もう4日も経ってしまったが、長岡混声合唱団第15回定期演奏会は成功裏に終わった。
「ドイツ・レクイエム」に関しては、2月のサントリーホール、6月のベルリン・フィルハーモニーホールにつづき、今年三回目の本番指揮となる。
260名を越す大コーラスと対峙したサントリー公演、いかにもドイツといった重厚なサウンドをもつベルリン響とのベルリン公演、いずれもが印象深いものであったが、
今回の室内オーケストラ版での演奏には、特別な感動があった。
最も小さな編成の合唱団、室内オーケストラ、そして、長岡リリックホールという中規模のホールでの演奏。
フルート(ピッコロ持ち替え)、オーボエ、クラリネット、ファゴット、ホルン(1パートを2奏者に振り分け)、ティンパニ、弦五部のためのアレンジに、オルガンを追加しての室内オーケストラは、
オリジナルの大編成に較べ、1人当たりの奏者の演奏する分量も多く、さらにアンサンブルには緻密さが求められる。それが、実に見事なパフォーマンスを見せてくれたのだ。
その夢のように美しいサウンドに乗せて、長岡混声合唱団は持てる力をすべて、否、実力以上の力を出してくれたと思う。
専門的音楽教育を受けたメンバーが多いわけでもなく、平均年齢が若いわけでもない。
技術的には、これより上手い合唱団はいくらでもあるだろうが、そこに生まれるハーモニーには独特の味わいがあって、聴くものを惹き付ける。
そのことは、独唱を務めてくださった馬原裕子さん、与那城敬さんのお二人も認めてくださったことである。
さて、そのお二人のソロが最高で、オーケストラと一体になったギリギリの表現は、ひとつのゾーンに入っていたと思う。
その奇跡の時間を指揮台の上で体験できたわたしは、幸せであった。
前半の髙田三郎「心の四季」は、長年のパートナーである小山惠さんのピアノで。
休憩後の静寂とは違って、客席にちょっとしたざわつきや物音が多く、指揮に集中するのが難しかったが、髙田作品の美しさを伝えることはできたと思う。
「心の四季」に関しては、来る21日(土)長岡造形大学に於ける県文化祭での再演が決まっているので、さらによい演奏をしたいと思う。
※いま、手元に本番やコーラス付リハーサルの写真がないため、オーケストラ稽古の写真のみにて失礼致します。