前の記事にも書いたとおり、二期会の「バタフライ」2日目を観た。
第1幕を終えての感想は・・・。
うーん。
木下美穂子の蝶々さんと小林由佳のスズキは良いとして、ピンカートンが良くない。
声も姿も軽量級で、どうしてもアメリカ軍人に見えず、酔えないのだ。
このあたり、オール日本人キャストによる公演の難しいところか。
ボンゾも田舎芝居で感心せず、神官の声も出ていなくてガックリ。
コーラスの発声も、新国立劇場に較べると、だいぶ落ちる気がする。
演出が正統的なだけに、脇のキャストの弱さが気になって仕方がなかった。
もう一つの難敵は、私の周りの客席の雑音。
2階中央席のあちこちから、のど飴等のビニール音が聞こえてくるのには閉口。
ついでに、どこかは分からないけど、僕の大好きな蝶々さん登場の場面で、デッカイくしゃみしたオッサンの首を絞めたい(笑)。
なんで、あの夢のように素敵な場面でくしゃみするかなあ???
第2幕、第3幕で挽回せねば、ということで、まずは、環境を変えた。
ビニール音、咳などの雑音が休憩後に収まる保証がないため、1階最前列の下手寄りへ移動。
本当はいけないのだろうけど、まあ、同じカテゴリーだからご容赦願おう。
すると、怪我の功名か、声もオケもずっとリアルで、さらに歌手達の表情もよく見えて良かった。
少なくとも、東京文化会館でのオペラ鑑賞は舞台に近い方が良い、と再確認。
さて、第2幕は、殆ど蝶々さんの独壇場。
ピンカートンの出番はなく、蝶々さんとスズキさえ優れていれば良いので安心。
木下美穂子の蝶々さんは感情移入が素晴らしく、スズキの小林由佳も蝶々さんへの献身ぶりが胸に迫ってきた。
終盤のデュエットのみ、ハーモニーに破綻があったけれど、全体的には満足。
休憩なしに突入した第3幕。
近くで観ても、僕の感性は、あのピンカートンは受け付けなかった。
ルスティオーニの指揮は間近で聴くと、いっそう詩情に溢れて瑞々しい。
都響からイタリアの香りが立ち上るのが素敵ではないか。
この若き指揮者が、今後、たびたび来日してくれることを望もう。
というわけで、プッチーニの音楽の素晴らしさを味わうことのできた良い午後であった。
ピンカートンが趣味でなかったことと、大好きな第1幕が、心無い客の雑音で台無しにされたことが、ただただ悔やまれる。
二期会「蝶々夫人」第2日
2014年4月24日 14:00開演 東京文化会館大ホール
指揮:ダニエーレ・ルスティオーニ
演出:栗山昌良
舞台美術: 石黒紀夫
衣裳: 岸井克己
照明: 沢田祐二
舞台設計: 荒田良
合唱指揮: 佐藤宏
演出助手: 澤田康子
舞台監督: 菅原多敢弘
公演監督: 高丈二
【配役】
【蝶々夫人】 木下美穂子
【スズキ】 小林由佳
【ピンカートン】樋口達哉
【シャープレス】泉良平
【ゴロー】 栗原剛
【ヤマドリ】 鹿野由之
【ボンゾ】 佐藤泰弘
【神官】 渥美史生