海鳴りの島から

沖縄・ヤンバルより…目取真俊

地ならし

2009-10-27 17:11:18 | 米軍・自衛隊・基地問題
 今日(27日)のお昼のNHKニュースで、北沢防衛大臣が記者たちの取材に答えて、普天間基地「移設」の現行案容認の意思を示したうえで、次のような趣旨の発言をしていた。
 現行案にもグアムや岩国への移転は含まれている。辺野古への普天間基地「移設」は、そういう国外・県外移転の後に残ったもの。だから、現行案を容認しても、国外・県外「移設」という民主党の政権公約に反することにはならない。
 苦し紛れとはいえ、こういう詭弁が通用すると北沢大臣は思っているのだろうか。北沢大臣の言っていることは、実際には自公政権の現行案と何も変わらなかったが、あたかも普天間基地の国外・県外「移設」で対立するかのように選挙では打ち出し、これまで有権者を欺いてきました、と言っているようなものだ。何とか整合性をつけようと屁理屈を並べることで、かえって鳩山政権の不誠実さ、いい加減さが露呈している。
 昨日行われた鳩山首相の所信表明演説では、国外・県外「移設」はおろか、「米軍再編の見直し」さえ言われなかった。演説で述べられている「過去の日米合意などの経緯も慎重に検証した上で」の作業内容が、今日の北沢大臣の発言で垣間見えたということだろうか。
 もしかしたら、今日の北沢発言はメディアや大衆の反応を見るためのものだったのかもしれない。普天間基地の「移設」問題に関して、鳩山首相の「日替わり発言」や閣僚の発言内容の食い違いが指摘される。しかし、政権発足当初ならともかく、現時点でも鳩山首相の統率力がなくて、岡田外相や北沢防衛相が勝手に発言していると捉えるのは間違いだろう。最終判断は鳩山首相が示すにしても、そこに至るまでの地ならし作業は数名の閣僚で行っていくということではないか。
 今日の北沢発言にしても、メディアはどう報じるのか、沖縄からの反発はどれだけのものか、全国的な反応はどうか、などを観察しつつ、辺野古への微修正受け入れ、という落とし所に向けて国民意識を誘導し、慣らしていく狙いがあるように思える。ただ、そうであるにしてもだ。民主党の言ってきた普天間基地の国外・県外への「移設」は、実はすでに決まっているグアムへの兵員の移動や岩国基地への輸送機の移転でした、と強弁するつもりなら、有権者を馬鹿にするにもほどがあるだろう。
 在日米軍再編について鳩山首相の所信表明演説では、〈沖縄の方々が背負ってこられた負担、苦しみや悲しみに十分に思いをいたし、地元の皆さまの思いをしっかりと受け止めながら、真剣に取り組んでまいります〉と述べられている。美しい言葉が並んでいるが、ではどうするか、という具体的な内容はない。沖縄県内で米軍基地をたらい回しにして、それで「負担軽減」を進めました、というのなら、鳩山首相にとって沖縄は「友愛」の対象ではないということだろう。アメリカへの「友愛」を示すために沖縄の犠牲はやむを得ない、というのであれば、沖縄への差別的姿勢は自公政権と何も変わらない。

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1 コメント

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信州の恥 (宮坂亨)
2009-10-27 20:58:24
信州の者です。
戦前の治安維持法成立当時の法務大臣は信州の出身者だとか。
北沢防衛相は信州の者です。
信州の恥となるか。
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