内田光子のモーツァルトといえば、テイト&イギリス室内管と入れた協奏曲の方に人気や関心が集まっているが、ソナタにも向き合ってみようとのことで、アナログ盤を揃えた。
7枚中、うっかりソナタ第2~5番の収められたアルバムのみ国内プレス盤を購入してしまったが、残る6はオランダ・プレスによる国内発売盤である。
音は輸入盤で、ライナーノートが日本語という有り難い仕様だ。
今朝は、幻想曲ハ短調、ソナタ第1番、第14番、第17番の収められたアルバムを聴いたが、全く魅了された。
「のだめカンタービレ」で脚光を浴びた第17番ニ長調など、愉悦の中に哀しみ、涙の滲む。内なる宇宙に無限に羽ばたくモーツァルトの音楽そのもの。
録音もとても美しい。
オーケストラなし、ピアノと1対1で向き合った録音エンジニアの職人魂の伝わる音だ。こればかりはアナログで聴かないことには分からない。
これから、1枚1枚聴いてゆくのが楽しみだ。
とともに、拙著「モーツァルトをCDで究める」「モーツァルト百科全書」にきちんと評価していなかったことを反省したい。
以下、リリースされた順にジャケット写真を掲載しておこう。
録音会場はすべて、ロンドンのヘンリー・ウッド・ホールである。
①第11番イ長調K.311「トルコ行進曲付き」、第12番ヘ長調K.332、幻想曲ニ短調K.397
録音1983年10月8~14日
②第15番ハ長調K.545、ロンド イ短調K.511、第18番ヘ長調K.533/494
録音1983年10月8~14日
③第10番ハ長調K.330、アダージョ ロ短調K.540、第13番変ロ長調K.333、アイネ・クライネ・ジーグ ト長調K.574
録音1984年5月2~6日
④幻想曲ハ短調K.475、第14番ハ短調K.457、第1番ハ長調K.279、第17番ニ長調K.576
録音1984年5月2~4日
⑤第7番ハ長調K.309、第9番ニ長調K.311、第8番イ短調K.310
録音1985年2月5~11日
⑥第6番ニ長調「デュルニッツ」、第16番変ロ長調K.570、ロンド ニ長調K.485
録音1986年8月13~14日
第6弾まできて、製品に大きな変化がある。写真右、タスキが白くなっただけではない。ジャケット写真印刷のクオリティがガクッと落ちているのだ。写真では判別し難いかも知れないが、光沢のないザラッとした、一言で述べるならチープな仕上げとなっているのだ。86年と言えば、音楽市場は既にCD一色であり、売れないレコードに予算をかけられなかったのだろう。
⑦第2番ヘ長調k.280、第3番変ロ長調K.281、第4番変ホ長調K.282、第5番ト長調K.283
録音1987年7月9~12日
これは最後に録音された1枚。87年、殆どアナログの新譜のなかったのではないか?
ここまでくると、よくぞ、アナログ盤でリリースしてくれたと感謝したくなる。
上述した通りの国内プレス盤。やはりジャケットは光沢のないタイプ。
試みに冒頭を再生してみたが、明らかにオランダ・プレスとは異なる音。その差は歴然だ。
音像が小さく纏まって、伸びや深みに欠ける。こればかりは、買い直さなくては。
「幻想曲」は、大学2年の後期試験で弾いた懐かしい曲です。
昨日、「いつまでもショパン」を読み終え、本に出てきた曲を聴いてみようかな?と思っていたところですが、やはり、
Mozartにしました。