということですね。


晴れ  中干しの時期の。田のライムグリーン色のなかにたたずむのは、
  凄く気持ちがいいんです。そう、これすなわち アマガエル気分 /笑。

51P4M6yKWYL__SL500_SS75_.jpg 「夢で終らせない農業起業」「里地里山複合大汚染







マダニ被害は 5月が感染のピーク。

2018-05-15 17:02:30 | Weblog
​​​​​マダニ被害は 5月が感染のピーク。

本年4月下旬に発熱や下痢の症状を訴えて医療機関を受診し、その
後入院したが、5月上旬に死亡された宮崎県都城市在住の海外渡航
歴のない60代の男性。

この男性の身体にマダ二に刺されたあとが確認されたことなどから、
宮崎県は5月10日に男性の死亡の原因について、マダニが媒介す
るウイルス感染症である「重症熱性血小板減少症候群(SFTS)」
による死亡例として発表しました。

     新聞記事はこちら →  


この「重症熱性血小板減少症候群(SFTS)」というウイルス感
染症。例年では5月が感染のピークといわれているのを証明するか
のように、県の発表によると本年は5月11日までにすでに3件の
報告があり、しかもこのうちの2人が死亡しているといいますから、

 真夏前の、この5・6月の時期はとくに注意が必要

といえそうです。

そんなSFTS対策ですが、具体的には とにもかくにも感染の原
因となるマダニに刺されないように 肌を露出させないことが一番。
草むらなどにはいるときは 長袖・長ズボンを着用し袖口は軍手や
長靴のなかにいれることが大切になります。 → ​こちら​。
さらに「ディート」や「イカリジン」といったマダニの嫌う成分の
はいった忌避用のスプレー剤を使うのも効果がありそうですね。

また最近の傾向として、山間部での野外活動時だけではなく、農地
や住宅の軒先の家庭菜園などで刺された事例も増えてきている・・
ということで、アライグマやハクビシンなどの野生動物をみかけた
県ではいっそうの注意が必要となりそうです。宮崎県ではアナグマ
が増えていますし。


     

などと書くと、「アライグマやハクビシンなんて見たこともないか
ら用心しなくても大丈夫だろう」と、そうおっしゃるかたも多いか
もしれませんが、 しかし このマダニ。たとえばタヌキや とき
にはノラネコなどにも付着してその生息域をひろげているという現
実があるわけですから、転ばぬ先の杖 やはり注意するにこしたこ
とはない
といえそうです。

ということで今回は毎年患者数が増加している傾向にあるSFTS/
重症熱性血小板減少症候群についての ご報告と対策でした。


晴れ  SFTSの恐ろしさは、この感染症に対する有効なワクチン
   が存在しないこと。治療方法はあくまで対処療法しかない
   という点です。したがって最良の対策は・・・マダニに刺
   されないように注意することが一番の対策となります。
   
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ナメクジ防除の妙手。

2018-05-11 16:26:01 | Weblog
ナメクジ防除の妙手。

引き続きの話題ですが、先必勝ということで よろしかったら。

 ↓

毎年被害があるという場合は、冬眠から醒めた今の時期に増える前に
捕獲する作戦がいちばんの対策です。彼らは夜行性ですので、日がで
ているうちに隠れている場所での捕獲を実行します。
 → 被害の回は こちら

チェックポイントは、暗くて暖かい場所。

ということで、一般家庭のお庭であれば、まずは植木鉢の底。そして
鉢置きスタンドの裏やプランターです。なかでも要注意な生息場所は
横に排水孔が作ってあるタイプや底に網がひいてあるタイプのプラン
ターです。この排水孔のスペースに侵入しているケースがとても多い
のです。

こういった 暗くて・冬のあいだは寒さをしのげるところが[越冬や
産卵場所には最適ですので]要チェックですね。

さらに暗くて暖かい場所として意外なところでは、各家庭のエアコン
の室外ファンの中。このなかで越冬するナメクジも多いとのことで、
[室外ファンがよく壊れるという方はとくに]チェックされてみてくだ
さい。

