モノ作り・自分作り

東横線 元住吉 にある 絵画教室 アトリエ・ミオス の授業をご紹介します。
美術スタッフが、徒然に日記を書いています。

まっすぐな気持ちで

2010-08-17 03:53:00 | スタッフ講師
Ricohinakoさとうです。
前回から引き続き、今回も火曜日小学生クラスの油絵完成作品をご紹介します!

理瑚(りこ)・左
今回りこは水彩絵の具を使用して制作しましたが、油絵の具と同じくらい抵抗感のある絵となりひとつひとつの物をしっかりと描ききりました。特に色とりどりの布と、その上の白い綿の花とのコントラストは色の響きあいがとても鮮やかに表現されています。りこは静かな集中力を持っていて、淡々と絵を描き進め、その中で目の前の状況を整理する力があるように見えます。
難しい柄の布の上にビンが横たわり絵としては少し描きにくい構図ですが、りこの描いている姿を見ていると物応じせずそれらを冷静に捉えることができていると感じるからです。それとともに丸みのある形の描き方でまとめられていて、冷静かつ温かさといった、まさに少し大人っぽさも感じてしまう作品に仕上がりました。

陽南子(ひなこ)・右
ひなこもしっかりとした意思を持つ性格の持ち主で、やると決めたら最後まで貫くことができます。まわりの声に頑固なくらい(!?)惑わされることもなく、もしかすると芸術家としては必要不可欠である「我が道を進む」タイプなのでしょうか。
まずモチーフのサルビアの花の鉢植えが、絵が完成に向かう日々と反比例してみるみるうちに枯れていくのに対し、ひなこは怯むことなく描き進みました。なんともたくましく、枯れたサルビアを当初の新鮮な花の姿で再現したのです。
そしてポストの錆ついた質感と色合いも単調にならずに表すことができています。一見すると赤色と捉えがちな物を、「錆びたポストを描く」という強い意志を感じます。そのため、とても複雑で一言では表せない風合いになりました。
こうしてなんとも潔く大胆に描かれた絵から、ひなこの特性がこれからも失われずに進んで行ってほしいです。


Kanayuuki

佳奈(かな)・左
かなはとても丁寧に、そしてまっすぐな気持ちで作品に入り込むことができます。わからないことはすぐに質問し、納得してから筆を執ります。よく授業の合間にお家での出来事や学校であったこと、大事な愛犬の話などを私達に話してくれるのですが、そういったお話でもとても楽しそうな情景が目に浮かびます。そうしてこちらもホッと気持ちが温かくなることがよくあるのです。そのような「自分のことを相手に伝える」ことが会話を通してできることも、かなの才能のひとつです。それは、もちろん絵の中にも反映されていることです。トランペットの置かれた構図は難易度も高かったのですが、その分たくさん考えることができたのではないでしょうか。どうしたらトランペットになるか、ぶどうや植木鉢になるのか試行錯誤を繰り返しながら描ききりました。なによりも「完成したらお母さんに見せたい」というところに向かっていたためだと思います。伝えることは難しいがゆえにそこに向かう過程に魅力があるのですね。

優希(ゆうき)・右
ゆうきも実にマイペースで一つ一つにじっくりと向き合い、丁寧に形を捉える力があります。
ゆうきとのやりとりで、ほぼ完成し作品も彼女自身も煮詰まってきたように見えたため、こちらからの判断で「そろそろ終わりにする?」と彼女に聞いたときがあります。その時「まだもっと来週もやる」と小さな声で呟いてくれた時はすごく嬉しく思いました。周りの速い流れに呑まれることなく、ゆうきはゆうきの軸をしっかり持っているのだと感じさせられた言葉でした。そうしてできた作品は、隅々まで神経の行き届き、きっちりと完成度の上がった作品となりました。特にレンガとその上の植物は、固いものと柔らかな葉を(葉脈まで描き)しっかりと描き分けることもできています。また次の作品も、「もっとやる」という声が聞こえるように、打ち込む姿勢を失くさないでいてほしいと思います。

コメント
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