間もなく、大阪フィルではシモーネ・ヤング(敬称略)を迎えてのブラームスの第2交響曲の演奏会ということで、昨日の午後は我がオーディオルームにてブラームス「2番」祭を催した。極めて私的な祭にて、聴衆はわたしひとり。
2番祭といっても、交響曲についてはサヴァリッシュ&ウィーン響のフィリップス録音のみ(ジャケットの美しさを見よ!)。残りは、ケントナー(pf) ボールト&フィルハーモニア管、アンダ(pf) フリッチャイ&ベルリン・フィルによるピアノ協奏曲第2番を聴いたささざ。
サヴァリッシュ&ウィーン響のブラームスはもう手放しに素晴らしい。ウィーンの馥郁とした情緒と理知的なサヴァリッシュの棒がぶつかっては妙なる化学変化を起こしているからだ。特に生きているのがバスのライン。常にバスを意味深く鳴らすことによってブラームスの設計した音の建築の意味がよく伝わってくる。整理されたアーティキュレーションやバランス感覚によりスコアが透けて見えるようでいながら、熱く燃える歌心やパッションにも事欠かない。
サヴァリッシュとウィーン響では、シューベルト「未完成」とメンデルスゾーン「イタリア」をカップリングしたアルバムも聴いたが、それも超弩級の快演であった。しばらくはサヴァリッシュへの注目がつづきそうである。
ケントナー独奏よる第2協奏曲は、フィルハーモニア管という最上のパートナーを得てのボールトの燻し銀の音楽づくりが光る。いかなる場面も慌てず騒がず、じっくりと構えては、気品溢れる演奏を繰り広げる。
一方、アンダ独奏の第1番は、特にフリッチャイが命懸けとも呼べる凄絶な指揮ぶり。かくも自らの命を火と燃やしたから、フリッチャイは早くにこの世を去ったのか? はたまた、命の限りを知っていたから、かくも激しく自らを燃やしたのだろうか・・。
アンダも力強く明晰なタッチで、フリッチャイともども高みに昇りゆく。まるで一期一会のライヴのような凄絶さをもって。
さあ、良い演奏に力を貰った。
今宵のマエストロによる合唱稽古への心の準備は万端だ。