昨日、三善晃先生のオペラ「遠い帆」を観劇したのだが、何も書くことが出来ない。
猛烈に惹きつけられる要素と拒絶する要素がない交ぜになって、わたしの中で収拾がつかないのだ。
全篇ほぼ出突っ張りのコーラスだけをとっても、例によって恐ろしく歌唱は困難。
よくぞ、ここまで仕上げたという感嘆とともに、字幕がなければ言葉の聞き取れない日本語のオペラとは何なのか? という疑問。
女声歌手が、オーケストラをバックに語る台詞も全く聞こえなかった(ここには字幕が入らなかったから、何も分からなかった)。その責は、演奏にあるのか、会場にあるのか、作品にあるのか?
台詞のない黙役の動きが饒舌過ぎないか?
家康や政宗の描き方が軽薄にすぎないか?
という演出への疑問。
物語のどこに照準を合わせ、何に感情移入すべきかという心構えなきままに客席についてしまったがゆえに、作品の本質を掴み損ねてしまったのか。
ゆえに作品への批評や感想は書けない。
終演後のロビーで会った関西の知人は「良かった。わざわざ東京に来た甲斐があった」と感激しきり。
彼の感じ方が素直なのかも知れない。
うーん、よく分からない。