ある週刊誌が報じていることだが、榊原英資氏がテレビに出演し、
「ライブドアの負け、リーマンが勝ち」みたいなことを言ったそうだ。「みたいな」という
のは自分の記憶が定かでないからで、私の記憶が正しければ、これはTBSの
ブロード・キャスターであった。
こちらのサイトにも出演者に関する
情報がある。
しかし私はそのときに榊原氏がリーマンの顧問であることを知らなかった
ので、その発言を単なる市場分析のようなものとしてとらえ、他の発言とともに参考に
なる分析であると思った。
たしか堀江氏の「しゃべりすぎ」をいさめる発言の中で、村上ファンドの村上氏が口を
閉ざしていることや50%とるまでは安心できないというようなことなど、傾聴に値
する話しだと思っていたのだ。
しかしなんとこの人はリーマンの顧問だったというではないか。だとしたらまずもって、
榊原氏がそういう発言をしたことおよびそういう機会を与えたTBSにも問題がありは
しないだろうか。
つまりこれはいわゆる「ポジション・トーク」という類の発言ではないかと思われる。
ちなみに「風説の流布」とまでいえるかどうかは難しいが、たとえば将棋を指している
竜王戦を闘っている、渡辺さんと森内さんの前でいきなり立会い人のかたが、森内
さんの負け!というようなものであろうか。ちょっと違うような。。。
もしかしたらそれよりまずいかも知れない。
私が「ポジション・トーク」という言葉を最初に目にしたのはたしかある証券会社の
有名エコノミストであった方の読売新聞における論考であって、マスコミにおいて経済
に関する発言する人の発言には自分が所属する業界に有利に働くような発言をする場合
があるので気をつけましょうといったことが書いてあった。
その当時はまさにバブル崩壊の真っ只中であって、銀行に対するバッシングがひどかった
ときであった。そんな中で、その方はエコノミストの中ではやや少数派であったが、
銀行のモラルハザードをおそれて公的資金投入をためらっているとそれは日本経済に
とんでもない悪影響を及ぼすということをしきりにおっしゃっていたので、私はその方
こそ「ポジション・トーク」の方だと思っていたのだが、ある意味それも正論であって
今考えてみるとポジション・トークとまでは言えなかったのかも知れない。
今回の発言はそれだけをとれば、おそらく当たっていることであろうから、厳密に
「ポジション・トーク」といえるかどうかは分からないが、こういうときにリーマンの
顧問でもある人をゲストに呼んで、こうした局面での発言をさせるTBSにも問題は
なかったかどうか。サイトにもその肩書きが今はないところを見るともしかしたら、
「知らなかった」ということかもしれない。
いずれにせよ、リーマンの顧問だということを言って言うのならまだしも単なる「大学
教授」の肩書きだけでしゃべったらまずいとは言えるのではないか。
まさかその肩書きを忘れていたわけではないだろうが。
ただ顧問といっても本当のところどのような契約をしていたかなど不明のところがある
が、いずれにせよ顧問であるのが事実としたら見過ごすことのできない問題であろう。
しかし、一方で「ポジション・トーク」にならない専門家を探すのも難しいかもしれ
ないが。。。