昨日は、カール・ベーム37回目の命日。
37年前のあの日のことは、よく憶えている。
翌15日、父と妹と三人で帝国劇場にミュージカル「スウィーニートッド」(現・松本幸四郎=当時・市川染五郎主演)を観に出掛ける直前に訃報を知り、涙が止まらなかった。
著名人の死を知って、涙を流すなどと言うことは、それまでにも、その後にもなかったことで、いまだに不思議に思っている。
思い入れの深いベルリン・フィルとのブラームス「1番」に針を下ろした。
少年時代、もっとも最初に親に買って貰ったベームのレコードがこれだったのだ。
もしかすると、ベルリン・フィルとのモーツァルト「40番」「ジュピター」の方が先だったかも知れないが、最初期だったことに間違いはない。
グレーの表紙の見開きジャケットによる国内盤で、高級感が漂っていた。
この剛毅なサウンド、何度聴いても痺れる。65歳のベームによる切れ味の鋭さと、怒濤の推進力が堪らない。
40年以上も昔に胸を躍らせた録音に、今なお同じように、否、当時は聴こえなかった音、様式美、情感を味わいながら感動できることは素晴らしい。
今回聴いたのは、C&L Musicによる復刻プレス。
かつて奮発して入手した独オリジナル盤の音が冴えなかった(たまたま、溝が荒れていたのかも知れないが・・)ので、わたしにとって今後の基準となりそうだ。
・ブラームス:交響曲第1番ハ短調 作品68
ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
カール・ベーム(指揮)
録音時期:1959年10月
録音場所:ベルリン、イエス・キリスト教会
録音方式:ステレオ(セッション)