昨日(18日)は午前中名護市議会の傍聴に行った。10時前に議会に入ると傍聴席の前にテレビカメラが数台陣取っている。新聞記者も数名座っていて、前日とはまるで雰囲気が違う。17日は傍聴席に新聞記者が二人と市民は私を入れて三人しかいなかった。一番目に質問を行う大城敬人議員が、名護市の談合問題を取り上げていることにマスコミも注目していたのだが、実際、それだけの内容のある質問だった。何よりも、名護市の入札状況の異常性を示す独自の資料を用意し、市当局や議員はもとよりマスコミや傍聴席の市民にも配布し、具体的に事業名や数字を示して追及していったところが他の議員と違った。
ちなみに名護市議会は二十名の議員がいるのだが、今回の一般質問で談合問題を取り上げたのは、屋部幹男議員と大城敬人議員の二人しかいない。昨年来、週刊誌や月刊誌で名護市発注の工事や北部振興策をめぐる「談合疑惑」、米軍基地建設に絡む「沖縄利権」の問題が繰り返し報じられてきた。現在も『週刊金曜日』で「基地利権にむらがる沖縄マフィア」という連載が行われている。それに対して他の議員は関心がないのだろうか。とりわけ普天間基地の辺野古「移設」に反対している他の野党議員は、この問題に波状的に質問攻勢をかけるべきではないか。辺野古現地でのたたかいも大切だが、名護市の談合問題を議会で追及するのも、それに劣らない重要性を持つ。辺野古への基地建設を進めようとしている名護市当局にとって、この問題は急所といってもいいのだ。
議員には市民が簡単には手に入れられない資料を入手できる特権がある。それを駆使して情報を集め、分析し、市当局を追及していくのでなければ、何のための議員なのか分からない。
今回大城議員が配付した資料のなかで特に目を引くのが、「平成18年名護市発注工事一覧(1千万円以上) 落札額と最低制限額が同額か直近のもの」という一覧表である。名護市は現在、入札予定価格を公表し、最低制限価格を非公表としている。ところが落札額と最低制限価格が同一の事業が、平成18年だけで五件もあるという。
最低制限価格は極端に低額で落札することを防止するために設定されたもので、一般的にはその価格を割らない範囲でより近い額を提示した業者が落札することになる。その価格を知っているのは、下記の副市長の答弁にもあるようにごく限られた者であり、入札日まで封印されて厳重に管理される。
ところが、一覧表で挙げられている「許田護岸整備工事(1)」では、入札書比較価格が69,523,809円で、最低制限比較価格は55,904,761円に設定されていたが、落札したA企業の落札額は55,904,761円とドンピシャリなのである。
同じ例が「名護市公共水道9号汚水枝線暗きょ工事(その261)」「屋我地漁港整備工事(その4)」「屋我地漁港整備工事(その5)」「呉我11号・1号・2号・3号農耕改良工事」など他にも四件あり、はたしてそんなことが偶然に起こり得るのか。
平成19年でも、「屋我地漁港整備工事(その7)では、最低制限比較価格が224,028,000円に対して、落札額が同額であり、真喜屋小学校校舎改築工事では最低制限比較価格が86,445,000円で落札額が86,444,999円とわずか1円しか違わない。他にも最低制限比較価格と落札額の直近の数字が目白押しなのである。
これらの問題を問われて名護市の末松文信氏副市長は以下のように答弁した。
「この件に関しましては前の議会でも言いましたが、私どもの入札制度のなかでは、まず予定価格を設定します。それは事前に公表します。最低制限価格については公表はされません。これは金額によって各部長であったり、市長であったり、副市長であったり、権限の範囲がありまして、それぞれが最低制限価格と予定価格を設定することになっています。最低制限価格については封印をいたします。最低制限価格をいくらにしたかは設定した人しか分かりません。応札する企業のなかで、どういう積算あるいは根拠で応札したかについては、私どもが知る由はございません。結果としてこういう形に出ているとこれまでも説明しましたけども、これがおかしいということであれば、私どもがどうのこうの言う立場ではないし、予見することでもありませんし、大城議員がおっしゃるように、独自に捜査するかということですけども、私どもがこれを捜査して明らかにするような決まりはございません」
