【日本に多過ぎるものシリーズ】の第3弾であります。
前回は「県が多過ぎる」というテーマでしたので、それと呼応するように「地銀が多過ぎる」が今回のテーマです。
以前にも申し上げましたが、ワタクシが大学を卒業した1984年の段階で、全国銀行というのは都銀13行、長信銀3行、信託銀行7行で23行も存在しておりました。これが今や6つの銀行グループに集約しております。この間、バブル崩壊もありましたが、何と言っても強い行政指導および政治指導があった結果であります。ちなみに、証券会社も4大証券が3大証券に減少、また中堅といわれた証券会社群がひとまとめに括られて、みずほ証券と三菱モルガンスタンレー証券となりました。
ところが、各地域に存在していた地銀、および第二地銀は、あの頃とほとんど数が変わっていません。もちろん、幾つかの第二地銀は、破綻して国有化後に吸収されてしまったところもありますが、多くは名前を変えて現存しています。
地域経済への貢献という意味では、全国に点在する信用金庫ほどには地域経済に密着しておらず、一方で比較的大きな地域系プロジェクトファイナンスについては、全国銀行の6大銀行グループの後塵を拝しているため、存在感はどんどん薄くなってきています。
生き残るために、というよりは、当局からの厳しい指導を搔い潜るために、地銀同士で持株会社を作って各行がブラ下がる形=「疑似合併」に見せるケースもありますが、実態は何も変わっていません。
業を煮やした金融当局が、SBIグループを使って、地銀統合を強引に推し進めていますが、各地銀の経営改革は道半ば。いよいよ追い詰められています。
ただ、これも前回の「県」同様、地銀の抵抗パワーは政治と結託しており、これがどうしようもなく「変化」を遠ざけています。「県」が減ると議席が減らされることと同様に、「地銀」が減ると各地域議員が頼っている「集票パワー」が減ることと同義となっており、これが前に進まない理由。
本当に困ったもんであります。
結局、改革が進まない一番の障害は、地域選出の衆議院議員・参議院議員・県知事・県議会議員の存在。
既得権益者の権化が地域の政治家というのは、もう救いがない状況なのであります。