福島章恭 合唱指揮とレコード蒐集に生きるⅢ

合唱指揮者、音楽評論家である福島章恭が、レコード、CD、オーディオ、合唱指揮活動から世間話まで、気ままに綴ります。

作曲家・町田育弥くんの手記

2016-01-31 14:50:16 | コーラス、オーケストラ

桐朋学園時代の文芸部の仲間、友人にして作曲家の町田育弥君がボクらの「マタイ」を聴いてくれた。今朝、電話をくれたのも嬉しかったな。
いつか、町田君の作品を指揮したいと目論んでいます。どの合唱団で出来るかなあ。

町田君は立派な教育者でもあって、こんな本を出してます。

ピアノや音楽教室の先生にはお馴染みかも知れない。

http://www.amazon.co.jp/ピアノとソルフェージュの本-みみをすます-1-町田-育弥/dp/4276921198

町田君の手記

『目黒柿の木坂「常圓寺」の銀杏。おっと、暗すぎてわかんないね。
近くのパーシモンホールで福島章恭君率いる「マタイ受難曲」を聴いた帰り道、境内に入り込んで撮影。
マタイを聴いて、否応なく命のありようを思う方向にむいていた心が巨木のたたずまいに反応したのかな?
一人の死をめぐる同時多発的な「想い」や多層な「意味」の錯綜が浮き彫りになる、スリリングな演奏でした。
親方おめでとう。トーマス教会での成功お祈りします。』


「マタイ受難曲」公演のご感想 ~ タワーレコード板倉重雄さんより

2016-01-31 11:59:41 | コンサート

Facebook上にタワーレコード板倉重雄さんより「マタイ受難曲」公演のご感想が投稿されました。

高い評価を頂き、光栄です。

いまだ、自分で長文を書くエネルギーがないので、ご報告も兼ねて、転載させて頂きます。

もちろん、板倉さんの御承認は得ております。

『めぐろパーシモンホールでの福島章恭指揮、バッハ:マタイ受難曲終演。キリストの受難の物語とバッハの音楽の生々しい人間ドラマが身に迫る素晴らしい演奏会でした。

キリストを十字架につけたのが時の権力者に扇動された群衆ならば、キリストを死に追いやり取り返しのつかないことになったと悔悟の念に苛まれるのも群衆。群衆心理の愚かさはワーグナーの「パルジファル」の聖杯騎士団にも描かれますが、マタイ受難曲の深いところは群衆心理で愚行を起こす群衆も、悔悟の念に駆られる群衆も、ともに同じ合唱団によって歌われるところです。
本日の福島さんの指揮は合唱団の音色にこうした人間の醜さや怒りや悲しみや温かさが滲み出ていました。キリストに唾し、鞭でうち、拳で殴り、十字架に架けろと熱狂する群衆の愚かさ、無実の罪でキリストを死に追いやった自らの愚行を後悔する涙、安らかに眠れと祈る優しさ、全てが合唱団の音色で表現されていました。その悔悟の念を表した第37曲、第54曲、そして最後のコラールは聴いていて涙をこらえることができませんでした。
これは今から2000年前を舞台とした物語ですが、2016年の1月の様々な出来事を思い浮かべるだけでも人間の本質というものは何も変わっていないと私は思います。日本国民全員が本日の福島さんの指揮のような優れた演奏でマタイ受難曲を聴くべきなのです。
本日の公演はソリストも素晴らしい歌声を聴かせてくれました。エヴァンゲリストの畑儀文の深い声、卓越した技巧の安定感、そして絶妙のニュアンス。世界的に見ても最高のエヴァンゲリストの一人でしょう。ソプラノの星川美保子は細く清らかな声質が宗教曲にぴったりで、そのあまりの儚さと美しさは落涙ものでした。アルトの谷地畝晶子は太く柔らかな歌声で声量も豊か。有名な第39曲で哀れを誘うヴァイオリン・オブリガートと絡みながら、キリストを憐れむ心を見事に描き出していました。若い3人の男声歌手の中ではバス・バリトンの山下浩司が抜きん出た実力を示していました。
今日のマタイは古楽演奏の東京バロック・コンソートの個々人の高い技量と豊かな音楽性、歌手や互いの奏者、そして聴衆に語りかけるようなアンサンブルも見事でした。
合唱団の東京ジングフェラインは1ヶ月後にバッハの聖地、ライプツィッヒの聖トーマス教会でマタイ受難曲を演奏する予定とのこと。心から成功をお祈りいたしますし、きっと本場の聴衆の心を打つに違いないと思います。』