さらに大城議員が、末松副市長が封印した額の事業で一致していることが多いことを質問すると、末松副市長は「先ほども申し上げましたように、知る由はございません」と答弁するにとどまった。
また、大城議員が落札率が80.41%、81.25%というふうに小数点以下二桁まで変えてあるのに一致することの不自然さや、屋我地漁港整備工事に関して一致していることが多いことについて触れ、平成19年の屋我地漁港整備工事では落札率が84.00%で一致していることについて、島袋吉和市長に答弁を求めた。
「技術的なことは分かりませんけどですね、職員に話を聞いても、そういうことはあり得るということであります」
島袋市長はそう答弁したのだが、末松副市長の答弁を含め、それで納得できる人がいるだろうか。大城議員の質問はさらに続いているのだが、長くなるのでひとまずここで切っておく。これだけでも、現在の名護市の入札状況の異常さが分かるであろう。
2005年に長崎県の対馬市では、市発注の公共工事の一般競争入札で、市が設定した最低制限価格と同額の落札が21件中3件相次いだことから百条委員会が設置された。結果として助役をはじめ市の幹部が逮捕される大問題となっている。企業の積算能力が上がったからといって、そう簡単に何件も非公表の最低限価格と落札額が一致するはずがない。対馬市で問題になったことが、名護市では問題にならずにすまされるのであろうか。末松副市長の答弁では、市当局はこれらの状況を積極的に調べようという意志さえない。入札に疑惑が生じたら、それをチェックするのは市の仕事ではないのか。
80%台で落札しているから予算面でメリットが出ているのではないか、と考える人もいるかもしれないが、それでも企業に利益が出るように入札予定価格自体に「水増し」が行われているのではないか、という疑問の声もあるのである。
いずれにしろ、週刊誌や月刊誌で取り上げられているだけでなく、このように具体的に問題が指摘されているのだから、市当局も名護市議会もそれを徹底して糾明するのは、市民に対する義務であろう。
ちなみに名護市議会は二十名の議員がいるのだが、今回の一般質問で談合問題を取り上げたのは、屋部幹男議員と大城敬人議員の二人しかいない。昨年来、週刊誌や月刊誌で名護市発注の工事や北部振興策をめぐる「談合疑惑」、米軍基地建設に絡む「沖縄利権」の問題が繰り返し報じられてきた。現在も『週刊金曜日』で「基地利権にむらがる沖縄マフィア」という連載が行われている。それに対して他の議員は関心がないのだろうか。とりわけ普天間基地の辺野古「移設」に反対している他の野党議員は、この問題に波状的に質問攻勢をかけるべきではないか。辺野古現地でのたたかいも大切だが、名護市の談合問題を議会で追及するのも、それに劣らない重要性を持つ。辺野古への基地建設を進めようとしている名護市当局にとって、この問題は急所といってもいいのだ。
議員には市民が簡単には手に入れられない資料を入手できる特権がある。それを駆使して情報を集め、分析し、市当局を追及していくのでなければ、何のための議員なのか分からない。
今回大城議員が配付した資料のなかで特に目を引くのが、「平成18年名護市発注工事一覧(1千万円以上) 落札額と最低制限額が同額か直近のもの」という一覧表である。名護市は現在、入札予定価格を公表し、最低制限価格を非公表としている。ところが落札額と最低制限価格が同一の事業が、平成18年だけで五件もあるという。
最低制限価格は極端に低額で落札することを防止するために設定されたもので、一般的にはその価格を割らない範囲でより近い額を提示した業者が落札することになる。その価格を知っているのは、下記の副市長の答弁にもあるようにごく限られた者であり、入札日まで封印されて厳重に管理される。
