朝からカトちゃんが事務所へ来ている。
カトちゃんが最初に此処へやって来たときは、三日間も飯を食っていないとかで、泥棒猫のように目だけがギラギラ光っていて、表情には精彩を欠いていた。今日はサッパリとした表情で血色も良い。やっぱり人間はちゃんと働いて三度、三度の飯を食わなければいけない。
今日は、ハローワーク(公共職業安定所)へ失業保険の残金の給付を申請しに行くために仕事を休んだそうで、失業保険の残りを5万円弱貰えるそうである。
その前に私のところへ来たのは飯代を都合するためだったようだ。
東京へ連れていったとき仲間のタバコをくすねたのがばれているので私のほうからも自分の物と他人の所有物を厳格に区別するように改めて注意を与えた。
カトちゃんがもともと無一文なことは分かっているし、もう10日間ばかりは会社で働いているから希望通り2000円を貸してやった。
彼はその金を持ってハローワークへ自転車で行ってきた。その自転車は誰かに貰ったもので盗んだものではないことを確認した。
昼飯前に戻ってきたが、帰りがけに280円の海苔弁当を買ってきて美味そうに食べ終えたところである。カトちゃん曰く、東京の海苔弁当は280円で値段は同じだが、白身魚のフライが小さくて食い応えがないそうだ。
カトちゃんは遠州灘に面した福田漁港の生まれだから子供のころから魚はふんだんに食べなれている。白身魚のフライが魚価の安いシイラであることもわかっていた。
食後の休憩時間に事務員のシノちゃんがコーヒーを買いに行くというのでカトちゃんにも買ってくるように小銭入れを渡したら、無糖じゃなくて甘いコーヒーをお願いしますと、小さな声で頼んでいた。55歳になるカトちゃんに結婚歴はなく彼女もいないそうだが、だからといって女性に興味がないわけではないと言っている。ワダちゃんのように女性に対して異常に興味がありすぎるのも困るが、女性に興味がないのも困るのでそこそこ興味はあったほうが人間らしいと思う。
カトちゃんは、先日、突然辞めたワダちゃんとも二日間一緒に働いたそうで、ワダちゃんもその時点では働く気でいたそうである。
結局、ワダちゃんの心境の変化は仲間のカトちゃんにもよく解からないそうであるが、大量のアダルトDVDの存在が微妙に影響していることに疑う余地はないようだ。
カトちゃんは午後から材料置き場の片付けをするということで社長に連れられて出かけた。
出てゆくときに、頑張れよっと声をかけたら、ハイッと応えたから、もうしばらくは大丈夫だろう。
カトちゃんが最初に此処へやって来たときは、三日間も飯を食っていないとかで、泥棒猫のように目だけがギラギラ光っていて、表情には精彩を欠いていた。今日はサッパリとした表情で血色も良い。やっぱり人間はちゃんと働いて三度、三度の飯を食わなければいけない。
今日は、ハローワーク(公共職業安定所)へ失業保険の残金の給付を申請しに行くために仕事を休んだそうで、失業保険の残りを5万円弱貰えるそうである。
その前に私のところへ来たのは飯代を都合するためだったようだ。
東京へ連れていったとき仲間のタバコをくすねたのがばれているので私のほうからも自分の物と他人の所有物を厳格に区別するように改めて注意を与えた。
カトちゃんがもともと無一文なことは分かっているし、もう10日間ばかりは会社で働いているから希望通り2000円を貸してやった。
彼はその金を持ってハローワークへ自転車で行ってきた。その自転車は誰かに貰ったもので盗んだものではないことを確認した。
昼飯前に戻ってきたが、帰りがけに280円の海苔弁当を買ってきて美味そうに食べ終えたところである。カトちゃん曰く、東京の海苔弁当は280円で値段は同じだが、白身魚のフライが小さくて食い応えがないそうだ。
カトちゃんは遠州灘に面した福田漁港の生まれだから子供のころから魚はふんだんに食べなれている。白身魚のフライが魚価の安いシイラであることもわかっていた。
食後の休憩時間に事務員のシノちゃんがコーヒーを買いに行くというのでカトちゃんにも買ってくるように小銭入れを渡したら、無糖じゃなくて甘いコーヒーをお願いしますと、小さな声で頼んでいた。55歳になるカトちゃんに結婚歴はなく彼女もいないそうだが、だからといって女性に興味がないわけではないと言っている。ワダちゃんのように女性に対して異常に興味がありすぎるのも困るが、女性に興味がないのも困るのでそこそこ興味はあったほうが人間らしいと思う。
カトちゃんは、先日、突然辞めたワダちゃんとも二日間一緒に働いたそうで、ワダちゃんもその時点では働く気でいたそうである。
結局、ワダちゃんの心境の変化は仲間のカトちゃんにもよく解からないそうであるが、大量のアダルトDVDの存在が微妙に影響していることに疑う余地はないようだ。
カトちゃんは午後から材料置き場の片付けをするということで社長に連れられて出かけた。
出てゆくときに、頑張れよっと声をかけたら、ハイッと応えたから、もうしばらくは大丈夫だろう。