大阪フィル創設70年を記念する「カルミナ・ブラーナ」2日目。大植マエストロの驚愕の音楽。森麻季さん、与那城敬さん、藤木大地さんの入魂の歌唱。そして、コーラスとオーケストラ一体となっての感動的な名演となりました。客席で聴きながら背筋に電気が走るほででした。
そもそも、わたしのこれまでの音楽人生は「カルミナ・ブラーナ」とは無縁だったのですが、この度、大阪フィルの記念の演奏会に採り上げられることとなり、向き合わざるを得なくなりました。
結果、カール・オルフの編んだこの作品の神髄に触れることができ、心から良かったと思っております。
神髄とは、即ち「生きること」。生、恋、愛、性、食、金、博打、運命・・・。
テキストに登場する人々がなんと逞しく、そして美しく生きていることか!そうした人間の根源的な生命力をこの音楽は余すとところなく描いてくれていることに、魂の震えが止まらないのであります。
大植英次マエストロの音楽は、極端とも思えるテンポ設定や大胆な間を採り入れた究めて独自のもので、人によっては許容範囲を超えていたかも知れません。しかし、一見ハチャメチャに見えながらも、身近に接してみて、その悉くが理にかなっている、或いは、音楽的な内容に適っている、ということに気付きました。次にこの作品を指導するときに、自分をニュートラルな状態に戻すのが困難なほど、強烈な印象を与えられたわけですが、たとえテンポや造型をノーマルなものにリセットしたとしても、大植マエストロから頂いたインスピレーションは、わたしの中で生きてゆくことと思います。
森麻季さんには「感激のあまり、舞台の上で涙ぐんでしまいました」と言って頂きました。ただただ幸せです。
さらに、与那城敬さんには、「僕も舞台上で涙を堪えるのが必死でした。音楽の力は凄いんだぞ!!と全宇宙に届いた公演だったような気がします」とまで言ってくださいました。
個人的には、桐朋学園の後輩が、かくも立派に歌ってくれたことは嬉しいことです。
唯一の無念は、終演後の慌ただしさで、藤木大地さんとの写真は撮り損ねたこと。しかし、藤木さんとはバーンスタイン「ミサ曲」で再会できます。そのときを楽しみに待ちたいと思います。