ハイティンク&ロンドン響 来日公演初日。
美しかった!
入場料も安くはないし、大好きなブルックナーの日ではないし、どうしようか躊躇もしたけれど、出掛けて正解だった。
ここ数年、とかの単位ではなく、わが半生(もう折り返し点は過ぎているが・・・)の中でも、もっとも感動した演奏会のひとつと呼べる。
まずは、ペライアを独奏に迎えてのモーツァルトのハ短調協奏曲K.491。
ハイティンクの棒から生まれロンドン響のサウンドは、彼岸の国に鳴り響くが如く・・・。
弱音の儚さ、木管の憂愁、そして、その幻想の中を駆け巡るペライアのピアノ。
こんな類いの響きを体験するのははじめて、というほどの感銘を受けたのである。
ペライアのモーツァルトと言えば、2014年11月、同じサントリーホールにて、アカデミー室内楽団を弾き振りした協奏曲第21番ハ長調K.467を聴いたばかりだが、感動の質は今回の方が深かった。
100%ペライアとなる弾き振りも素晴らしいのだが、ハイティンクという他者と出会ったときに生まれる一期一会の炎が堪らなく美しいからである。
そして、マーラーの「4番」。
けっして大言壮語することない、徒に効果を狙うこともない、誠実でいて、どこまでも深く、愛に満ちたマーラー。
「ブルックナーじゃないけど、まあいいか」程度のの心構えで来てしまったことをお詫びしたい。
生きることの歓び、哀しみ、そして世界の美しさを思わせてくれる、極上のマーラーであった。
唯一惜しまれるのは、サントリーホールの音響であろう。
今回、わたしはLBブロック最後部というお気に入り(大きなオーケストラを聴く場合)に陣取ったので演奏丸ごとを堪能できたのだが、座席によっては音に芯のない、弱々しい演奏を聴こえてしまったようである。
力づくの場面が皆無、ピアノ以下の弱音に無限のニュアンス漂う美演だっただけに、勿体ない話だ。
そもそも、サントリーホールは音の良いスイートスポットが限定されすぎている。2017年に音響面も含めた大改修を行うという話だが、せめて1階席と2階席センターに音が届くように直して貰いたい。
ロンドン交響楽団演奏会
2015年9月28日 19:00 サントリーホール
【プログラムC】 |
モーツァルト: ピアノ協奏曲第24番 ハ短調 K.491 (ピアノ: マレイ・ペライア) *** マーラー:交響曲第4番 ト長調 (ソプラノ:アンナ・ルチア・リヒター) |
【出演】 |
ベルナルト・ハイティンク(指揮) マレイ・ペライア(ピアノ) アンナ・ルチア・リヒター(ソプラノ) |