福島章恭 合唱指揮とレコード蒐集に生きるⅢ

合唱指揮者、音楽評論家である福島章恭が、レコード、CD、オーディオ、合唱指揮活動から世間話まで、気ままに綴ります。

福島章恭コンサートシリーズ Ⅲ 本チラシ完成 / ベートーヴェン「英雄」&「第8」

2023-11-28 20:48:23 | コーラス、オーケストラ

 

本チラシが刷り上がりましたので、ここに披露致します。
ほんわかとしたデザインの仮チラシからは伝えられなかった、この演奏会に賭ける気合いを感じて頂けたら幸いです。

チケットは、12月1日(金)午前10時より、かもっくす音楽舎とビーフラット・ミュージックプロデュースにて発売を開始します。
また、チケットぴあ、チケットMOVEでの受付は、12月15日からとなります。

来年4月13日土曜日、是非とも、今からご予定ください!

福島章恭コンサートシリーズ Ⅲ 開催決定!
♪The 62nd Birthday Commemoration 
 
2024年4月13日(土)14時開演
杜のホールはしもと
JR横浜線・京王相模原線 橋本駅北口ミウィ橋本7F

プログラム
ベートーヴェン
交響曲第3番変ホ長調作品55「英雄」
交響曲第8番ヘ長調作品93
 
指揮:福島章恭
東京フォルトゥーナ室内管弦楽団
(コンサートマスター:相原千興)
 
一世一代、渾身のベートーヴェンを
《小学校6年生の春、親にねだって買ってもらったレコードはシュミット=イッセルシュテット指揮ウィーン・フィルによるベートーヴェン「英雄」「田園」の2枚組でした。来る日も来る日も繰り返し聴いたこれらのレコードがわたしに音楽への道を開いてくれたのです.。62回目の誕生日に、我が原点である「英雄」を振ることにしました。わたしを育て、導いてくれた全ての「人」と「歴史」に感謝を込めて》
 
全席自由 4,500円 12月1日発売
(チケットぴあ&チケットMOVE 12月15日 取り扱い開始)

チケット購入・お問い合わせ 
かもっくす音楽舎 042-799-0182 akiyasu.concerts@gmail.com
ビーフラット 03-6908-8977
チケットぴあ&チケットMOVE 【 Pコード:255257 】(12月15日より)

 

 


バチカン&アッシジで歌うツアー- なかにしあかね先生ととも その2 「4つの聖歌」誕生

2023-11-09 10:50:36 | コーラス、オーケストラ



東京練習会は4月より始まりました。
ピアニストには、「現地でピアノ、およびオルガン演奏の可能な方を」ということで、大野久美子先生にお願いすることができました。

嬉しい誤算は、ご参加メンバーの熱意と音楽性が高く、期待を上回るスピードでレッスンが進行したことです。
進捗状況によっては、「戴冠ミサ」の「クレド」を省略することも考えていたのですが、まったくの杞憂に終わりました。
ということで、なかにしあかね先生の新作を迎え入れる状況は整いつつありました。
一方、盟友・中村貴志先生にご指導を委ねた大阪支部では、「水のいのち」「戴冠ミサ」両作品ともに未経験、という方の割合が多く、東京よりも少ない練習回数の中、ご苦労をおかけしたようです。



なかにしあかね先生の新作が完成した、の報せの届いたのは、7月24日(月)の午後3時7分(LINEというのは時刻まで記録されていて有り難いような怖いような)。
「作品の届くのがツアーの直前だったらどうしよう?」という団員一同、およびわたしの不安が解消されたのは、本当に有り難いことでした。
「なかにし先生、本当にありがとうございました」
間もなく届いた封書には、ラテン語のテキストによる「4つの聖歌」がありました。
「Cantate Domino(入祭唱のための)」「Veritas mea(奉納唱のための)」「Pacem meam(拝領唱のための)」「De profundis(閉祭唱のための)」

まずは、最初のページから衝撃を受けましたが、スコアを紐解くうちに「これは、ただならぬ作品だ」の想いは強くなるばかり。
わたしのような者が述べるのも気が引けますが、これまで抱いていた「なかにし作品」とはテイストが違っていました。
硬派であり、辛口であり、より揺るぎなく堅牢なイメージ。
主に旧約聖書の詩篇から選ばれた峻厳なテキストが、作曲家にかくも崇高なインスピレーションを与えたのかと思うと、身震いすら覚えたほどです。

さっそく、次の東京練習会から「4つの聖歌」のレッスンに取りかかりましたが、
人の声によって歌われる効果は、ピアノでの試演を遙かに凌ぐものでした。そして、この作品は忽ちにして、ご参加者全員を虜にしました。
しかし、問題は、難易度も想定を超えていたことです。
「今日もひとつ」「よかったなあ」などを、ピクニックに例えるなら、「4つの聖歌」は小さな規模の登山と言えましょうか。
「このペースでレッスンを続けるなら、残りの全回数を捧げても仕上がらない」ことは、明らかでした。



