福島章恭 合唱指揮とレコード蒐集に生きるⅢ

合唱指揮者、音楽評論家である福島章恭が、レコード、CD、オーディオ、合唱指揮活動から世間話まで、気ままに綴ります。

シェリングのバッハ 東京ライヴ1976

2014-08-31 10:36:58 | コーラス、オーケストラ

ヘンリク・シェリング(vn) バッハ名演集

[LP1/AB]無伴奏ヴァイオリンのためのパルティータ第2番ニ短調BWV1004
TFMCLP1015
[LP2/A]ヴァイオリンとチェンバロのためのソナタ第3番ホ長調BWV1016
[LP2/B]無伴奏ヴァイオリンのためのソナタト短調BWV1001
TFMCLP1016
[LP3/A]ヴァイオリンとチェンバロのためのソナタ第6番ト長調BWV1019
[LP3/B]ヴァイオリンとチェンバロのためのソナタ第1番ロ短調BWV1014よりアンダンテ(アンコール)
シェリング(肉声と常松伸一氏による吹き替え)
「バッハのソナタとパルティータについて」
「バッハの解釈について」

録音 1976年4月12日 東京文化会館
TOKYO FM(キングインターナショナル)
TFMCLP 1014/16 3LP STEREO

無伴奏パルティータ第2番と無伴奏ソナタ第1番は、独グラモフォンに入れた二度目の全曲録音のものより、ボクは好き。
完璧の人シェリングなので、実演に有りがちなキズもなく、かといって、思いも寄らぬ爆演ともならない。
しかし、端正な佇まいの中で、シェリングの魂は静かに熱く燃えている。ライヴならではの高揚する息遣いも確実にある。
さらに、音質が独グラモフォンのスタジオ盤より素直なのがよい。ヴァイオリンの音色も極めてナチュラルに捉えられているし、会場の空間性や固唾を飲む聴衆の気配まで入っている。

マイケル・イサドーアのピアノと共演した2つのソナタも、お互いに高め合い、寄り添い合うアンサンブルが美しい。

シャコンヌだけに1面を与えるというゆとりある贅沢なカッティングも、音質への気遣いが感じられて嬉しいではないか。

もちろん、この盤の出現によって、グラモフォン盤の価値が些かも揺るぐことはない。ただただ、フルニエ東京ライヴに続いて、素晴らしい国内盤ボックスがコレクションに加わったことを喜ぶのみ。

写真左はシェリング最初の全曲盤。録音:1955年、パリ(モノラル)(ただし、これは独の再発盤)。

右が二度目の独グラモフォン盤。録音:1967年7月、スイス、ヴヴェイ(ステレオ)。


憧れのモントゥー ブラームス4番

2014-08-30 10:34:57 | レコード、オーディオ



モントゥーのブラームス。
ボクにとって、最高のブラームス。

それなのに、スタジオ録音では、4種の2番のみ。1番、3番は、コンセルトヘボウ管との素晴らしいライヴがある(仏ターラ)ものの、4番だけは聴けないでいた。

1960年ボストン響との4番があるというので、久し振りに海賊盤CDに手を出してしまった。MEMORIESレーベルの全集だが、音は案の定、極めて悪い。
4番などステレオと銘打たれているけど、何度もダビングの繰り返されたカセットテープのようなボヤけた音。

しかし、演奏は本当に気高い。美しい。こんな情けない音の向こうからそれが伝わってくる。

これを知ってなお、余計にモントゥーのブラームス4への憧憬が高まってしまった。同じ日付のCD-Rもいくつか出ているけど、少しはマシなのか?
ああ、それより、どこかに、コンディションの良いマスターテープは残っていないものか?


フルニエのバッハ無伴奏 東京ライヴ

2014-08-29 12:57:59 | レコード、オーディオ



先頃、エフエム東京(キングインターナショナル)をからリリースされたばかりのピエール・フルニエのバッハ「無伴奏組曲全曲」アナログ盤を聴いた。


1972年3月2日&4日、虎ノ門ホールに於けるライヴ収録。
レコード番号 TFMCLP 1011/3 3LP STEREO

すでに、2001年に国内盤CDとして世に出ていた録音。放送局音源だけにCDの音も良かったが、このたびのアナログ化で、この演奏の真価が一層明らかにされたと思う。
ヴェールが1枚も2枚も剥がされたように音が生々しくなり、フルニエの息遣いがより克明に感じられるのだ。結果、CDでは気になることもあった技術的な瑕疵(特に「第6番」)もさほど気にならなくなった。より実演の感動に近づいたということだろう。素敵なことだ。

