海鳴りの島から

沖縄・ヤンバルより…目取真俊

ギンネムの林とスーサイドクリフ

2009-06-08 16:27:25 | 2009年 南洋群島慰霊墓参団
 沖縄島にはいたる所にギンネムが生えている。開発が進んで都市地区ではギンネム林は少なくなったが、少し郊外に出ればかなりの面積を覆っているギンネム林を目にすることができる。
 子どもの頃、ギンネムは戦争で焦土と化した地に米軍が種をまいたのだ、と大人たちから聞かされた。生命力が強く成長も早いギンネムは、確かに手っ取り早く緑化する上では便利な木なのだろう。小さな濃い茶色の種を一晩水に浸けてやわらかくし、針で糸を通して首飾りや敷物を作ることができる。
 サイパンやテニアンも、米軍が種をまいたというギンネム林に島のいたる所が覆われていた。人々の戦争体験だけでなく、戦争によってもたらされた植物とそれが作り出す景観までもが、サイパンやテニアンと沖縄ではよく似ていると思った。
 写真は米軍がスーサイド・クリフと名付けたマッピ山の断崖で、米軍に追いつめられた人々が身を投じた場所。手前に広がっているのはギンネムの林。戦争の傷跡をいち早く隠したギンネムの林の中には、今でも収集されない戦死者の遺骨があるのだろう。

この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 南洋桜 4 | トップ | 南洋群島墓参団 結団式 1 »
最新の画像もっと見る

2009年 南洋群島慰霊墓参団」カテゴリの最新記事