日々是好舌

青柳新太郎のブログです。
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単純な計算・・・福島原発の奇奇怪怪。

2011年05月13日 08時20分28秒 | 日記
東京電力は福島第一原発1号機で所謂「メルトダウン(炉心溶融、炉心融解とも)」が起きていることを公式に認めた。圧力容器の底に溶け落ちた燃料の熱で配管の溶接部が溶けて複数箇所に穴が開き、合計すると直径数センチの穴に相当することを明らかにした。

事故発生後既に2ヶ月を経過し、この間に日夜続けられた注水作業で原子炉内に注ぎ込まれた水の量は10,000トンに上るという。
一方、圧力容器は直径約4.8メートル、高さ約20メートルのカプセル型で容量は約360立方メートル(水量換算約360トン)であり、それを納めるための格納容器の容量は凡そ6,000立方メートル(水量換算約6,000トン)であるとされている。

ここで素人の私には大きな疑問が湧いてくる。
10,000 - 6,000 = 4,000である。計算に弱い私でもこれくらいの計算は暗算できる。熱で蒸発する水もあるのだろうが、そんなことは素人の私にはわからない。4,000トンもの水を余分に注水しないと漏れているのがわからないというのでは先端技術である原発事故の対応としてはあまりにも大雑把すぎる。私も現役時代には土木技術者としてダムや堰堤のコンクリート打設をしてきたが、打設量の誤差などはほんの数パーセントであった。

東京電力も原子力安全・保安院も10,000トンの水を注ぎ込まないと格納容器が壊れていて水が漏れていることが判らなかったとでもいうのだろうか。つい先だって格納容器ごと水で満たして「水棺」にするという工程表を出したばかりではないか。
しかも、圧力容器や格納容器の中に思ったほどの水位はなくて燃料棒が露出した状態だという。一部の専門家は溶けて溜まった燃料が再臨界を起こす可能性にまで言及している。
だとすると、これまでに注水した10,000トンの水はほとんどが高濃度の放射能汚染水や蒸気となって原子炉建屋内や周辺に漏れ出していたということになる。

下衆の勘繰りかもしれないが、私は東京電力も原子力安全・保安院も早い段階からメルトダウンや格納容器の破損について判っていたのではないかと推察する。東京電力はこれまでにも放射能濃度のデータなど都合の悪い情報を発表しなかったことがありかなり恣意的な情報操作をしているようだ。また原子力安全・保安院に独自の情報収集力はなく全て東電からの受け売りである。
何故そうした重要な情報を小出しにするのかといえば、一つは時間稼ぎであり、一つは政治的な情報操作であると思われる。
つまり、原子力発電所の格納容器はいかなる事態であっても放射能漏れを遮断するという「神話」を守りたかったのであろう。

これでまた「工程表」は振り出しに戻った。避難生活を続けている方々や新たに避難しなければならない方々のことを考えるとやりきれない気持ちで一杯になる。