この演奏については、拙著「バッハをCDで究める」にも採り上げたが、アナログ盤の出現により、評価を一段格上げせねばなるまい。

限定350組プレスとのこと。
入手を迷われている方にも、お勧めしておきたい。

なお、フルニエには、このほかに3種の無伴奏の録音が遺されているが、そのうちレコードとなった2種のスタジオ録音盤のジャケット写真を掲載しておこう。
1959年録音の放送録音盤(仏Accord CD)もどこかにあるはずなのだが、行方不明で撮影できず・・・。

録音 1960年
独ARCHIVE 198186/8 3LP STEREO



録音 1976、77年
日PHILIPS 25PC166/8 3LP STEREO


お宿でブルックナー

2014-08-28 13:30:56 | コーラス、オーケストラ


さあ、飯も食ったし、夜の「第九」レッスンまで、お宿でブルックナー8タイムだ。

大好きなレコードを聴けない環境ゆえに、却って集中できるかも知れない(笑)。

旅先の友、KORGのmicro ARRANGERは、ミニ鍵盤ながら、タッチのストレスが少なく、違和感なく弾けるのが有り難いところ。ただし、バッテリー不搭載のためコンセントが必要。アウトドアには向かない。

因みに本日のランチはこれ。



小料理 松本の松花堂弁当。
木曜日の長岡ランチはここばかり。
たまには、気分を変えたいところなのだが、なかなか、ここを上回るお店がないのだ。

松花堂弁当は、本日のランチ+220円(税別)のささやかな贅沢であった。

ライプツィヒへの道

2014-08-28 10:13:55 | コーラス、オーケストラ
昨深夜、「マタイ受難曲」の聖トーマス教会公演が、2016年3月1日に内定したと書きました。

夢にまで見たバッハの聖地。
行きたい、歌いたい、と思われた方も少なくないでしょう。

では、どうしたらよいか?
最も確実なのは、東京ジングフェラインに入団することです!
今回は、東京ジングフェライン団員が最優先で聖トーマス教会聖歌隊席に乗ることになります。

レッスンは毎週金曜日の18時半~20時半。恵比寿のテッド・アート・スタジオ(恵比寿駅より徒歩5分)。

そのほかに、神奈川県厚木市と新潟県長岡市で練習会を行なっています。

「マタイ受難曲を歌いましょう」厚木練習会(主催・ヴォイス2001)
月2回土曜日 10:00~12:30
(将来的に月3回になる可能性あり)
会場 アミューあつぎ、南公民館など

長岡混声合唱団
毎週水曜日 19:00~21:00
会場 ふれあいプラザ大ホール、リリックホール・スタジオなど

聖トーマス教会の聖歌隊席は、あまり広くなく、大人80人乗るのも精一杯。東京ジングフェライン全員が渡独するなら、残りの席は40席余り。

ゆえに、厚木、長岡の練習会からは、選抜メンバーが参加するということになります。

もちろん、各練習会にご参加の方は、2016年1~2月に催される都内または横浜での「壮行演奏会」には全員が出演します。

前回「ロ短調ミサ」公演で、ご一緒した関西支部については、これからご相談します。

というわけで、2016年3月公演に関しては、上記3つの練習会がすべて。
昨年の「ロ短調ミサ」、さらにウィーンに於ける二つのモツレクやシスティーナ礼拝堂演奏会のときのようなツアーだけに参加する合唱団員の募集は致しません。

詳細は上記の合唱団のホームページなどをご参照ください。リンクなどは後ほど貼りたいと思います。

取り急ぎ。









「マタイ受難曲」聖トーマス教会公演日 内定!