「マタイ受難曲」東京公演終わる

2016-01-31 02:17:25 | コンサート
マタイ受難曲の東京公演は、感動のうちに幕となりました。

まずは、会場にお集まり頂いた皆様に心より感謝致します。

今回は、ソリスト陣も素晴らしく、オーケストラの献身もあって、生涯の記念となるべき演奏会となりました。

いまは詳細に綴るエネルギーのないため、これにて失礼しますが、少なくとも、めぐろパーシモンホールの客席にいらした方の中に「ああ、ヤマガズ&日フィルのマーラーにしとけばよかった」という方は一人も居なかったと確信します。

これからの2週間は、各団にてライプツィヒ聖トーマス教会公演のためのレッスンとなります。お仕事や家庭のご事情から、東京公演よりも人数が減ってしまうので、どうなるか分かりませんが精一杯やりたいと思います。



「マタイ受難曲」ご期待ください!

2016-01-29 23:28:55 | コーラス、オーケストラ


マタイ受難曲のオーケストラ、ソリスト合わせ、無事に終了。

素晴らしく献身的なオーケストラと魅惑のソリスト陣。振りながら幸せを感じました。



ボクのテンポは、愛知祝祭管のブルックナー8番に引きつづきスローです。演奏時間は休憩を含まずおよそ3時間半! もちろんクレンペラーには及びませんが、古楽器オーケストラとしては異例のテンポだと思われます。



しかし、今日、聴いてくださってた方によれば、遅いとか長いとかは些かも感じなかったこと。それもブルックナーに通じますね。



天気は心配されますが、当日券もご用意します。どうぞご期待ください。






3年前のあの日までは・・・

2016-01-29 00:04:04 | コーラス、オーケストラ

さあ、いよいよオケ&ソリスト合わせだ。

はじめて振る「マタイ」。

3年前のあの日までは一生振ることはないだろうと思っていた「マタイ」。

はじめてステージに立つホール、久しぶりの古楽器オーケストラ。

星川さん、谷地畝さん、升島さんとははじめての顔合わせ。

ボクは器用なタイプではないので、リハーサルでは何が起こるか分からないが、力強く、そしてゆったりと振ろう。

まずは、オケ合わせ~本番に向けて、インフルエンザや風邪にも罹らず、絶好調とは言わずともまずまずの体調で迎えられたことを喜びたい。

明日、途中で転んだりしないよう気を付けて、めぐろパーシモンホールへ向かおう。

※昨日、告知した聖トーマス教会「ロ短調ミサ」ライヴCDの会場での販売は中止となりました。 悪しからず、ご了承ください。

なお、福島章恭&愛知祝祭管のブルックナー第8番、および、小沢さちによるバッハ「平均律クラヴィーア曲集第1巻」(オルガン版)のCDは販売致しますので、よろしくお願いします。

 


マタイ受難曲 当日券情報

2016-01-28 23:38:27 | コーラス、オーケストラ

いよいよ30日土曜日に迫った「マタイ受難曲」公演。

天候は「雨」も予想されますが、大雪を思えば贅沢は言えません。

本日、集計したところ、当日券は若干枚ご用意できるとのことです。

会場取り置き分については、29日いっぱい受付します。

電話の繋がらない場合は、メールにてお問い合わせください。

どうぞ、よろしくお願いします。

※昨日、告知した聖トーマス教会「ロ短調ミサ」ライヴCDの会場での販売は中止となりました。 悪しからず、ご了承ください。

なお、福島章恭&愛知祝祭管のブルックナー第8番、および、小沢さちによるバッハ「平均律クラヴィーア曲集第1巻」(オルガン版)のCDは販売致しますので、よろしくお願いします。

■2016年1月30日(土)
14:30開場 15:00開演
■めぐろパーシモンホール 大ホール
(東急東横線 都立大学駅 徒歩7分)
 未就学児を同伴しての入場、カメラ・ビデオ撮影および録音はお断り
 致します。また、演奏中の入退場はお断りいたします。

出演:
 指揮 島 章恭
 テノール/エヴァンゲリスト 畑 儀文
 バリトン/イエス 青山 貴
 ソプラノ 星川 美保子 
 アルト 谷地畝 晶子
 テノール 升島 唯博  
 バス・バリトン 山下 浩司

