沖縄尚学高校優勝の記事が目を引く琉球新報四月五日付朝刊に、「陸自誘致視野に宮古で団体発足」という見出しの小さな記事が二面に載っている。宮古地区への陸上自衛隊の誘致を視野に入れた団体「宮古圏域の防衛を考える会」が昨年十二月に発足していたという。同会は宮古島商工会議所会頭であり、宮古地区自衛隊協力会会長も務める中尾英莋氏を代表として、宮古青年会議所の関係者や一般住民など約五十人で構成されているという。中尾氏は中国や台湾の情勢をあげて「先島は危険な場所にある」とし、国防やテロ対策、不発弾処理などの強化のために、陸自第一混成団の誘致を考えているという。これから講演会などの活動を行っていくようだが、注意を要する動きだと思う。
米軍再編と連動して沖縄の自衛隊が急速に強化されていることを、これまでくり返し書いてきた。すでに二〇〇五年の九月には、沖縄の陸自第一混成団に約八百五十人の普通科連隊を新設し、二三〇〇人規模の旅団に格上げする方針を当時の防衛庁が示し、宮古島への陸自部隊配置も検討するという報道がなされている(〇五年九月二一日付琉球新報)。その後、中期防衛力整備計画(二〇〇五~〇九年度)では、〇九年度をめどに宮古島に新たに約二百人規模の部隊を配備し、新基地建設も検討していることが明らかにされている(〇六年十月四日付琉球新報)。上記団体の発足は、このような政府・防衛省の動きに対応して、民間から積極的に自衛隊誘致の動きを作り出そうというものだ。
おそらくは自衛隊新基地建設に向けて、すでに土地売買や建設工事の受注などをめぐる動きが、裏では進んでいるのだろう。自衛隊の「基地利権」が宮古で生まれつつあるわけだが、それが陸自にとどまらず下地島空港をめぐる問題にも広がっていくことは容易に予想できる。
現在の伊志嶺亮宮古島市長が今期限りで勇退すれば、次の宮古島市長選挙は自衛隊誘致をめぐって大きな山場になる。基地誘致派の市長を当選させて「屋良覚え書き」を破棄させ、市の財政危機脱却のために陸自や空自の基地を誘致し、政府から振興策引きだそう。そういう動きがこれから活発化していきそうだ。
ここで問題なのは、それを主導するのが自民党系だけではないということだ。前回の宮古島市長選挙(〇五年十一月十三日実施)で伊志嶺氏を支持した下地幹郎衆議院議員もまた、自衛隊や米軍の宮古誘致で動いている。前回の市長選挙で、下地氏が革新陣営に貸しを作った形になっているが、下地氏は自らの息のかかった人物を次の市長選挙に立てようとするだろう。その時に宮古の革新陣営はどのように対応をするのだろうか。ちなみに、前回の市長選挙の時に下地氏はここまでの動きは十分読んでいた思うし、二〇〇六年の名護市長選挙や県知事選挙の下地氏の対応も、真の目的は宮古への「基地利権」の誘導にあったと私は考えている。
以上のことを踏まえながら、六月の県議会議員選挙における宮古の動向、年内にも行われる可能性が大きい衆議院選挙における沖縄一区の動向、そして来年の宮古島市長選挙に向けての動向に注目している。対中国を想定した米軍再編と自衛隊強化において、辺野古と並んで宮古が今後大きな焦点となるだろう。それはこの間くり返してきたように、沖縄戦の歴史認識をめぐる問題ともつながっているのである。宮古における自衛隊強化を許さない取り組みを支援したい。
米軍再編と連動して沖縄の自衛隊が急速に強化されていることを、これまでくり返し書いてきた。すでに二〇〇五年の九月には、沖縄の陸自第一混成団に約八百五十人の普通科連隊を新設し、二三〇〇人規模の旅団に格上げする方針を当時の防衛庁が示し、宮古島への陸自部隊配置も検討するという報道がなされている(〇五年九月二一日付琉球新報)。その後、中期防衛力整備計画(二〇〇五~〇九年度)では、〇九年度をめどに宮古島に新たに約二百人規模の部隊を配備し、新基地建設も検討していることが明らかにされている(〇六年十月四日付琉球新報)。上記団体の発足は、このような政府・防衛省の動きに対応して、民間から積極的に自衛隊誘致の動きを作り出そうというものだ。
おそらくは自衛隊新基地建設に向けて、すでに土地売買や建設工事の受注などをめぐる動きが、裏では進んでいるのだろう。自衛隊の「基地利権」が宮古で生まれつつあるわけだが、それが陸自にとどまらず下地島空港をめぐる問題にも広がっていくことは容易に予想できる。
現在の伊志嶺亮宮古島市長が今期限りで勇退すれば、次の宮古島市長選挙は自衛隊誘致をめぐって大きな山場になる。基地誘致派の市長を当選させて「屋良覚え書き」を破棄させ、市の財政危機脱却のために陸自や空自の基地を誘致し、政府から振興策引きだそう。そういう動きがこれから活発化していきそうだ。
ここで問題なのは、それを主導するのが自民党系だけではないということだ。前回の宮古島市長選挙(〇五年十一月十三日実施)で伊志嶺氏を支持した下地幹郎衆議院議員もまた、自衛隊や米軍の宮古誘致で動いている。前回の市長選挙で、下地氏が革新陣営に貸しを作った形になっているが、下地氏は自らの息のかかった人物を次の市長選挙に立てようとするだろう。その時に宮古の革新陣営はどのように対応をするのだろうか。ちなみに、前回の市長選挙の時に下地氏はここまでの動きは十分読んでいた思うし、二〇〇六年の名護市長選挙や県知事選挙の下地氏の対応も、真の目的は宮古への「基地利権」の誘導にあったと私は考えている。
以上のことを踏まえながら、六月の県議会議員選挙における宮古の動向、年内にも行われる可能性が大きい衆議院選挙における沖縄一区の動向、そして来年の宮古島市長選挙に向けての動向に注目している。対中国を想定した米軍再編と自衛隊強化において、辺野古と並んで宮古が今後大きな焦点となるだろう。それはこの間くり返してきたように、沖縄戦の歴史認識をめぐる問題ともつながっているのである。宮古における自衛隊強化を許さない取り組みを支援したい。