ところが、一覧表で挙げられている「許田護岸整備工事(1)」では、入札書比較価格が69,523,809円で、最低制限比較価格は55,904,761円に設定されていたが、落札したA企業の落札額は55,904,761円とドンピシャリなのである。
同じ例が「名護市公共水道9号汚水枝線暗きょ工事(その261)」「屋我地漁港整備工事(その4)」「屋我地漁港整備工事(その5)」「呉我11号・1号・2号・3号農耕改良工事」など他にも四件あり、はたしてそんなことが偶然に起こり得るのか。
平成19年でも、「屋我地漁港整備工事(その7)では、最低制限比較価格が224,028,000円に対して、落札額が同額であり、真喜屋小学校校舎改築工事では最低制限比較価格が86,445,000円で落札額が86,444,999円とわずか1円しか違わない。他にも最低制限比較価格と落札額の直近の数字が目白押しなのである。
これらの問題を問われて名護市の末松文信氏副市長は以下のように答弁した。
「この件に関しましては前の議会でも言いましたが、私どもの入札制度のなかでは、まず予定価格を設定します。それは事前に公表します。最低制限価格については公表はされません。これは金額によって各部長であったり、市長であったり、副市長であったり、権限の範囲がありまして、それぞれが最低制限価格と予定価格を設定することになっています。最低制限価格については封印をいたします。最低制限価格をいくらにしたかは設定した人しか分かりません。応札する企業のなかで、どういう積算あるいは根拠で応札したかについては、私どもが知る由はございません。結果としてこういう形に出ているとこれまでも説明しましたけども、これがおかしいということであれば、私どもがどうのこうの言う立場ではないし、予見することでもありませんし、大城議員がおっしゃるように、独自に捜査するかということですけども、私どもがこれを捜査して明らかにするような決まりはございません」
さらに大城議員が、末松副市長が封印した額の事業で一致していることが多いことを質問すると、末松副市長は「先ほども申し上げましたように、知る由はございません」と答弁するにとどまった。
また、大城議員が落札率が80.41%、81.25%というふうに小数点以下二桁まで変えてあるのに一致することの不自然さや、屋我地漁港整備工事に関して一致していることが多いことについて触れ、平成19年の屋我地漁港整備工事では落札率が84.00%で一致していることについて、島袋吉和市長に答弁を求めた。
「技術的なことは分かりませんけどですね、職員に話を聞いても、そういうことはあり得るということであります」
島袋市長はそう答弁したのだが、末松副市長の答弁を含め、それで納得できる人がいるだろうか。大城議員の質問はさらに続いているのだが、長くなるのでひとまずここで切っておく。これだけでも、現在の名護市の入札状況の異常さが分かるであろう。
2005年に長崎県の対馬市では、市発注の公共工事の一般競争入札で、市が設定した最低制限価格と同額の落札が21件中3件相次いだことから百条委員会が設置された。結果として助役をはじめ市の幹部が逮捕される大問題となっている。企業の積算能力が上がったからといって、そう簡単に何件も非公表の最低限価格と落札額が一致するはずがない。対馬市で問題になったことが、名護市では問題にならずにすまされるのであろうか。末松副市長の答弁では、市当局はこれらの状況を積極的に調べようという意志さえない。入札に疑惑が生じたら、それをチェックするのは市の仕事ではないのか。
80%台で落札しているから予算面でメリットが出ているのではないか、と考える人もいるかもしれないが、それでも企業に利益が出るように入札予定価格自体に「水増し」が行われているのではないか、という疑問の声もあるのである。
いずれにしろ、週刊誌や月刊誌で取り上げられているだけでなく、このように具体的に問題が指摘されているのだから、市当局も名護市議会もそれを徹底して糾明するのは、市民に対する義務であろう。