2014-08-28 01:01:38 | コーラス、オーケストラ
先日、良い便りが届いた、というのはこのことである。

福島章恭率いる東京ジングフェラインによるバッハ「マタイ受難曲」、聖トーマス教会での公演日が、2016年3月1日(火)に内定したのだ。

その後、同じ聖トーマス教会では、ゲヴァントハウス管と聖トーマス教会聖歌隊による「マタイ」公演が予定されている。この受難節の最後を飾る毎年恒例の公演では「マタイ」と「ヨハネ」とが交互に採り上げられるため、原則からいけば「マタイ」の年である2016年に、他の団体による同曲の演奏は認められない。しかし、今回は特例として認められたとのこと。昨年の「ロ短調ミサ」の成功がモノを言ったのであろうか。現地の高野昭夫さんのご尽力に感謝したい。

もちろん、日程をはじめ、旅の詳細は未定。また、あくまで内定のため、のっぴきならない事情からの順延という可能性もゼロではない。

いま分かっていることは、共演するオーケストラが、前回同様、古楽器オーケストラであるということ。これは、ゲヴァントハウス管公演との差別化を図るため。
ザクセン・バロック・オーケストラとの再会を期待するが、先方のスケジュールはまだ確認出来ていない。

もうひとつ大事なことは、渡航前に、国内で壮行演奏会を開かなければならない、ということ。
再来年、2016年の1月中旬から2月中旬にかけて、都内、或いは横浜周辺のホールを、何としても抑えなければならない。これは結構大変なことだ。東京ジングフェライン一同、手分けして各ホールの抽選会に臨まなくては!






衝撃の事実

2014-08-27 11:08:54 | レコード、オーディオ
アナログ派を自認するワタシではありますが、今日、衝撃の事実を目の当たりにし、愕然としてしまいました。

オランダPHILIPSのHi-Fi STEREOといえば初期ステレオ・レコードの雄、アナログ・マニア垂涎のレーベルですが、ものによってはCDの方が音が良い。
それは、認めたくはないけど、事実だから仕方ありません。ハイレゾならいざ知らず、スペックの低いCDに負けたというのは悔しいことですが・・。

特に片面に長時間収められている盤にその傾向があるようです。レコードが高価な贅沢品だった半世紀昔(いまも、別の意味でそうですが・・)、ひとつのシンフォニーを2枚組にすることでのセールスの不利は目に見えており、営業上、ダイナミックレンジの幅を縮小してさえ無理に詰め込まざるを得なかったのだと思われます。

もちろん、このひとつの事例をもって、我がアナログ派の立場は揺るぐことはないのですが、優秀な復刻LPの存在もあることですし、何が何でもオリジナル盤が一番、という思い込みは慎まねばならないことを再認識した次第。





投げたボール

2014-08-26 16:09:21 | コーラス、オーケストラ
投げたボールは返ってくるだろうか?

心底応援したいと願ったから、合唱指揮者として、26年間、命をかけて積み上げてきた知識と経験のエッセンスを、聞かれるままに、惜しげもなく話しはしたけれど、もちろん、それで全てではないし、その教えは生身のボクを通してはじめて真実となる。

対価なしに得た知識で大事は成し遂げられまい。

今暫く、賢明な判断を待つとしよう。




ライプツィヒより良い便り

2014-08-25 23:55:04 | コーラス、オーケストラ

バッハ「ロ短調ミサ」公演からちょうど1年目のこの日。

ライプツィヒの聖トーマス教会より良い便りが届いた!

それは、2016年公演に関すること。

まだ、詳細は発表できる段階ではないが、とにかく目出度い。

 

 


聖トーマス教会「ロ短調ミサ」から1年

2014-08-25 16:11:24 | コーラス、オーケストラ

今日、名古屋の同士によって行われたワーグナー「パルジファル」全曲公演から1年が経った、

というニュースをFacebookで見て、ハッと思い出した。

2013年8月25日と言えば、バッハの聖地、ライプツィヒのトーマス教会に於ける福島章恭と東京ジングフェラインによるバッハ「ロ短調ミサ」の演奏日でもあった。

早いものだ。

今日は、久しぶりにYouTubeにアップした終曲を聴くことにしよう。

 

バッハ「ロ短調ミサ」公演より Dona nobis pacem

https://www.youtube.com/watch?v=klr8QpMoxts&list=UULB7mmJlxSqAzm7aDdaZqsg

指揮 福島章恭  
東京ジングフェライン 

ザクセン・バロック・オーケストラ
2013年8月25日 ライプツィヒ 聖トーマス教会にて収録

改めて、終演後の地元ライプツィヒ聴衆による熱いスタンディングオベーションを思い出すと胸が熱くなる。

日頃、聖トーマス教会でバッハを聴いている方々の評価なのだから、嬉しさも一入であった。

さあ、来る2016年「マタイ受難曲」のためのレッスンにも、益々気合いを入れていこう。