中島みゆきさんの
「あした」という歌がある。
初めて聴いた時
さすが中島みゆき節だという 思いと、
その次の思いは波のようにざわざわと
迫り来る怖さだった。
女の怨念というか、
深い愛ゆえの念が僕の胸の奥まで
押し寄せてきた。
中島みゆきさんの歌は怨歌だとも
言われ
それ相応の魂の込められてた
作品になっている。
渾身の一曲。
とまで言ってもいいくらい
出来のいい作品が多い。
計算され尽くしているのか、
中島みゆき本人のパーソナリティが
自然の計算されないところで
作品に投影されているのか…
私生活の謎めいた方なので
なおさら作品にファンはその本質を
探したり
求めたり
…
この歌も
中島みゆきさん
自らの事が歌われているかのように
感じられる節があったり…
それは
聴き手の要らぬ詮索と
気回しなのかもしれないけれど…
誰かに寄せた長年の思いと
その先の不安を綴った女心は
絶妙な説得力をもって
聴き手を黙らせる。
先細る未来に希望を見出せない
辛さと怖さ
女性ならではの
か細い 心情は
ここまで表現できるのも
やはり
中島みゆきさんしか
いないだろう。
(ガラスなら あなたの手の中で壊れたい。)
(ナイフなら あなたを傷つけながら折れてしまいたい)
ここが女の凄さ。
中島みゆきの凄さ、
それがまた男心に突き刺さる。
冷水を浴びせられたように…
差し違いの美学。
命の重さまでも
その愛に殉じる
重たい感情が流れてくる。
一言
女は
怖い!
に尽きる作品でもある。