![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/48/d3/2774e3a02207d1193ce842999c37972c.jpg?1679630857)
ラヴェルの愛弟子にして、フランス音楽のスペシャリストであったロザンタールが、「トスカ」の録音を残したことを、かつては不思議に思っていたが、その疑問が氷解したのは、ロザンタールの著作「ラヴェル - その素顔と音楽論」(マルセル・マルナ編、伊藤制子訳、春秋社)から次のエピソードを読んだときである。
ロザンタールがラヴェルに、マスネとプッチーニを非難したとき、ラヴェルが「トスカ」全曲を弾いたという。そして、ピアノで弾く手を止めては「すばらしい、よくできている!」と語っていたのだ。
後に、ロザンタール自身、その音楽そのものの力強さとオーケストレーションの完璧を賞賛している。
彼には「トスカ」を振る強い動機があったのだ。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/67/45/04ffcd103ca42dd448e1b4e8878d6880.jpg?1679630888)
プッチーニ:トスカ(全曲・仏語歌唱)
M.ロザンタール指揮パリ国立歌劇場管&合唱団.
トスカ: J.ロード(Sop. )
カヴァラドッシ: A.ラーンス(Ten. )
スカルピア: G.バキエ(Br.)etc.
仏VEGA VAL.118
ST20.003/ 005 STEREO 3枚組
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/59/d5/258fede377af6ab3e6d95bbf76ff958c.jpg?1679630910)
仏VEGAに入れた「トスカ」、2枚組のモノーラル・プレスは架蔵していたが、ステレオ・プレスのあることを知ったのは最近のこと。
探しに探してようやく見つけたのが、このファースト・プレスである。豪華な赤い布張りボックスはモノーラル盤と共通だが、ロザンタールの名の下にステレオのロゴマークがある。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/18/2c/c32b6ea7c318a0e96e611470a9b6b633.jpg?1679631411)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/37/03/53482a78137de53d3567dd8092ca8014.jpg?1679631411)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/68/ce/651a2313c1a2836f3078d86db62f5d94.jpg?1679631411)
まず、針を降ろしての驚愕は、生半可な最新録音には太刀打ちできない素晴らしいオーディオファイルであるということ。仏Adesから出されたロザンタール指揮によるラヴェルやドビュッシーの復刻盤も優れた音質に違いないが、生々しさはまるで別物だ。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/6b/a1/9308952799dfa5b2d04012f4bc95c94d.jpg?1679632315)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/70/8e/5e1f8e81da3d828f50ed8ab6be671c9f.jpg?1679632315)
ロザンタールの指揮は、常に明晰で、見通しがよく、彼が愛したプッチーニのオーケストレーションの美を余すことなく伝える。オーケストラは生き物のように語り、歌手たちも情感豊かに歌い、演ずる。聴き慣れないフランス語であることも、いつしか忘れてしまう。
この春の仕事のため、ドビュッシーの「夜想曲」を聴きまくり、わたしの中でのロザンタールの再評価から、この盤の存在を知り、出会いに繋がった。ネットサーフィンならぬロザンタール・サーフィンとでも言えようか?
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/41/c7/e5aaf141d9fda35486d2d5f0e432c723.jpg?1679632381)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/04/30/20867bfdbc028872fe53a2e787f3f839.jpg?1679632381)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/21/75/f356cd7666d6b4376beea8a95292922d.jpg?1679632381)