まずは中山のオーシャンS。勝ったのは、ビッグアーサー産駒の5歳牡馬トウシンマカオ。好スタートから5番手追走へ。逃げたグレイトゲイナーの前半3ハロンのラップは33秒3と流れる展開に。直線に入ると、伸び悩む先行勢を尻目に、馬場の外側からトウシンマカオが抜け出して、そのまま後続に1馬身1/4差をつけて完勝。稍重の勝ちタイムは1分8秒0。2着には、中団から鋭く伸びてきたビッグアーサー産駒の4歳牡馬ビッグシーザー、ハナ差の3着には、同じく中団から差してきたハーツクライ産駒バースクライ、さらにアタマ差の4着にはヨシノイースター。
勝ったトウシンマカオは、前走の京阪杯に続いて短距離重賞を連勝して、本番の高松宮記念の最有力馬へ名乗りをあげました。テスコボーイ ⇒ サクラユタカオー ⇒ サクラバクシンオー ⇒ ビッグアーサーと続く、日本競馬伝統のスピード血脈を繋ぐ存在となれるか。
2着のビッグシーザーも同じくビッグアーサー産駒の4歳牡馬で、この馬も本番では面白い存在。3着バースクライ、4着ヨシノイースターも持ち味は出せたと思いますが、本番への出走が叶うかどうかは微妙なところか。
次は桜花賞トライアル、チューリップ賞。勝ったのは、スワーヴリチャード産駒スウィープフィート。最後方待機で脚を溜めます。逃げたデクラレーションオブウォー産駒セキトバイーストの前半3ハロンのラップは34秒5と平均ペースの流れに。直線に入ると、逃げるセキトバイーストが内埒沿いで逃げ粘るところを、大外からスウィープフィートが豪快に伸びて、後続に1馬身1/4差をつけて快勝。稍重の勝ちタイムは1分33秒1。2着セキトバイーストから1/2馬身差の3着には、後方から追い込んできたロードカナロア産駒ハワイアンティアレ、さらに1馬身1/2差の4着には、3番手からキズナ産駒タガノエルピーダ。
勝ったスウィープフィートは嬉しい重賞初勝利。トライアル勝ちの勲章を胸に、本番の桜花賞へ向かうことになります。これまでは、阪神JF7着、エルフィンS2着と、なかなか結果が出せていませんでしたが、ここを稍重の馬場で1分33秒1で勝ったわけですから、一躍有力馬へ名乗りをあげたことになります。
2着セキトバイーストの逃げ粘りも特筆すべきレース内容でした。稍重の馬場が味方した面はありますが、淀みのないレース展開で逃げての2着は本番でも面白い存在になったと思います。3着のハワイアンティアレは展開に恵まれた面がありますが、この馬も走った時計を見れば、ここへ来て本格化したということ。
1番人気で4着に敗れたタガノエルピーダは、大外枠から3番手の位置を取りにいったところで脚を使ってしまいました。これがラストの伸びを欠いた理由。この日の馬場では、思い切って中団待機くらいで脚を溜める競馬をしていれば、勝ち負けだったと思います。
そして皐月賞トライアル、弥生賞ディープインパクト記念。勝ったのは、アルアイン産駒のコスモキュランダ。後方待機で脚を溜めます。逃げたマクフィ産駒シリウスコルトの前半1000mのラップは1分0秒4と淡々とした流れに。緩いペースを見て、3コーナー過ぎからコスモキュランダが2番手まで位置を上げます。直線に入ると、最内で逃げ粘るシリウスコルトを横目に、馬場の中央からコスモキュランダが抜け出します。4番手からシユーニ産駒シンエンペラーが迫りますが、これに1馬身1/4差をつけて完勝。良の勝ちタイムは1分59秒8。2着シンエンペラーから1馬身1/4差の3着には、逃げ粘ったシリウスコルト。
勝ったコスモキュランダは、嬉しい重賞初勝利。また今回の「力の要る馬場」での1分59秒8は優秀です。今回がデビューから7戦目と経験豊富でありますが、スタートに出遅れ癖があるため勝ち味が遅い一方で、終いはいつも良い脚を使うという馬。重賞レースという晴れ舞台で、地力の高さを示すことが出来ました。本番での課題はやはりスタート。多頭数の皐月賞では出遅れは致命傷になります。スタートさえ五分ならば十分に勝負になると思います。なお、父アルアインにとっては、産駒のJRA重賞初勝利となりました。
2着のシンエンペラーは、これだけタフな展開になっても、着実に走っています。やはり地力は同世代のトップだと思います。これで本番に向けて準備が整ったという感じ。3着のシリウスコルトは、今日の淀みない流れを作った張本人ですが、本番もスピードの持続力勝負になれば、この馬にもチャンスはあるということ。
人気で6着7着に敗れたトロヴァトーレとダノンエアズロックの2頭ですが、淀みないペースの消耗戦には不向きだったということ。少なくともダノンエアズロックについては、皐月賞よりもNHKマイルCを目指した方が良い気がします。