
水張りした紙に水をたっぷり使って描く技法を習得し、メキメキ実力を上げている武田さんの新作です。
今回もモチーフの写真を2メートルほど離して大きな全体感を掴み、そのあと細部を描き込む手順で進めました。
前回の作品も最初に全体の印象をバッチリ合わせていたので、とてもスムーズに完成まで進めることができましたが、今回はさらにイメージ通りの絵が描けたはず!
油絵やアクリルなどは最初に同じ色で下地を塗ることで全体のまとまりを出すことができますが、透明水彩だとこの方法では下地の色が強くなりすぎてしまいます。そのため画面の全体感を出すには何度も離れて見たり、光を方向を意識したり、それぞれのモチーフや影に同系色の反射光を入れてみたりと工夫するのですが、遠目に離して全体感を掴む方法は武田さんにとてもしっくり合う描き方だったのではないでしょうか。
特に水面の質感と建物の乾いた質感の描き分けが美しく、地中海のまばゆい太陽の光を感じます!!
また場所により細かく描く部分、太めの筆で描いたおおらかな塗りを残した部分を使い分けることで絵にメリハリが生まれましたね。
大きく全体を見ることができる目は透明水彩以外でも役に立ちます。また紙をアルシュなど違う紙にチャレンジしてみても、また違った雰囲気の絵に仕上がりそうですね。
ひとまずどんな画材でも絵がバラバラに見えないよう全体感を出すことがとても大切だな、と改めて感じた赤尾でした。