東京バロックコンソート(古楽器)
  コンサートマスター 天野 寿彦
  オルガン 能登 伊津子

   東京ジングフェライン
   長岡混声合唱団
   厚木マタイを歌う会
   いな少年少女合唱団(長野県)

■チケット:(全席自由)2,800円
 チケット申し込み・お問い合わせ
  Tel : 042-625-6031 (齋藤)
  Mail : info@tokyo-singverein.com

 


福島章恭の型に嵌めるのでなく ・・・ 「マタイ受難曲」本番に向けて

2016-01-27 00:37:32 | コーラス、オーケストラ

年が明けてからのコンサート通いがままならない。

いまのところ、イザベル・ファウストの無伴奏リサイタル(1月19日、王子ホール)のみ。

それも、大雪による諏訪足止めの翌日で、旅の疲れがドッと出たのか、はたまた温泉に浸かりすぎて全身の筋肉が緩んでしまったのか、素晴らしい演奏であることは感じつつも前半丸ごと睡魔に見舞われるという体たらく。

在京オケでは、スクロヴァチェフスキー&読響のブルックナー8番、ダウスゴー&新日本フィルのニールセン5番、アラン・ギルバート&都響のワーグナー「指環への旅」の3プログラムは聴き逃せないところなのだが、すべて自分の「マタイ」ほかのレッスンと重なって行くことが出来なかった。

いずれも知己から上がってくる評判は上々だが、こればかりは仕方がない。演奏をする者の宿命だ。聴く歓びよりも演奏する歓びが勝るのだから、これでよいのである。

さあ、明晩は、長岡での「マタイ」最終稽古、1日オフの後、29日にはソリスト、オーケストラを向かえての稽古である。

「マタイ」のような大曲なのに前日だけのリハーサルで大丈夫か?

と思われる方もいらっしゃるかも知れないが、今回の独唱およびオーケストラ奏者の皆さんは日本が誇るバッハのスペシャリストばかり。

第一に、この錚々たる顔ぶれのスケジュールを3日間揃えることは困難であること。第二に仮に3日間拘束できたとしてもコーラスの予算をオーバーしてしまうこと等から、前日と当日だけの合わせとなるのはやむを得ない。

前日の稽古時間が長大になるため体力的に厳しいのは確かだが、やり遂げるほかないのである。

もっとも、今回のメンバーでバッハを指揮するというのは、ウィーン・フィル相手にヨハン・シュトラウスを振るようなもので、指揮者であるボクさえしっかりしていれば問題はない。

福島章恭の型に嵌めるのでなく、福島章恭の枠の中で自由に羽ばたいて頂けるよう心掛けるなら、自ずと素敵な演奏となることであろう。

東京バロックコンソート TOKYO BAROQUE CONSORT

東京バロックコンソートは、福島章恭の呼びかけで、コンサート・マスターの天野寿彦をはじめとして、日本を代表する古楽器の名手たちが今回の演奏会のために結集して編成されたオーケストラである。古楽器を演奏する合奏団の言葉であるコンソートを冠し、軸足をJ. S. バッハに置いた最高の演奏を目指した団体としてシンプルに命名した。

 第1オーケストラ

第1ヴァイオリン:天野 寿彦(コンサートマスター)、堀内 由紀、高岸 卓人

第2ヴァイオリン:丸山 韶、吉田 爽子  ヴィオラ:深沢 美奈、朝吹 園子

チェロ:山本 徹   コントラバス:角谷 朋紀

フラウト・トラヴェルソ:前田 りり子、鶴田 洋子  オーボエ:三宮 正満、森 綾香

ファゴット:永谷 陽子

第2オーケストラ

第1ヴァイオリン:長岡 聡季(コンサートマスター)、青木 奈緒子、佐藤 駿太

第2ヴァイオリン:廣海 史帆、石井 弓奈  ヴィオラ:伴野 剛、吉田 篤

チェロ/ヴィオラ・ダ・ガンバ:武澤 秀平   コントラバス:平塚 拓未

フラウト・トラヴェルソ:佐々木 華、細川 愛梨  オーボエ:小野 智子、篠原 由桂

ファゴット:安本 久男

オルガン:能登 伊津子


マタイ受難曲 最終合唱レッスン(東京・厚木)

