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先般、和田竜氏の傑作「忍びの国」の話をアップしたことで、池波正太郎先生の忍びの小説が再び読みたくなった。
忍びの者を描いたすべての池波小説を購入している。
その中から、久々に取り出した「忍びの風」。
100年間続いた群雄割拠の戦国乱世。
池波小説の忍びの者は多彩で面白い。
歴史としての記録がほとんどない裏社会の忍びの世界。
甲賀五十三家の杉谷家に仕える女忍び・於蝶が主人公。
「蝶の戦記」でも大活躍が描かれている。
五十三家の豪族の中でも実力のある二十一家の伴家に仕える井笠半四郎、付きつ離れつ二人の交流が縦糸に戦国乱世の時代の流れが描かれる。
物語は姉川の戦いからはじまる。
越前・朝倉義景を成敗することとした織田信長、ところが、朝倉家に義理のある義弟の浅井長政は信長から離反し、朝倉軍と共に信長に敵対することとなった。
その戦いのシーンからはじまるが、小説の導入部分が素敵である。
「月は、なかった。
だが、陣営の<かがり火>は、夏の夜空を焦がしていた。
いまから二刻(四時間)ほど前に・・・・。
徳川軍六千は、近江(滋賀県)伊吹山の南麓の春照村へ到着し、野営に入ったのである。」
最初の入りの文体が、いきなり・・・。
「月は、なかった。」
である。
凡人には、思いつかないようなフレーズ。
このような雰囲気からはじまる池波小説、スーッと小説の中へと誘(いざな)われてしまう。
信長暗殺を目論む女忍び・於蝶。
織田軍と共に戦う徳川軍、その中の小笠原与八郎部隊の長柄足軽・井笠半四郎、実は武田信玄公のために躍動する忍びの者である。
2人を主人公に描かれるが、メインは女忍びである。
第1巻から3巻までの3部作。
姉川の戦いから、本能寺の変で信長が死去し豊臣秀吉が明智光秀を討つまでの歴史が描かれる。
再び、群雄割拠の戦国時代に誘われる。
忍びの者の鼓動が伝わってくる物語。
於蝶の躍動する姿、半四郎の忍びの術が見事に描かれる。
う~ん、面白い。
屋外スポーツの出来ない日、大きな楽しみとなっている。
何度読んでも面白い、池波小説ここにあり。(夫)
(忍びの風・第1巻)
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