海鳴りの島から

沖縄・ヤンバルより…目取真俊

「文部科学省再訂正指示による歪曲に抗議する」集会

2008-01-29 02:16:31 | 教育
 那覇市古島の教育福祉会館で「文部科学省再訂正指示による歪曲に抗議する」集会が開かれるというので参加しました。主催は6.9沖縄県民大会実行委員会。
 開会あいさつのあと、琉球大学教授で6.9実行委員会共同代表の高嶋伸欣氏が、「検定経過の問題点と基本的とらえ方の問題点」と題して講演。
 その次に琉球大学准教授で「沖縄戦の歴史歪曲を許さず、沖縄から平和教育をすすめる会」事務局長の山口剛史氏が、「教科書記述をどう見るか、問題点の共有」と題して講演を行いました。
 今後の取り組みについての意見交換でも会場から次々と意見が出て、教科書検定意見の撤回と「強制」記述復活まで運動を継続するという意志が、会場全体に溢れる集会でした。 以下に会場で承認された集会アピールを載せます。

「文部科学省再訂正指示による歪曲に抗議する」集会アピール
 文部科学省ならびに教科用図書検定調査審議会は、昨年12月26日、教科書会社6社から提出されていた日本史教科書8点の沖縄戦記述に関する訂正申請について、審議結果を発表し、文部科学大臣もその内容を承認しました。
 その内容は、県民大会決議に示された沖縄県民の総意と言える「検定意見の撤回ならびに記述の回復」という願いをかたくなに拒否したものです。審議会は、「検定意見は正しい」としたうえで、「基本的とらえ方」に沿った教科書記述を教科書会社・執筆者に強いる「書かせる検定」により強制的に修正させました。このようなやり方に、私たちは激しい怒りを禁じ得ず、絶対に受け入れることはできません。
 「指針」と言われた審議会の「基本的とらえ方」では、「複合的な背景・要因によって住民が集団自決に追い込まれていった」として「日本軍により強制された死」であることを認めないばかりか、教科書会社からの「訂正申請」を取り下げさせ、文部科学省の「基本的とらえ方」の枠内での書き直しを強制したのが今回承認された記述です。そのため、県民の要求であった「軍の強制性」は盛り込まれず、本来求めていた内容とは大きくかけ離れ、「教科書に歴史の真実を」という声に全く応えるものではありません。
 いくら「複合的背景・要因」の記述を増やし、一件記述が増加しても、「沖縄戦の本質」が正しく読み取れる教科書でなければ意味がありません。昨年3月以来、重い口を開いて戦争体験者が語った「集団自決(強制集団死)」の真実とは、日本軍の命令・強制・誘導などによる「強制された死」であったということであり、住民が自ら死を選択したものではなかったということです。この事実を文部科学省は決して認めようとしません。それどころか、今年1月15日の県民大会実行委員会の要請に対し、池坊文部科学副大臣は、「注釈などの形で(分量)が増えているし、百点から百二十点だと思っている」と発言しました。沖縄戦の事実を受けとめようとせず、県民の願いに背を向けているのは明らかです。 私たちは、本日これらのことを確認し、9月29日の「県民大会決議」の実現こそが、唯一の解決方法であり、沖縄県民の願いであることをここに表明するものです。
 私たちは、このような今回の訂正申請の審議結果に対し、激しい怒りをもって強く抗議します。文部科学省は誤った検定意見をただちに撤回し、訂正申請の審議をやりなおして、記述の回復を求めた各社の訂正申請を基本的に認めなければなりません。私たちのこの要求が正当なものであることは、社会科教科書の執筆者の多くが、今年秋に再度、日本軍による強制を明確にする正誤訂正を申請すると申し合わせた点でも証明されています。
 私たちは、沖縄県民に呼びかけます。今回の教科書記述の「訂正申請」承認に大きな抗議の声を文部科学省へ届けましょう。ファックスやはがきなどさまざまな手段を通じて私たちの意志を伝えましょう。そして、県民大会実行委員会を支え、沖縄県民が一枚岩で引き続き「沖縄戦の真実を教科書に」という一致点のもと、超党派でのとりくみをすすめていきましょう。
2008年1月28日
「文部科学省再訂正指示による歪曲に抗議する」1.28集会 参加者一同

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