雷雨

 夕方、洗濯物を取り込んでいたら、うしろのトタン屋根を何かで、ばん、ばんと叩くような音がして、そのままばらばらと大粒の雨が降り出した。同時に空の向こうで低い雷の音がごろごろと鳴り出して、家の中に入ると、あっというまに雨足が強くなって、外はものすごい土砂降りになった。開けている窓から雨が降り込んでいないか調べて、風向きから言って雨が入ってきそうにない窓は、暑いので開けておいた。しばらくして、あまりにも表がごうごう言うので、心配になってもう一度窓を見に行ったら、いつのまにか風向きが変わった雨が、西の窓から勢いよく降り込んで、ざあざあと窓枠の木に泡が立つほどになっていた。
 やがて、遠くの雷を残し、外が静かになったので、車に乗って出かけたら、止みかけていた雨がまた本降りになり始めた。中くらいの雨粒が、ぽろんぽろんと車の屋根を叩き、その次には、大きな水の塊が、ばちばちと落ちてきた。道路の横を流れる川を見ると、黄色く濁った水がどうどうと流れて、川の中州に生えている背の高い雑草が、濁流の中に先っぽしか見えなくなっていた。
 雨の中を走るバスが停留所に止まって、杖をついた足の悪いおばさんが降りてきた。傘は持っていなくて、頭にかぶった白い帽子が、暗い空の下で目立った。家に辿り着く頃にはきっとずぶぬれになっているだろうと思うと、気の毒だった。
 橋の上には、野球のユニフォームを着た男の子たちが五、六人、自転車にまたがって、信号の変わるのを待っていた。こちらは子供だから、土砂降りの雨に打たれて、ちょっとわくわくしているかもしれない。
 夕立というにはちょっと長い雨が降って、夜にその雨がほとんど止んだあとも、遠くの空には稲妻が光って、ときどき、あたりがぱっと明るくなった。
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