国鉄型特急電車の代表とも言える485系は、現状風前の灯といった状況らしく、あまり話題にならなくなった。すでに特急色はなく、全く外観からは分からないような団体用で使用するものが残存しているにすぎないらしい。
アントンKは、どちらかというと485系より583系の方が好みではあるが、その当時は全国どこへ行っても、485系の活躍は見られ、むしろ馴染みがあるのはこちらの方だった。乗車するには、まだ高根の花だったが、L特急として走り回っていた485系たちには、ひと際愛着が沸いてきていた。ちょうど1980年代の初頭から約10年間くらい、自分の撮影スケジュールの中で東北地方の撮影に当てていた時期があった。主な目的は、赤い電機の方で、ED71から始まり、ED75、ED77、ED78、EF71には年々思い入れが深くなっていったが、合間に次々とやってくる485系電車もまた、魅力的に思えるシーンを数々体験したのだった。
福島から山へと向かう奥羽本線は、現在改軌され新幹線として運転しているが、新幹線開通前は、東北線とセットで良く撮影に行っていた。福島に宿をとり、連日集中的に足を運び撮影を堪能したもので、残されたネガフィルムを見ながら懐かしさがこみ上げてきている。掲載写真の奥羽線板谷峠は、とても当時は魅力的なポイントに思え何度も足を運んでいるが、今にして思えば、四季折々の風情をももっと残せていれば良かったと感じている。
スノージェットを飛び出て一気に下り坂を驀進する485系特急「つばさ」号。当時は、前面アップにどれだけ耐えられるか、チャレンジしていた時期でもあり、また鍛錬していた頃でもある。PENTAX67手持ちで、気合を入れファインダーを凝視していた頃が懐かしく思い出される。
1982-03-16 1043M つばさ3号 奥羽本線:大沢-関根にて