国鉄末期の時代からJR化後にかけて、それまでの国鉄塗装を打ち破る斬新とも採れる塗色が機関車、電車を問わず出現し、我々ファンを驚かせ、また楽しませた時代がある。それは、今では考えられないほど毎月新たなジョイフルトレインが誕生するようなバブル景気の時代であった。その派手な客車に合わせた形で誕生した機関車は、EF65やEF66、EF64、DD51など多岐に渡るが、JR貨物でも、この時期塗色試験塗装の機関車が出現、大いに驚かされたもの。加えて機関車更新色として、国鉄時代の塗色から変わりつつあった過渡期の時代を経て、現在ご存知のように、再び昔の国鉄色に戻されつつある。まるで振り出しに戻るような時代が遡った印象をもつが、アントンKのように国鉄時代を知る者にとっては懐かしく感慨深く映る。昔からいわゆる色物は好まなかったが、こうして考えるとやはり最初に見た印象がベストに思えて仕方がない。直流機が赤くなったり、交流機が白くなるのは、やはり最後まで違和感が残ってしまったのだ。
掲載写真は、碓氷峠廃止が叫ばれた後、最後の花道にとばかり塗色を誕生時の茶色に戻されたEF63型電気機関車。その出場単機試運転を捕らえたもの。アントンKには、ロクサンの初見は、時代が間に合わずブルーだったためか、この時の印象はかなり違和感があったことを思い出すが、下り軽井沢方の連結部は、スカート部に数々のジャンパ連結器が盛られていて、これはこれで手ごたえを感じたもの。カラフルな色目は、峠の守り神ロクサンらしくて気に入っている。
1997-02-05 試単9495ㇾ EF6318 JR東日本/信越本線:安中付近