1960年代、英文の意味をつかむために設計された初期のコンピューター・プログラムの一つに時間の推移をめぐる叙述のなかでも古典の「Time flies like an arrow. (光陰矢のごとし)」を分析させた。そのコンピューターの解釈は以下の5とおりであった(無論原文は英語打ち出し)
1. 時間は矢のように進む。
2. 矢の速さを計るのと同じやりかたで、ハエの速さを計るべきだ。
3. 矢がハエの速さを計るのと同じやりかたで、人はハエの速さを計るべきだ。
4. 矢に似たハエの速さを計りなさい。
5. 時間にたかるハエは矢が好きだ。
中学生英語では正解は1で、『光陰矢のごとし』と憶えさせている。しかし、4-5もそれぞれ間違いではない。5番の解釈は哲学的でなかなかセンスがある。果物にたかるショウジョウバエをfruit flyというのでtime flyはおかしな表現ではない。最初この英文に出くわしたときは、人はどのような思考回路で正解の1に至るのであろうか?インターネットでアクセスされる翻訳ソフトにTime flies like an arrow.を日本語訳させてみた。結果は以下のごとし。
Google和訳 『時間は矢のように飛びます』
Webelio和訳 『光陰矢のごとし』
Excite和訳 『時間は矢のように飛ぶように過ぎる』
Bing Microsoft和訳 『時は矢のように飛ぶ』
Infoseek和訳『光陰矢のごとし』
逆に『光陰矢のごとし』を英訳させてみる。
Google英訳 It's like a light arrow
Webelio英訳 Time flies like an arrow.
Excite英訳 jo of time arrow.
Bing Microsoft英訳 Like a light arrow
Infoseek英訳 Time flies like an arrow.
WeblioとInfossekは光陰矢のごとし=Time flies like an arrow.がセットでデーターベースにあるようだ。ここも『光陰は矢のごとし』で入力すると、全然だめな英訳になる。それにしてもExciteの英訳は何だろう?意味不明である。
時間が矢のように流れさるというのは、心理的な時間の様態を暗喩している。心理的な時間を引き延ばしす方法は、催眠術や幻覚剤、禅の修行などが知られている。1分が1〜2時間にも感じられるようになり、その間に多くの思念がわいて出るそうだ。究極まで修行した武道家は瞬間的に心理的な時間の動きをコントロールできる。相手の動きがスローモーションのように見えるので攻撃をはずし、その急所をやすやすと打つのだそうだ。
参考図書
ロバート・レビイーン『あなたはどれだけ待てますか』ーせっかち文化とのんびり文化の徹底比較 草思社 2002
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