フリースペースで、とっ散らかして、
私たちが着替えていると、
またあのオバちゃんが!
ところが、
オバちゃんの顔には、満面の笑みが。
(え? なぜ?)
「皆さん、お芝居の方なんですか?」
「は、はい」
「いろいろお着替えがあって大変ですね~」
「あ、いえ、あの、ご迷惑をかけまして」
怒鳴りこんでくる人間への対応は慣れていても、
こういう、
突然、フレンドリーになる人間の対応は、
慣れていないから、こっちの方がシドロモドロで。
「まぁ、素敵なドレス」
「あ・・・ありがとうございます」
(ど、どうなっちゃったんだ?)
「お靴もヒールなんですね」
「あ、はい」
「あら、こちらの方も。
皆さんヒールでいらっしゃるのね。
高いヒールだと大変でしょう」
「あ、いえ、あの、もうすぐ終わりますので、
終わりましたら、すぐに片づけますから」
「いえいえ、どうぞごゆっくり」
と、またにこやかに会釈して、
去っていくオバちゃん・・・。
その場で着替えていた面々は、
ただ呆然。
狐につままれるとは、このことか。
彼女の姿が見えなくなったところで、
それぞれ、ハッと我に返って、
堰を切ったように喋り始めました。
(もちろん、着替えながらですが)
「なによ・・・あれ、なに?」
「どうなっちゃったの?」
「ブキミですよね~」
「もしかして、反省した?」
「まっさかぁ」
みんな口々に喋ったものの、
どういうことか、
私にもまったくわかりません。
とはいっても、芝居は続いているので、
薄気味の悪さを感じながらも、
とにかく着替えて芝居に集中。
そして、10分、15分と過ぎ、
芝居がいよいよ山場に差しかかったとき、
突然、稽古場のインターホンのベルが、
けたたましく鳴り響きました。
「管理人さんからです。
責任者の人、すぐに来て下さい、って」
(つづく)
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