そして、もっと効果的に防除したいという方は、なんといっても夜間
です。そう、夜のあいだに庭に出て

 彼らがお花や作物を食害にでてきたところを直接捕まえる

これです。

手袋か、もしくはお箸を利用してバシバシ捕まえちゃいましょう。
3晩つづけると、かなりな確率で駆除できますよ。

実際の農家さんの場合でもたとえば鉢栽培の方式がとられているシン
ビジウム/洋ラン栽培農家さんではこの駆除方法をなされている方も
多いです。

そして、気になるのは集めたナメクジの処理法ですが・・・

貝類に属するナメクジですからね。私の場合は、近くの池やいきつけ
の海で、魚やカメの餌にしちゃいます。せっかくの生命を無駄にする
のは、しのびないですから。

ということで、今回はご家庭での物理的なナメクジ防除のおはなしで
した。


晴れ 彼らが動き出す前ということもありますが、庭にまだ蚊の
  でてこない・いまのうち
が、なんといっても作業が楽なん
  です。

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農作物、こちらのヒョウ柄にも要注意。

2018-05-09 12:02:33 | Weblog
農作物、こちらのヒョウ柄にも要注意。

全回の関連で、2016年の回の採録ですが、よろしかったら。



『農作物、こちらのヒョウ柄にも要注意。』

関東でも発見されるようになったヒョウモンダコと競争しているわけ
でもないのでしょうけれど、こちらの ヒョウ柄にも注意が必要です。

それが、こちら
もともとはヨーロッパ原産だというマダラコウラナメクジです。

このナメクジ、関東で発見されたときは体長15センチというのが
定説だったと記憶しているのですが、いまは20センチ!といわれ
ていますから、ほんとうにびっくり。

さらにはその生息域です。

2012年には、すでに北海道においても確認されていたというニ
ュースには驚かされました。

余談ですが・・・ナメクジを駆除しようとしてひょいと植木鉢をも
ちあげたときなどに、もしこのマダラコウラと遭遇したとしたら、
ぱっと見で 塩ビ製のウルトラ怪獣フィギアなのか とおもってし
まいそう。。


晴れ ちなみに南九州でたびたび話題になる、南方から進出して
  農作物を加害するでかい貝類として アフリカマイマイ
  がいるのですが、インパクトがあるという点では、マダラ
  コウラナメクジに軍配が上がる気がします。 
 
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野菜を食害する生物といえば。

2018-05-07 10:25:25 | Weblog
野菜を食害する生物といえば。H
雨が多くなってくる季節。苗の被害と出荷前の葉の中への侵入などについ
てご質問がありましたので、よろしかったら。

 ↓

作っている苗や定植したばかりの、とくにアブラナ科の野菜の苗が、何者
かの被害をうけて葉の部分に大きな穴があいたり、先端部分がまるごと無
くなったり〔!〕することが 春先のこの時期には よくあります。せっ
かく苗に仕立てたり、あるいは植えたばかりの苗がやられちゃったら、が
っかりしてしまいますよね。
でも、さあ、もうひとがんばり、かわいい野菜やお花のためにも、加害す
る生物を見分けて対策をたてましょう。

さて、そんな春先の時期のアブラナ科の野菜を食害する生物とは、いった
い何者なのでしょう。

温度があがる夏場であれとすれば、苗を食害する生物としてネキリムシや
コナガも疑われます。しかし、いまはまだ春。まして今年は雨が多い。し
たがって暖かくなってから活動しはじめる昆虫類ではなく、むしろ

  越冬して春を迎える生物
  雨がちの気候下でも活発に動ける生物
  比較的低温であっても活動することができる生物

が主となって、野菜を加害している。さらに今年のような春の長雨が続く
気候下でも活発に活動できる生物ということもおおきなポイントにつなが
ります。

ということで、春先にアブラナ科の野菜を食害する生物として、まずまっ
さきに考えられるのは、そう ナメクジ類 ということになりそうです。
そんな春先のアブラナ科野菜類の大敵であるナメクジ対策についてのおは
なしは 次回にて。

・・・と話しを終えるまえに、日本の代表的な種である、つぎの3種のご
紹介はすませておきますね。

  ナメクジ

 年に一回の発生。3-6月に40粒ほど産卵。孵化した幼生は秋まで
 に成熟し、土中や積んだものの下などで越冬。

  ノハラナメクジ

 年2回の発生。3月から活動。1頭で300粒!ほどの卵を産み、秋ま
 でに成熟。春の卵から孵った幼生が秋には産卵できるので、注意が必要。
 ナメクジと同様に越冬。

  コウラナメクジ

 幼生で冬を越し、3月ころから活動開始。繁殖力が強いのが特徴。
 秋に成体となり、60粒ほど産卵。秋に孵化し、しばらく植物を加害し
 たのち、越冬に入ります。冬でも、暖かい雨の日には、潜伏場所からで
 てきて活動する


この3種、いずれも越冬してくるのでほんとに厄介・・というか厄貝/笑。


晴れ  被害が大きくなるのは、まずはなんといっても 湿りがちな場所
  が圃場のまわりにある場合です。
  たとえば、家に囲まれて陰になる所が多い場所。用水が流れてい
  る場所。野菜クズや落ち葉などの有機物残さの多い場所。それに
  周囲が荒地になっている場所などなどとなります。
  

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