猫は知っている

 先日、ある人に会ったときに、その人が、みゆちゃんのためのお土産をくれた。黒猫の顔のついたピンク色の可愛い巾着の中に、猫の好きそうなおもちゃやおやつがいろいろ入っている。プラスチックの棒の先にふわふわの毛のついた猫じゃらしが二本、袋に入りきらないで、紐で絞った巾着の口からとび出している。
 家に帰ったら、豪華なお土産をみゆちゃんの前にぱっと出して驚かそうと思っていたのに、ほかの手荷物と一緒にいったん玄関に置いたすきに、みゆちゃんがお土産を目ざとく見つけて、白い毛の猫じゃらしを一本すっと引き抜くと、さっさとあっちの居間へ持っていってしまった。さっそくひっくり返って噛んだり蹴ったりして遊んでいる。みゆちゃんにもらったものだからいいのだけど、子供と一緒で、猫も自分のおもちゃにはすぐ気がつくものなのだなあと感心した。
 一度にたくさんのおもちゃを出して、どれもすぐに飽きてしまってはいけないから、少しずつ渡そうと思って、あとのおもちゃはピンクの巾着袋の中にしまっておいたのだけれど、しばらくしてみると、みゆちゃんが前足を袋の中に突っ込んで、またたびの実の入ったボールを勝手に出して転がしている。
 つくづく、猫はよく知っているのだなあと思う。
コメント ( 4 ) | Trackback ( 0 )