そこで、わたしは一念発起し、「4つの聖歌」の全パートのための音取り用の音源を作成することを決意。
1作ずつ完成させては、メンバーに公開するということを繰り返していきました。
音取り音源作成のための、バーチャル音源、映像・楽曲作成のためのソフト、MIDIキーボード、ミキサーなどは、コロナ禍で仕事の全くなかった時期に揃え、使い方を学んだものですが、それがこんな形で生かされることがあろうとは!
皆さんが勉強熱心なだけに、音取り音源公開後のレッスンの進みはスムーズとなり、それが実り豊かな公演へと繋がることとなりました。
わたし自身にとっても勉強になったし、地方からのご参加で、東京や大阪の練習会に出席の難しい方のお役にも立ったようでした。

わたしに課されたもうひとつのお仕事は、テキストの意味を団員に伝えることでした。
しかし、ここで大きな壁にぶち当たることになります。それについては、次回に譲ろうと思います。

(つづく)


バチカン&アッシジで歌うツアー- なかにしあかね先生とともに 成功裡に終わる その1

2023-11-01 23:15:41 | コンサート

バチカンとアッシジで歌う演奏旅行(参加者61名、主催:国際親善音楽交流協会 = IGMEA)が、10月23日~31日の日程で行われ、去る10月31日に無事に帰国しました。コロナ禍前から始まっていた企画ですから、足かけ4年ほどをかけて成就されたツアーとなります。

Coro Verità e Pace(合唱団" 真実と平和”)と名付けられた合唱団は、東京と大阪(中村貴志先生のご指導)のふたつの練習会から成り、現地で合流し、下記のふたつの本番に臨むこととなりました。

1.2023年10月26日 バチカンのサン・ピエトロ大聖堂に於ける(17時の)ミサに於ける聖歌の奉納

2.2023年10月28日 アッシジの聖フランチェスコ教会に於けるコンサート

かねてより私は、アッシジの聖フランチェスコ大聖堂にて「水のいのち」を演奏したいという夢を持っており、それを軸に企画を膨らませていくことにしました。
なぜ「みずのいのち」か?
というと、過去に二度、この地を訪れたとき、街の清澄な空気感、大聖堂の神秘にして神聖な空気が髙田作品を演奏するに相応しいと直感したからです。
もちろん、髙田三郎先生の典礼聖歌「(アシジの聖フランシスによる)平和の祈り」に導かれたということもあったでしょう。

しかし、何か足りない。
「水のいのち」の海外演奏は、過去何度も行われています。
わたし一人に限っても、2004年にウィーンのムジークフェラインザール、ザルツブルクのモーツァルテウム、翌2005年に、プラハのスメタナホールと、髙田留奈子先生、髙田江里先生(プラハではピアノ担当)のお立ち会いの下、それぞれの土地での初演指揮をさせて頂きました。

ゆえに、もう一つ、新しいツアーへ心を駆り立てる決定的な柱が欲しい、と考えていたときに閃いたのは、
「邦人作曲家に新作のラテン語による宗教音楽を委嘱する」というものでした。
そうすれば、バチカンとアッシジに日本の宗教作品を届けるという、ただの自分たちの楽しみに終わらない、重大な使命を帯びたコーラスとすることが出来ます。
この閃きを、主催者である国際親善音楽交流協会(IGMEA)の丸尾氏に提案したところ、
「素晴らしいアイデアです」と大賛成して頂きました。

ではどなたに?
数名の候補が頭をよぎりましたが、結論は一瞬でした。

「なかにしあかね先生にしましょう!」

厚木市合唱連盟による「よかったなあ」委嘱初演の時より、先生とは面識はあり、
さらには、星野富弘の詩による「今日もひとつ」を演奏しながら、
特に、「いちじくの木の下」などに、その音楽にキリスト教の空気感を感じていたからです。
もちろん、星野富弘がクリスチャンのなので「当たり前のことではないか」と突っ込まれそうですが、音楽と詩が見事に融合してひとつの有機体となっている、ということを指してこう言っているのです。

わたしは勝手気儘にアイデアを述べるだけで、実際に動いてくださるのはいつもIGMEAの丸尾さんです。
丸尾さんは、既にご面識のあった某先生の仲介を経て、なかにし先生へのご依頼に漕ぎ着けてくださいました。
そして、幸いなことに、ご快諾頂いたわけであります。

さて、この2曲だけでは、一本のコンサートとして尺が足りない。
そこで、選ばれたのが、モーツァルト「戴冠ミサ曲」でした。
作品のクオリティの高さ、知名度、演奏時間、難易度など、すべてをクリアする作品だったので、これもスンナリと決まりました。
実は、ほかに、上述の髙田三郎先生の典礼聖歌「(アシジの聖フランシスによる)平和の祈り」も演奏するつもりだったのですが、
とある、やんごとなき事情が生まれ、実現できませんでした。
無念ではありますが、やり残したことがある、というのは、素晴らしいことでもあります。
再チャレンジしようという気持ちを持ち続けられるからです。
もし生あるうちに再びの機会が与えられるなら、
わたしたちをアッシジに導いてくれた「平和の祈り」を演奏しなければならない、と考えています。
(その2へつづく)

※写真は、10月26日、サン・ピエトロ大聖堂に於けるミサを終えての記念撮影。