海鳴りの島から

沖縄・ヤンバルより…目取真俊

5・15平和行進一日目

2008-05-17 01:13:01 | 米軍・自衛隊・基地問題
 昨日(16日)は午前9時に辺野古の海岸に行き、午前中、東コースの平和行進に参加してきた。16日付琉球新報夕刊によれば、東・西・南の三コースで、出発時点の参加者は千百十人、東コースは四百四十人(主催者発表)だったとのこと。地元の労組は仕事の都合などで、途中で交代したりするので、行進終了時点での参加者はもっと多いだろう。
 私は反住基ネット沖縄の一員として、午前中東コースを歩いたのだが、薄曇りだったので日差しがそれほど強くなく助かった。30分ほど辺野古の浜で集会をやり、辺野古のお年寄りたちの声援を受けながら浜を一周して、東コースの平和行進はスタートした。豊原集落から久志集落を抜け、潟原(カタバル)の海岸沿いを歩いて宜野座村役場までが午前中のコース。辺野古の集会と午後のスタート前には、韓国からやってきた民謡歌謡グループ「希望の歌コッタジ」や民族舞踊グループ「トヌム」の歌や踊り、太鼓の演奏も行われた。東コースの初日午前中は集落が少ないので、ヤンバルの自然を眺めながら歩いた。
 辺野古の集会では、この二、三日は台風の影響で調査船は出ていないが、監視・抗議行動のための船は一隻出ていることが紹介されていた。キャンプ・シュワブ基地との境界に米軍が設置した有刺鉄線に結わえられた色とりどりのリボンや小旗が風にはためき、陽光を受けて美しかったが、そばによって書かれた文章を読む姿は、監視カメラで見られている。
 少し前に結わえられたリボンが何者かによって焼かれたというが、その様子も監視されていただろう。以前、有刺鉄線のそばでたき火をして米軍に拘束された若者がいた。しかし、リボンを焼き払った者を米軍が問題にしたというニュースは聞かない。となれば、犯人は米軍関係者か、米軍がその行為を容認する者たちと考えるのが自然だろう。
 15日の結団式のときは、右翼の街宣車が一台、騒音をまき散らして妨害活動をやっていたのだが、昨日の午前中は見られなかった。今日あたり、中部の市街地を通る頃から右翼の嫌がらせが始まるだろう。昨年は三日目の午後、西コースを歩いたのだが、右翼団体の妨害がひどかった。本来なら、鬼畜米軍をたたき出せ、と独自に行進をやってもよさそうなものだが、基地撤去を訴える行進団を妨害しいるのだから、民族派が聞いて呆れる。ただ、情勢が緊迫してくると嫌がらせも多くなるので、その点は注意しなければならない。
 平和行進についていろいろ批判を書いたが、重要なのは、一日も早く平和行進をやらなくてもいい沖縄にするためにも、沖縄県民がもっと幅広く参加して、十分でも、百メートルでも歩くことが大切だということだ。ヤマトゥから参加する人達にはそれぞれの意義があるのだろうが、沖縄県民自身が行動しなければ、沖縄の基地は強化されこそすれ、「整理・縮小」されることさえありはしない。
 「復帰」36年経っても変わらない基地の現実、ということが言われる。それがどれだけ酷いものであるか。5月16日付琉球新報朝刊の社会面(27面)には、次のような米軍関係の記事が載っている。見出しだけを引用する。

 ①比女性暴行/伍長を不起訴処分/那覇地検「嫌疑不十分」
 ②2米兵を起訴/06年沖縄市タクシー強盗
 ③ドル偽造の海兵隊員有罪/那覇地裁判決
 ④米海兵隊員の2子息/窃盗などで書類送検/憲兵隊拘束、沖縄署
 ⑤海兵隊員暴行事件/きょう軍法会議
 ⑥飲酒騒動で謝罪/米兵上司、住民訪ねる
 ⑦2米兵求刑5-8年/タクシー強盗、那覇地裁
 ⑧地主9割売却の意向/ギンバル跡地利用/事業同意書に署名
 
