念願のペレーニ・リサイタルを聴いた! 素晴らしかった。
ペレーニは、樹齢千年を越す巨樹が、その枝や葉を風に揺らすように演奏する。
ペレーニは、もはや楽器を演奏していない。楽器とひとつとなり、自らの肉体の一部を奏でているようだ。
バッハ無伴奏に於ける、融通無碍の境地。メヌエットのトリオでの心の安らぎ。
自作では時空を旅し、リゲティでは超絶技巧の難曲を古典のように親しげに語る。
後半は、息子ベンジャミンのピアノとともに。しかし、20代前半の息子は、巨匠との格差がありすぎたか・・。
シューベルトのアルペジオーネ・ソナタで、ベンジャミンのピアノは叙情に傾きすぎ、リズムも弾まず、目眩く転調の妙を伝えない。1×1はおろか、1+1にも至らないのは残念。小沢さちさんとの共演なら、もっと良かったのに、などと、無い物ねだりをしたりして・・・。
つづくコダーイのソナタは、私には耳新しい作品で、ピアノとの格差は別に、感動した。もっと民謡的、民俗音楽的な作品かと予測していたら、意外にもドビュッシーへの親しみを感じさせ聴かせた。
ドビュッシーといえば、アンコールはコチシュ編曲による「小組曲」からのメヌエット。これも聴きながら溜め息しかでない。
14日フィリアホールでの、ドビュッシーのソナタを聴きたいと思わせたが、それは東京ジングフェライン稽古のため叶わず。
もし、行ける方があれば、自信をもってお勧めします。