2016-01-25 13:05:06 | コーラス、オーケストラ

先週の金曜日、土曜日をもって、東京ジングフェライン、および、厚木マタイを歌う会の「マタイ受難曲」コーラス稽古はすべて終了。

東京ジングフェラインで言えば、2013年9月22日の「ロ短調ミサ」凱旋公演を終えてから、2年4ヶ月をかけて積み上げた練習ということになる。

まあ、実際には、遠回りしたり、ザルで掬っている時期があったり、積み上げたものを崩したりと順風満帆とはいかなかったが、

それでも、最初の頃を考えると、「よくここまで来たな」という感慨はある。

合唱団のメンバーもよくへこたれずに来たと思うが、それを支えてくれたピアニストの小沢さちさんとヴォイトレの広川恵さんに感謝をしたい。

「厚木マタイを歌う会」全員の肖像画は、AZUMAさんの作。

ひとりひとりの特徴がよく捉えられていて、大いに感嘆した。団員諸氏にとっても、よい想い出となるであろう。

オリジナルの記事はこちら↓

AZUMAのブログさん http://ameblo.jp/lovely-heart-azuma/


こちらは、1枚の絵の中に、1月10日~11日の合宿の風景が描かれている。

たしかにバスはよく走り、テノールは落ち・・・。

本番に向けての不安が暗示されている(笑)けれど、以後、素晴らしく克服された・・ということにしておこう。

こちらは、東京ジングフェラインの昨年末のレッスン。

少人数向きの恵比寿のテッドアートスタジオに、厚木組が押し寄せて、声がカオスのようになっていたの図。

さて、あとは長岡混声合唱団との最後の合唱稽古を終えると、いよいよ29日金曜日のソリスト合わせ、オーケストラ合わせ、そして、30日の本番となる。

まずは、風邪を引かないこと、インフルエンザにかからないこと、食べ過ぎないこと、怪我をしないこと・・・など、無事に当日を迎えることを第1に考えたい。

♪追記

「マタイ受難曲」残券情報

現在、東京ジングフェライン事務局には、20数枚の残券がございます。

当日券を出せるか否かは、ここ数日の販売状況によって決めるとのこと。

確実にお聴きになりたい方は、お早めにお申し込みください。

よろしくお願いします。

■2016年1月30日(土)
14:30開場 15:00開演
■めぐろパーシモンホール 大ホール
(東急東横線 都立大学駅 徒歩7分)
 未就学児を同伴しての入場、カメラ・ビデオ撮影および録音はお断り
 致します。また、演奏中の入退場はお断りいたします。

■出演:
 指揮 島 章恭
 テノール/エヴァンゲリスト 畑 儀文
 バリトン/イエス 青山 貴
 ソプラノ 星川 美保子 
 アルト 谷地畝 晶子
 テノール 升島 唯博  
 バス・バリトン 山下 浩司

東京バロックコンソート(古楽器)
  コンサートマスター 天野 寿彦
  オルガン 能登 伊津子

   東京ジングフェライン
   長岡混声合唱団
   厚木マタイを歌う会
   いな少年少女合唱団(長野県)

■チケット:(全席自由)2,800円
 チケット申し込み・お問い合わせ
  Tel : 042-625-6031 (齋藤)
  Mail : info@tokyo-singverein.com

 


やはり凄い。朝比奈&シカゴ響のブルックナー5番

2016-01-23 01:00:34 | コーラス、オーケストラ

せっかく日付の変わる前に睡魔が訪れていたのに、朝比奈先生&シカゴ響のブルックナー#5の映像をうっかり観たら、血が騒いで眠気が吹き飛んでしまった。

この日の朝比奈先生の指揮ぶりを観ていると、けっして絶好調とは思えないのだけれど、途轍もない音がしているのは流石シカゴ響だ。

この演奏を「無策」と批判する人の少なくないことも知っているし、それも否定はしない。

たとえばヴァントの方がよくアナリーゼされ、練られた音楽というのもよく分かる。

さらには、シカゴ響のアンサンブル力をもってしても、あの不器用な棒によって縦の線の合わない場面もある。

しかし、この腸にズシンと響くサウンド、巨大な造型は他の誰にも作ることの出来ない朝比奈先生の真骨頂。

これさえあれば、ボクには十分だ。

「マタイ受難曲」本番1週間前に、大きなエネルギーを頂いたような気がする。

さあ、やるぞ!