福島章恭 合唱指揮とレコード蒐集に生きるⅢ

合唱指揮者、音楽評論家である福島章恭が、レコード、CD、オーディオ、合唱指揮活動から世間話まで、気ままに綴ります。

クラウディオ・アバドの死を悼む

2014-01-21 12:32:30 | レコード、オーディオ
福島章恭HP http://www.akiyasuf.com

昨年来、音楽界から相次ぐ訃報が聞こえてきますが、クラウディオ・アバドも亡くなってしましました。

アバドの音楽については、当初、それほど買っていませんでした。
ウィーン・フィルとのベートーヴェン交響曲全集なども、オーケストラの自発性を尊重しすぎて個性が薄いように思いましたし、ベルリン・フィル時代になっても、スタジオ録音のベートーヴェン全集など、どこかパステル画を見ているような軽さでもって、ズシリとした手応えが感じられませんでした。

アバドを見直したのは、ガンによる闘病後、ローマに於けるベートーヴェン交響曲チクルス(9番のみ闘病前のベルリン・ライヴ)です。
アバドが生きることの歓びを謳歌しているような、そんな直向きな演奏に胸打たれました。
闘病前の「第九」の、どこか構えたところのある雰囲気とは別人。オーケストラとの関係も一気に濃密に、親密になっているのが分かります。この映像によるベートーヴェン全集は私の宝物のひとつであります。

    

さらに、ベルリン・フィル退官後のルツェルン祝祭管との名演の数々!
マーラー、ブルックナー、ドビュッシー、バッハ・・・、どれをとっても、自由な精神の羽ばたいた美しい演奏。
できれば、実演で聴きたかったものです。
昨年秋の来日予定では、何とか切符を手に入れようと画策していた最中に来日中止の報。
体調不良がその理由でしたが、まさか亡くなるとは思っていませんでした。

同じ時代に生きながら、実演に触れる機会を得なかったのは、我が不明の至り。
もっと早くにアバドの真価に気付くべきでありました。

後悔しても遅いのですが、せめて、手元にあるブルーレイ・ディスクやCDを大事に視聴して、今後の人生の糧としたいと思います。

どうぞ、安らかにお眠りください。

合掌。


 

  

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