ヘンリク・シェリング(vn) バッハ名演集
[LP1/AB]無伴奏ヴァイオリンのためのパルティータ第2番ニ短調BWV1004
TFMCLP1015
[LP2/A]ヴァイオリンとチェンバロのためのソナタ第3番ホ長調BWV1016
[LP2/B]無伴奏ヴァイオリンのためのソナタト短調BWV1001
TFMCLP1016
[LP3/A]ヴァイオリンとチェンバロのためのソナタ第6番ト長調BWV1019
[LP3/B]ヴァイオリンとチェンバロのためのソナタ第1番ロ短調BWV1014よりアンダンテ(アンコール)
シェリング(肉声と常松伸一氏による吹き替え)
「バッハのソナタとパルティータについて」
「バッハの解釈について」
録音 1976年4月12日 東京文化会館
TOKYO FM(キングインターナショナル)
TFMCLP 1014/16 3LP STEREO
無伴奏パルティータ第2番と無伴奏ソナタ第1番は、独グラモフォンに入れた二度目の全曲録音のものより、ボクは好き。
完璧の人シェリングなので、実演に有りがちなキズもなく、かといって、思いも寄らぬ爆演ともならない。
しかし、端正な佇まいの中で、シェリングの魂は静かに熱く燃えている。ライヴならではの高揚する息遣いも確実にある。
さらに、音質が独グラモフォンのスタジオ盤より素直なのがよい。ヴァイオリンの音色も極めてナチュラルに捉えられているし、会場の空間性や固唾を飲む聴衆の気配まで入っている。
マイケル・イサドーアのピアノと共演した2つのソナタも、お互いに高め合い、寄り添い合うアンサンブルが美しい。
シャコンヌだけに1面を与えるというゆとりある贅沢なカッティングも、音質への気遣いが感じられて嬉しいではないか。
もちろん、この盤の出現によって、グラモフォン盤の価値が些かも揺るぐことはない。ただただ、フルニエ東京ライヴに続いて、素晴らしい国内盤ボックスがコレクションに加わったことを喜ぶのみ。
写真左はシェリング最初の全曲盤。録音:1955年、パリ(モノラル)(ただし、これは独の再発盤)。
右が二度目の独グラモフォン盤。録音:1967年7月、スイス、ヴヴェイ(ステレオ)。