6月21日夜(日本時間)、外務・防衛担当閣僚による日米安全保障協議委員会(2+2)がワシントンで開かれた。
http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-178464-storytopic-53.html
22日付琉球新報は日米共同文書のポイントを以下の4点にまとめている。
・普天間飛行場を2014年までに県内移設するとした期限を撤回し「できる限り早期に」と先送り
・普天間の代替施設を滑走路2本のV字型と決定。一方で「微修正を考慮し得る」と明記
・地域の人道支援・災害救援分野の後方支援の拠点を日本に設置
・第3海兵遠征軍の要員と家族のグアム移転は普天間代替施設完成への進展にかかる。グアム移転は嘉手納より南の大部分の施設の統合・返還を実現する
自公政権下で進められていたV字型2本の滑走路計画へ菅政権は完全に回帰した。2年前の衆議院選挙では「県内・国外移設」を主張して自公政権を批判していたのだから、民主党政権の恥知らずぶりもここに極まれりである。
「移設」期限を撤回することで普天間基地の「危険性の除去」という公約も先延ばしし、固定化をにおわせて脅しつける。一方で、「微修正」をちらつかせ、仲井真知事や名護市の誘致派に秋波を送る。さらに「人道支援・災害救援分野の後方支援」を表看板にして、下地島空港の軍事利用への道を開こうとしている。
菅政権はMV22オスプレイ配備についても居直り的に明らかにしている。自公政権は誤魔化しを続けてきたが、来年秋以降の配備が迫ってそれも通用しなくなった。辺野古への「県内移設」=たらい回し、MV22オスプレイの配備、高江のヘリ(オスプレイ)パッド建設、下地島空港の軍事利用、先島地域への自衛隊配備など、菅政権は琉球列島全体の軍事強化に乗り出している。
沖縄側の要求をいっさい無視する傲慢さ、「微修正」で絡めとろうとする姑息さ、米国隷従の卑屈さ、どれも自公政権で目にしてきた日本政府の変わらない姿である。元より、菅政権に期待するものなどありはしないが、沖縄人の多数意志を無視してことが進まないのは、これまでの経緯からしても自明のことだ。頭越しに結論を出して「沖縄の理解」を求める日米両政府の姿勢に、沖縄では不満、怒り、苛立ちがさらに高まっていくはずだ。
中国に対抗するための軍事的盾として琉球列島を利用しようというのが日米両政府の狙いであり、そのために沖縄人がどれだけ犠牲を強いられようとかまわない、というのが日米の政治権力者の本音である。沖縄の「負担軽減」などまやかしに過ぎない。
明日23日は沖縄戦慰霊の日である。沖縄戦から66年が経っても沖縄人の土地を軍事基地として占拠していること自体が異常なのであり、普天間基地や那覇軍港、キャンプ・キンザーなどは本来、「移設」条件無しで返還するのが当たり前なのだ。異常を継続しようとする日米「合意」は必ず破綻する。