野村浩也編『植民者へーポストコロニアリズムという挑発』(松籟社)の書評を書き、2008年5月17日付沖縄タイムス朝刊に掲載された。以下に紹介したい。
読み応えのある八本の論考が並ぶ味クーターの一冊である。最近の書店の沖縄本コーナーは、観光客向けに作られたような、見かけは派手だが中味は薄味の本が、回転寿司のサビ抜きメニューみたいに並んでいる。そこに殴り込みをかけたアグーのラフティーといったと . . . 本文を読む
本書を編集している安田武氏の解説の中にも、日本兵による日本人住民の虐殺が、米従軍記者が書いた従軍記からの紹介という形で記されている。
〈従軍記者として、サイパン島に上陸したロバート・シャーロッドは、その従軍記のかなりの頁を割いて、日本人非戦闘員の集団的な自決の模様を書いているが、なかに、つぎのようなまことに驚くべき事実の報告が含まれている。--洞窟に立てこもった日本軍の狙撃兵がいた。彼の狙撃 . . . 本文を読む
本書に収められた平塚柾氏の「グアム島玉砕記」には、日本軍によるグアム島民への虐殺も記録されている。1944年の7月から8月にかけて、米軍に追いつめられた日本軍は、もはや戦闘集団ではなく、自分の命を守るために仲間の兵に銃を向けるまでになっていたという。そういう状況下で、グアム島の現地住民に対する大量虐殺事件も発生したという。
〈師団戦車隊付きの歩兵であった水上正さんは、その目撃者の一人である。 . . . 本文を読む
安田武・福島鑄郎編『記録 自決と玉砕 ーー皇国に殉じた人々』(新人物往来社・1974年刊行)は、題名の通りにアジア・太平洋戦争における日本軍人と民間人の「自決と玉砕」についての記録である。1943(昭和18)年5月のアッツ島の玉砕から始まり、ニューギニア、サイパン、グアム、ペリリューなど太平洋の島々や硫黄島、沖縄の玉砕、さらに満蒙ソ連国境における「集団自殺」や敗戦を機に起こった軍人や右翼団体員の . . . 本文を読む
「風流無談」第11回 2008年5月2日付琉球新報朝刊掲載
名護シアターが閉館し北部から映画館がなくなってから、スクリーンで映画を見る機会がめっきり減ってしまった。いい映画があって見たいと思っても、そのためだけにヤンバルから北谷町美浜や那覇まで行くのは、なかなか大変だ。那覇までの往復に高速道路を使えば、その料金だけで映画代を上回ってしまう。時間的にも半日は費やすし、帰りは疲れて映画の余韻も薄 . . . 本文を読む