海鳴りの島から

沖縄・ヤンバルより…目取真俊

〈ぎりぎりで逮捕〉された2人の米兵

2012-10-17 11:18:45 | 米軍・自衛隊・基地問題

 沖縄の県内紙は1面トップで、16日未明に発生した2人の米兵兵による県内女性への集団強姦致傷事件について報じている。

http://article.okinawatimes.co.jp/article/2012-10-17_40280

http://article.okinawatimes.co.jp/article/2012-10-17_40299

http://article.okinawatimes.co.jp/article/2012-10-17_40300

http://article.okinawatimes.co.jp/article/2012-10-17_40294

 17日付琉球新報社会面の記事はこう指摘している。

 〈捜査関係者によると、2米兵らは16日午前には沖縄を離れる予定で、そのまま取り逃がせば操作が難航する寸前の状況だった。「ぎりぎりで逮捕できた。事件の発覚が少しでも遅れたり、2人が基地内に宿泊したりしていたら逮捕できなかったかもしれない」。ある県警幹部はそう語った〉。

 事件の報道を見ていると2人の米兵は、犯罪を犯しても数時間後には沖縄を離れられる、と計算していたように見える。〈ぎりぎりで逮捕〉されていなければ、なに食わぬ顔でホテルから嘉手納基地に戻り、グアムに移動していたはずだ。彼らにとって沖縄は、通りすがりに好き勝手なことをやり、跡を濁して平然と立ち去る場所でしかなかった。

 米兵らの意識の根底にあるのは、沖縄を植民地扱いし、住民を軽々しく扱う占領者意識だ。沖縄県民がどれほど反対しようとオスプレイ配備を強行し、犠牲を強要する背景にもそれはある。米兵による犯罪は、たんに一部の悪質な兵士の行為として片づけることはできない。米兵たちは旅行者ではない。米軍の作戦行動の一環として沖縄に来ているのであり、世界各地で破壊と殺戮をくり返してきた米軍を、沖縄に集中配備している日米両政府の政治的責任が問われる。

 事件のたびにくり返される「綱紀粛正」「再発防止」という言葉に、沖縄県民はもううんざりしているはずだ。日本政府が気にしているのは、事件の被害者や県民のことではなく、日米軍事同盟が「揺らぐ」ことでしかない。「基地の島」「基地の街」という言葉が当たり前のように使われ、そのことに疑問すら抱かなくなってしまった沖縄の現状を変えない限り、事件・事故はくり返される。日米両政府が沖縄への基地負担をさらに増大させ、犠牲を強要して省みないいま、沖縄県民は米軍を拒否する自らの行動で身を守るしかない。

 

 


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