望子のただいま稽古チュッ!

稽古、公演、プライベート
・・・オバサン役者、木村望子の日々。

番外ウラ話・稽古の日々<本当に怖いオバちゃんの話・その3>

2015-05-26 16:38:15 | 舞台・ウラ話

フリースペースで、とっ散らかして、
私たちが着替えていると、
またあのオバちゃんが!


   ところが、

オバちゃんの顔には、満面の笑みが。

(え? なぜ?)

「皆さん、お芝居の方なんですか?」

「は、はい」

「いろいろお着替えがあって大変ですね~」

「あ、いえ、あの、ご迷惑をかけまして」


怒鳴りこんでくる人間への対応は慣れていても、

こういう、
突然、フレンドリーになる人間の対応は、
慣れていないから、こっちの方がシドロモドロで。

「まぁ、素敵なドレス」

「あ・・・ありがとうございます」
(ど、どうなっちゃったんだ?)

「お靴もヒールなんですね」

「あ、はい」

「あら、こちらの方も。
皆さんヒールでいらっしゃるのね。
高いヒールだと大変でしょう」

「あ、いえ、あの、もうすぐ終わりますので、
終わりましたら、すぐに片づけますから」

「いえいえ、どうぞごゆっくり」

と、またにこやかに会釈して、
去っていくオバちゃん・・・。

その場で着替えていた面々は、
ただ呆然。

狐につままれるとは、このことか。


彼女の姿が見えなくなったところで、
それぞれ、ハッと我に返って、

堰を切ったように喋り始めました。
(もちろん、着替えながらですが)

「なによ・・・あれ、なに?」

「どうなっちゃったの?」

「ブキミですよね~」

「もしかして、反省した?」

「まっさかぁ」

みんな口々に喋ったものの、
どういうことか、
私にもまったくわかりません。

とはいっても、芝居は続いているので、

薄気味の悪さを感じながらも、
とにかく着替えて芝居に集中。


そして、10分、15分と過ぎ、
芝居がいよいよ山場に差しかかったとき、

突然、稽古場のインターホンのベルが、
けたたましく鳴り響きました。


「管理人さんからです。
 責任者の人、すぐに来て下さい、って」


   (つづく)





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