アントンK「趣味の履歴簿」

趣味としている音楽・鉄道を中心に気ままに綴る独断と偏見のブログです。

一線を退いた栄光のEF65P型

2019-05-13 16:00:00 | 国鉄時代(モノクロ)

鉄道の憧れだったブルートレインも、いつしか全て消滅してしまい、過去の写真を紐解いては想いを綴ることが普通になりつつある。確かに鉄道写真を始めた頃から、ブルートレインは我々の垂涎の的であり、輝いていた時代を送ることが出来て幸せだったと思っている。もうお前は随分撮影しただろうから、十分だろうと身内によく言われたが、切りがない事を知りながら、写欲は無くならなかったのだ。撮影しなければ、自分の存在意味がなくなるとまで自分を追い込んでいた時期もあった。今は、撮影したい被写体というよりも、周りの友人知人と戯れるために、現場に出ることの方が勝っているかもしれない。今では尊い友人達が、アントンKの原動力になっていると最近よく考えるのだ。

早朝の東海道線、寝台列車を狙いにいつもの根府川までやってきた。EF65PFけん引のブルトレに混じってやってきたのは、かつてのブルトレけん引機EF65P型だった。この日はローカル貨物列車の任にあたり、地味に目の前を通過していく。ヘッドマークを掲げ、朝日を受けて走った時代からは、想像もつかないほど、汚れていて疲労が隠せない。何と哀れな姿だろうと、この時何とも言えない気持ちでシャッターを切った。このEF65535は、後年最後の花道を飾り、我々の前に優雅な姿を披露したことも遠い昔の出来事となってしまった。

1983-06-05   3460ㇾ  EF65535     東海道本線:根府川付近

 


マエストロ上岡のワーグナープロ

2019-05-12 19:00:00 | 音楽/芸術

みなとみらいホールで行われる、新日本フィルの特別演奏会「サファイア」も今日で一仕切りを迎えた。アントンKにとっては、日曜日のマチネコンサートとあって行きやすく、毎年シリーズで聴いている。もちろん、上岡敏之氏の指揮のもと、シーズンの主要プログラムと思われる作品が並び、彼の演奏を聴きたいのなら外すわけにはいかないのだ。

今回は、ワーグナーの作品だけで埋め尽くされた演奏会で、これはよく考えたらまた珍しいプログラムだと言えないか。コンサートの前半に、またはアンコールで序曲等を演奏し、決してメインプロには成り得ない楽曲がワーグナーなのがよくあるパターンの演奏会。つまりワーグナーの作品は、歌手を伴った大掛かりなものばかりで、演奏時間もかなりの長丁場となる。今回のような歌手なしでの演奏会形式はなかなかお目にかかれないのである。

プログラムは、前半、後半と大きな楽曲が2曲ずつ並んでいたが、本場歌劇場で長年仕事を熟してきた上岡氏であり、当然ながら演奏も期待が高まるのが当然の成り行きだった。総じて演奏は、やはり指揮者、オケともに熟成を極めた崇高な解釈で、例によって全体のハーモニーの美しさは、要所要所で際立っていた。特に、管楽器のロングトーンに、溶け込むように入ってくる弦楽器のきめの細かさは、まさに上岡新日本フィルコンビの真骨頂だろうか。いつもの微弱音の多用もあったが、ここぞの時の爆発も上岡流では抑え気味となり、響き重視の解釈が聴かれた。歴代の巨匠たちの録音も聞きかじってきたアントンKだが、たとえ長い楽劇の序曲や前奏曲でも、とてつもないスケールの大きな演奏を耳にしていると、今回の演奏は、繊細ではあるが肝をえぐられる様なスケールの大きさが今一つに感じる。フルトヴェングラーのトリスタンに現れるこの世のものとは思えない世界観。クナッパーツブッシュのジークフリートは、あのテンポと特大のスケールで聴くものを圧倒する響きの世界。何も大昔の、しかもモノラル録音の演奏と比較すること自体馬鹿らしいが、若い頃聴いた命がけの演奏は、何年経っても忘れないようだ。

また今回のコンサートマスターは、尊敬している崔文洙氏ではなかったのが少し残念。もちろん今回のコンマスである豊嶋氏も雄弁な演奏を聴かせ素晴らしかったが、タンホイザーやトリスタンでの崔氏による濃厚で役者冥利の演奏は聴いてみたかったと思うのは当然のことだろう。

新日本フィルハーモニー交響楽団 特別演奏会サファイア

ワーグナー

歌劇「タンホイザー」より序曲とバッカナール(パリ版)

楽劇「トリスタンとイゾルデ」前奏曲と愛の死

楽劇「神々の黄昏」ジークフリートのラインへの旅

         ジークフリートの死と葬送行進曲

舞台神聖祝典劇「パルジファル」前奏曲とフィナーレ

指揮   上岡 敏之

コンマス 豊嶋 泰嗣

2019年5月12日  横浜みなとみらいホール


思い出深いEF80の普通客車列車

2019-05-11 20:00:00 | 国鉄時代(モノクロ)

