京都楽蜂庵日記

ミニ里山の観察記録

クリニックの患者数激減が意味するもの

2020年06月11日 | 環境と健康

 新型コロナウィルスが流行してから医療機関を訪れる患者の数が激減しているらしい(図参照)。東京都内1200ヶ所の診療所の9割ちかくで収入が減少、おまけにコロナ対策のための経費もバカにならない。このために多くの医療機関やクリニックが、経営危機に直面している。日経メディカルの報道では多くの医者がコロナ鬱症になっているそうだ。

https://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/report/t344/202005/565720.html?n_cid=nbpnmo_mled

 

(参考資料から引用転載)

 

最も受診控えがおこっているのは小児科である。「子供が少し熱を出した」「くしゃみをする」といって、子供を連れて医院に駆け込むアホなお母さんが少なくなったせいである。飲みもしない薬をもらいに医者に行く年寄も減った。ようするに不要不急な「病気」がなくなったということだ。おまけに、病院に行ってインフルエンザのような感染症をもらうリスクもなくなった。医者や薬にたよらずに、市民が自分で自分の健康を管理する自発性を育てる契機にコロナ禍がなればよいと思う。

 

 

参考論文

井上有紀子、 『患者の激減と消毒・防護で赤字』AERA 20/6/15号

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

Covid-19は血栓症リスクを誘発する

2020年06月11日 | 環境と健康

 Covid-19の多様な症状を解く鍵はACE2(アンジオテンシン分解酵素2)であると前に述べた(2020-06-04 庵主ブログ参照)。Covid-19の重症者の30%に血栓が生ずる。そして30-40代の患者が脳梗塞を併発する例が多数報告されている。血栓は、動脈にも静脈にもできて、大いものは直径1cm,長さ10cmにも及び、これらが飛んで脳や心臓の血管に詰まり、脳梗塞や心筋梗塞を起こす。静脈にできた血栓は肺で詰まり肺塞栓症を起こす。これは飛行機の旅客におこるエコノミー症候群と同じ現象である。

そのメカニズムは以下のように考えられている。血管にあるACE2の受容体にSars-CoV-2ウィルスが結合し、ウィルスは血管内に入り血管内皮を傷つける。それを修復するために、その部分に血小板が集まり、白血球からサイトカイニンが放出される。サイトカイニンにより凝結系が活性化されて、そこに赤血球も取り込まれて血栓が生ずる(図参考)。

 

(参考資料より引用転載)

Covid-19に感染し、自宅で療養中に呼吸困難になって死亡した人の中には、血栓が肺に飛んで肺塞栓症を起こした可能性が高い。血栓症の進み具合を判定するために、血液中のdダイマー値の測定が、こういったリスクを予防するのに必要である。日頃、血圧の高い人や心疾患のある人はリスクが高いので注意が必要である。

 

参考論文

F.A.Klok et al. (2020) Incidence of thrombotic complications in critically ill ICU patients with COVID-19. Thrombosis Res.

191, 145-147.   (https://doi.org/10.1016/j.thromres.2020.04.013)

野村昌二、 『コロナが襲う血流危機』AERA 20/6/15号

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする