年をとると時間が経つのが早くなる法則?
「朝起きたら昨日まで無かったシワが目尻にできた!」と慌ててクリニックに駆け込んでくる患者さんが時々います。そんなことがあるのかと思う人もいるかも知れませんが、実際、目の周りの皮膚は体の中で最も薄く、かつ 一日数万回おこなわれる瞬きや目の周り筋肉の動きのため、皮膚の変化が起き易いのは間違いありません。疲れたとき目が窪んで見えたり、急に片側だけ二重になったりした経験は 結構皆さんもあるのではないでしょうか。少しずつ進んでいく皮膚の老化も、目の周りに最も早く表れるため、前日のコンデションの影響が次の日に目元のシワとして突然出現してもそれ程おかしい事ではないのです。急にできた小じわならば、癖ジワになる前にレーザーや注射などでケアーできるため、ホッとして帰っていきますが、「最近 一年一年が前と違って、年をとるみたい。」と感じるようです。
それとは別に 「年をとるごとに時間が経つのが早くなる。」と思うことはありませんか?19世紀のフランスの哲学者ポール・ジャネは心理学的にこの現象を説明し、「ジャネの法則」として甥のピエール・ジャネが紹介しました。簡単に説明すると、「50歳の人にとって1年の長さは人生の50分の1ですが、5歳の子にとって、1年は人生の5分の1に相当する。ゆえに5歳の子供の1年は50歳の人の10年にあたり、5歳の1日は50歳の10日に相当する。だから心理的な長さ年齢に反比例する。」と言うもので何となく解るような 解らないような説明です。
脳科学的に「記憶」と言う概念から説明したものもあります。人間は脳の海馬という部分に記憶を固定することで時間を認識します。この海馬での記憶の固定には20分ほどかかると言われますが、子供のころは毎日毎日経験したありとあらゆる物事を海馬で記憶していきますから、記憶の固定に多くの時間が必要になります。この課程が多いほど人は時間が流れるのを遅く感じるのです。逆に年をとるごとに、大部分が過去に記憶した経験則になるため、海馬による固定のプロセスを踏むことが少なくなるため時間が短くなると言うわけです。
「時間よ とまれ!」と思う中高年の皆さん、どんどん新しいことに挑戦してください!