毎日新聞によると
『東京電力福島第1原発事故に対応する「子ども・被災者生活支援法」で、復興庁が支援対象地域を線引きする放射線量基準を決めないまま、福島県内33市町村を対象地域に指定する基本方針案をまとめたことが分かった。住民からは「基準作りを回避し、支援の範囲を不当に狭めるものだ」との批判が出そうだ。【日野行介、袴田貴行】
基本方針案によると、対象地域は「原発事故発生後に相当な線量が広がっていた」とする同県東半分の自治体のうち、避難指示区域やその周辺を除く33市町村。具体的な支援策は、復興庁が3月発表した「支援パッケージ」の拡充を検討するとした。さらに、同県の西半分の会津地域や近隣県を「準支援対象地域」と位置づけ、個人線量計による外部被ばく線量調査などの支援を実施する。
だが、法令は一般人の年間被ばく線量限度を1ミリシーベルトと定めている。原発事故後に広く指標とされてきた空間線量でこの1ミリシーベルトを基準としたなら、支援対象範囲は福島県以外にも及ぶ。近隣県にも局所的に線量の高い地域があり、福島県内の一部に範囲を限定することに対して反発は必至だ。
また、災害救助法に基づく県外への避難者向けの民間住宅家賃補助は、昨年末に新規受け付けが打ち切られた。支援法による復活を求める声もあるが、基本方針案には含まれない。
一方、原子力規制委員会は28日、復興庁の要請を受けて専門家チームを設け、関係省庁を通じて支援対象地域の個人線量データ収集を始めた。住民一人一人の個人線量は空間線量より低く出る傾向がある。国はこの点に着目し、低いデータを基に住民に帰還を促すとともに、線量に基づかない対象地域指定を科学的に補う狙いがあるとみられる。』とのことです。
しかし,被災者支援法の第8条では,支援対象地域=その地域における放射線量が政府による避難に係る指示が行われるべき基準を下回っているが一定の基準以上である地域としていて,行政区画とは,一応,区別されているのです。そこで,今回の支援対象地域の指定は法律の趣旨に適合しないのではないか,との問題があるのです。
私としては,今回の支援対象地域の指定は,抜本的な指定への第1歩にして欲しいです。