金融マーケットと馬に関する説法話

普段は資産運用ビジネスに身を置きながら、週末は競馬に明け暮れる老紳士の説法話であります。

【金融】平成を振り返る(3) 公的資金投入と国有化

2019-04-08 07:22:22 | 金融マーケット

 今週も「平成を振り返る」シリーズです。前回は1997年の金融危機のお話でした。

 1997年の混乱から脱するため、98年には「佐々波委員会」による無条件公的資金注入が、その翌年には柳沢委員長による本格的公的資金注入が実施されました。
 柳沢委員会では、各行の財務状況に応じて優先株式の発行条件に差をつけるとともに、配当負担に耐えられない銀行は即国有化できるように、優先株式の発行額を過半数株式に該当する額とされました。すべての銀行に「健全化計画」を策定させ、その進捗状況のチェックの名目で、実質的な経営管理を行いました。経営の自由度はほぼありませんでした。

 柳沢委員会の公的資金注入の前後で、金融再編が次々行われていきます。みずほHDは2000年9月に発足、2001年4月には三井住友銀行、同じく東京三菱FGが発足、2002年1月にはUFJグループが発足。これは健全化計画のモニタリングを通じて、当局が金融再編を促した結果と言えます。なお、意に逆らって、かつ配当負担に耐えられなければ「国有化」が待っていました。ちなみに国有化とは、倒産ではありませんが、経営陣・主要幹部を総入替えした上で、新たに投入した公的資金返済まで、実質的に当局による管理体制が継続される「占領国家」と言えるものでした。

 このように、金融当局が大規模な再編を促す政策は、2003年にりそな銀行が国有化されることで終了しました。それまでは金融機関を追い詰めて、前向き投資を殆ど認めていなかった当局管理時代が終焉を迎え、りそな銀行国有化をきっかけに株価が大反転していくことになります。


  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする