その当時、ハンディタイプの大きさで「国鉄車輛配置表」というマニア向けの専門書があった。毎年更新されては発売されていたと思うが、全ての国鉄型の車両が網羅されているから、客車から気動車、電車、機関車全ての車輛の番号が配置区別に並んでいた。EF58の機番を意識し始めた当時、そのゴハチのページがどんどんボロボロになり、黒くなっていくのがわかった。しっかり撮影を完了した機番に鉛筆で印をつけ、消し込んでいたからだ。
アントンKの場合、普通のゴハチマニアとは異なっていたようで、先に北のゴハチ(宇都宮・高崎二.長岡)の撮影が完了してしまい、どうしても弱い広島や下関、そして竜華のカマを一気に撮影しなければ、全機撮影は困難と考え、そんな思いで関西に出向いたことがある。もっとも鉄道撮影で関西に行ったのは、1975年まで遡れるが、その当時は機関車の機番など感じていなかった。現代を思えば、情報も何もない当時、当然行き当たりばったりで機関車を迎え撃つが、これはこれでくじ引きを引くようで実に楽しかった。白エッチはハズレカマ、大窓機は大当たり!そのたびに一喜一憂して、そんなたわいもない撮影光景が今も思い出される。ここに最近掲載している画像は、どれもアントンKが鉄道撮影してから数年の若かりし頃の駄作ばかりだから、あくまで個人的見解の内容だとご理解願いたい。
今回は、そんな中から関西の撮影名所山崎で撮影したEF58を掲載してみる。アントンKにとっては、ゴハチを撮るなら関西でという思い入れがあり、その当時、関西はゴハチの聖地と思い込んでいた。それを裏付けるように、山崎の大カーブを宮原区のエース53号機が長い14系客車を牽いて近づいてきた時には、興奮し五感がしびれる感覚を味わったのである。
1979-05-05 回204ㇾ EF5853 急行「雲仙・西海」 東海道本線:山崎付近