このブログのためにではないが、今までに撮影した画像を整理していく中で、一番多く撮影している時代は、1980年代の初頭から中盤までだった。おおよそ予想はしていたが、カラー、モノクロともに最もコマ数が多く、自分の中では内容も充実し、思い出も多い時代だったように思う。本格的に撮影に目覚めて4~5年目くらいの時期にあたり、全てが新鮮で撮っても撮っても撮り足りない気持ち。写欲が脳裏からあふれ出てくるような錯覚を覚えたものだった。

アントンKが、EF57の魅力に引き込まれて鉄道撮影に目覚めたことは前にも書いたが、その後に続くEF58やED16、そしてEF80も魅力的に思えて、どんどん深みにハマっていったのだった。当時の仲間内とは、ゴハチを中心に撮影をしていたが、EF80というとソッポを向かれ実に寂しい思いをした思いが過ってくる。確かに当時は、ゴハチと比較するに及ばず、ファンの間では人気が無かったように感じる。1985年のさよなら列車の時には、かろうじてファンの姿はあったが、それ以前では、ほとんど沿線には見かけなかった。

掲載写真は、そのEF80から、上野まで乗り入れていた普通列車をけん引するEF80電気機関車。当時は在り来たりのシーンだったが、アントンKには、ゴハチと同様に長大編成を牽くハチマルはとても魅力的に思え何度も足を運んだもの。同じ交直流機であるEF81とは、また違った風貌をもち、好き嫌いの好みの分かれる機関車だったように思っている。この424列車は、夕方上野に到着する列車で、最も撮影しやすく好みのスジだった。

1980-10-09   424ㇾ  EF8026             常磐線:佐貫-牛久にて


夏のお楽しみ「旅のプレゼント」号

2019-05-10 19:00:00 | 鉄道写真(EL)

長い連休明けの今週、やっと週末が巡ってきたが、少々疲れが溜まってしまったようだ。特に連休だからといって不規則な生活を送ったわけではないが、気の緩みからか体調が思わしくない。令和の時代になり、新たな動きが自分にも降りかかってくるだろうが、自分の信じる道を進んでいく。今も、そしてこれからも無我無心で・・・

夏休みになるといつも走っていた団臨があった。一時は毎年運転されていたように思うが「旅のプレゼント」号という客車列車である。24系寝台車を使用して、JR東日本管内を周遊するような列車だと思うが、詳細はよくわかっていない。今回の写真は、長野の和式客車を併結した24系の編成だが、これはその年によって組む編成が異なっていたように記憶している。もっとも現在では、客車自体に余裕がなく、この手の団臨の運転は不可能だろう。いつも機関車にヘッドマークを掲げ、乗車される方々にも、そして我々ファンに対しても意識の高さが伺える列車だった。

掲載写真は、東北路を行く「旅のプレゼント」号。ここ黒田原の丘はよく通ったポイントだった。今では随分有名ポイントとなったようだが、当時はファンの姿はほとんど見かけない無名な場所であり、木々が風でなびき、音を立てると熊が出たのかと恐怖を感じるくらいだったことが思い出される。大分木が伐採され変化したらしいと聞かされるから、一度足を運んでみようか・・

2004-07-23    8008ㇾ  EF8198 14系和式x2+24x8    JR東日本/東北本線:黒田原付近


朝の定番~ゴハチの急行「銀河」

2019-05-09 21:00:00 | 国鉄時代(カラー)

時間差でEF58にご登場願うことにした。

国鉄時代、東海道線の朝は華やかで、次々にやってくる夜行列車たちに夢や憧れを抱いたものだ。遠く九州から夜を徹して東京まで走り切る列車達は、アントンKには頼もしく力強く思え、そんな気持ちを少しでも残そうと当時はカメラを向けた。相変わらず腕前は未熟だったが、それでも諸先輩方の写真を参考にしながら、どうすれば想い通りに撮影出来るのか自問自答していたのだ。カメラは連射など出来ず、またフィルムもカラーポジフィルムは露出が難しく、初心者には無理だと勝手に決めつけていた時代だった。それよりまだカラーは高価で中々カメラには装填出来なかったのだ。当時の仲間内では、カラーは晴れでないと使わないと教えられ、仮に晴れてカラーで構えても、被写体によって変わる露出に苦労し、かつピント合わせで極度の緊張をあおられたものだった。こうして文字に書いておかないと、すでに忘れかけている当時の撮影は、今の時代には通用しないだろうか。少し前まで、フィルムカメラで撮影されているファンの方も見られたが、最近はついに見かけなくなってしまった。どこか寂しさが募るが、昔こういった経験を積んだことを、少しでも現在のデジタルカメラに生かせれば良いのだが・・。いつもそんなことを考えて線路端に立っている。

朝の東海道本線のゴールデンタイム。九州ブルートレインの先行列車で、急行「銀河」がやってくる。画像は、多客臨の51号で14系客車で運転されていた。EF58けん引だから気合が入っていたが、立て続けに荷32ㇾや104ㇾも上ってくるから、ゴハチだけで3本。今の感覚なら入れ食い状態かもしれない。6102ㇾは東京区の運用だから、当然虎の子ロクイチも顔を出すことがあったが、この日は、東京区の異端児とも言えるEF5888だった。ご覧のようにヒサシが上を向いているため独特の表情だったことが懐かしい。またスノープロウも装着しているようだが、これは可動式。未装着の時もあったのではないか・・・

1978-08-08     6102ㇾ  EF5888  銀河51号   東海道本線:平塚付近にて