バブル全盛期。
その日も僕らは
仕事が終わって
アフター5のお楽しみの時間を
満喫していた。
気のいい仲間たちと
つるんで
男女大勢で乗り込んで
飲めや歌えの宴は
ステージがあり、歌えるラウンジのようなカジュアルなパブだった。
僕たちのお気に入りのその店へは
ことあるごとに
繰り出していた あの頃。
ヒット曲を歌いたい
女子は早速
Winkを歌うのだ。
「愛が止まらない」
ノリノリの女子たちは
跳ねるようにステージへ向かい
無機質な表情まで真似て
Winkの歌を歌うのだ。
あの頃
誰しも
毎夜毎夜
浮かれて
のんで歌い
時には麻雀
時には
ゴルフの打ちっ放し
時には
プールバー
そんな日々が続いてた。
気のおけない仲間たちの中に
混じって一緒にいる女子との
距離感は
特別な感情を抱くわけでもなく
友達以上の恋愛感情も
もたなかった…
もてなかった…
だから……
楽しく長く続いたのだと
…
…
今 思えば
そんな気がする。
Car Radio流れる
せつなすぎるバラードが
友達のライン こわしたの
きらめく星座が
ふたりを無ロにさせてく
かさなりあった目の 甘い罠
歌の中では
友達のラインを壊したってあるけど…
本当あの頃そこまでいいなと思える子がいなかったなぁ
※JUST こころごと 止まらない もう
あなたに ドラマ始まっている
JIN JIN JIN 感じてる※
なんかこのサビのあたりに
合いの手の
ウフ ウフ💙 なんていれてたような…
結構おちゃらけて
歌ってた女子の邪魔したり
してたなぁ…
彼女の存在(こと)なら
初めから百も承知よ
なのに今夜 何故? 素直なの
走りだした愛に
理性のバリアは効かない
ルームライトを消す 指がふるえ
△JUST いとしくて 止まらない もう
あなたに ビネツ奪われている
FURA FURA FURA 乱れてる△
よくよく 歌詞を見てみると
彼女のいる男子を好きになってく女子の歌
だんだん止まらなくなっていく…思い
恋は突き進んでいく
加速度的な恋の歌なんだと
理解しないままあの頃
流行歌として流して聞いていた。
結構深いよね
この訳詩。
JUST もう 止まらない
今 感じてる もう 止まらない
今 乱れてる
都会(まち)のりんかくが
葡萄色に変わるまでに
あなたに本気を 感染(うつ)したい
あなたに
本気を 感染(うつし)たい
だって
なんてキャッチーな歌コトバなんだろ
深い恋を感染させたいと思う結構前のめりな女子の切実な思いをWinkが淡々と歌い上げる
アンバランスな楽曲だった。
仲間の女子たちが歌う
Wink
そして竹内まりやの
「駅」
しっとりと
なりきって
世界に入り込む彼女たちの姿を
スポットライトの眩い光のさす方を
あの晩も見つめていたっけ
Winkの 「愛が止まらない」
を聞くたびごとに
当時
毎夜毎夜弾けて
はしゃいで
遊びまわって
天狗になっていた
僕、僕たちがいた。
あんな元気だった時代が
確かにあったのだ。
その時間は確かに
24時間であったけど
1日は24時間以上あったような
感覚だった。
時間は僕たちには平等ではなく
むしろ
どれだけでも時間を自由にできた
何でもやれた。
止まらない時間
あの頃の愛すべき仲間たちへの
愛は止まらない。