 ⑧以外はすべて米兵による事件がらみの記事である。これが一日で社会面一面に載った記事なのだ。いったいこれはどこの国の新聞なのか、と思わないか。⑤は今年二月に中部で起こった女子中学生暴行事件に関する記事である。被害者が告訴を取り下げたため那覇地検は犯人を不起訴処分とした。しかし、女性暴行や誘拐などで軍法会議にかけられているのである。こういう現実がヤマトゥのメディアでどれだけ伝えられているか。そう問うこと自体がばかばかしいのが現実だろう。
 自分自身は日米安保体制の恩恵に浴して被害を受ける心配のない場所にいる奴ほど、平和行進なんてやってなんになる、と嘲笑したりする。あるいは、沖縄を撃つ、などと称して偉そうな説教をたれたりする。その手の腐りナイチャーは相手にするのも時間が勿体ない存在でしかない。大切なのは、沖縄で生きて生活している者が、自分の頭で考え、行動することだ。ヤマトゥたるがき、チューたるがきしていてはどうしようもない。
 嘉手納基地のフェンス沿いに延々と歩いてみて、見慣れた風景がどれだけの不当な支配によって作られたものであるかを実感するだけでも、ウチナンチューにとって意味はある。今日(17日)は平和行進の東コースは午前九時に沖縄市役所前で出発式があり、午後は一時に嘉手納道の駅を出発する。

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3 コメント

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相模原でもデモ! (ブーゲンビリア)
2008-05-17 09:25:18
神奈川県相模原市でも、キャンプ座間にむけてデモがあります。
去年の12月19日に陸軍新司令部の発足式があり、先遣隊がゾクゾクと来ています。最終的には300人来ると言われています。

本日は毎月恒例の「バスストップから基地ストップの会」が30人くらいですが、がんばります。もう、2年やってます。
労働団体でも政党がらみでもなく、ただの主婦の集まりです。
「米軍再編」などと言うから、それをきっかけにふつうの人が行動しはじめています。沖縄が身近に感じられる今日この頃です。
返信する
Unknown (目取真)
2008-05-18 00:27:03
在日米軍再編とはもちろん沖縄だけの問題ではないのですが、全国的に反対運動はまだまだ弱いですね。自分が生活している場所で、行動を続けていくしかないと思います。頑張ってください。
返信する
痛みのようないとしさ (なさき)
2008-05-21 08:17:26

歩く、5.15を歩く。歩く声が聞こえてくる。
魂、痛々しいそれでも地から湧き出る声が
発せられる。あなたの存在は痛いような悲しみと
溢れる率直さで胸が詰まる。

はしゃぐ声、縦の構図になれた労働者の代表たち
が島にやってきてはしゃぐ。基地を横目に基地の
島を味わう。こぶしを振り上げた後は松山で、XXXで
可愛い女の子と付き合う。これも旅の発散と解放!

ギラギラするエロスを巻き込んで基地反対・安保
反対の声を張り上げる。

微動だにしない基地の鉄条網の島、怒りが涙になる。 国の横柄な施政に怒りと諦観が伴う。それ見たことか とほくそ笑む。十分飼いならされた隣人との共生に 純な魂は言葉の声を荒げる。インチキ大和ーターが 主人公になったつもりでまた声を張り上げる現状に どこか違和感を覚えながら震える声がことばになる。

そのままでいい。貴方の怒りは言葉を紡ぎ率直にこ
とばに全てをはきだせばいい。はしゃぐ彼らは日本
という国の落とし子、政治家・政治屋の利権を伴う
発言、それらの全てに違和感を覚える魂の存在に遠
く見つめる目は安堵を覚える。それでいい。そのこ
とばの在り処にまた救われる。

当事者が消えて、組織の網目に絡むここもまた利権が らみの囚人たちが跋扈する。これもまた現実、そこで 踏みとどまりそこに身体を乗せる。沖縄ナショナリズ ムの色と匂いが滲み出る。それが貴方の言葉だからそ れでいいと思える。


貴方の違和感に共鳴を覚えながらその魂の震えに痛ま しさを覚えるのはなぜか?

権力と言う名の日常との闘いは身体の全てをそこに依拠 するときつくなる。おあそびの息抜き、全てを見たまま 感じたままことばにする。そこから明日の光も見えて くるのか否か、明るい地獄をひたすら描こうとする者も いる。そしてーーーーー。ひたすら見つめる先に遊泳す る。



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